あらすじ
仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ私は、暑い夏の日、見たこともない黒い獣を追って、土手にあいた胸の深さの穴に落ちた。甘いお香の匂いが漂う世羅さん、庭の水撒きに励む寡黙な義祖父に、義兄を名乗る知らない男。出会う人々もどこか奇妙で、見慣れた日常は静かに異界の色を帯びる。芥川賞受賞の表題作に、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦との不思議な時を描く二編を収録。
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Posted by ブクログ
私は不穏な空気を感じながら、読み進んだ。
穴、穴、穴。
先走る私は、主人公が穴に落ちるのはいつなのだ!と思いながら。
ジリジリと暑い真夏の田舎の風景、普段誰も足を踏み入れないような川沿の草むら、見たことのないようなぼうぼうの草の茂み、虫の死骸。それが雨で湿って子供に踏み込まれて、土と混じったような臭いまでして来そうだ。蝉の大きなうるさい声と青い空。
私は昔の田舎の草の臭いと小学生の時、空があまりにも青くてきれいで悲しくなったことを思い出した。
不思議な獣、義兄、義祖父。義兄は本当にいたのだろうか?獣は?
映画を観る時のように、オチはなんなんだろうと考えながら、多分そんなものはないのだろうとわかっていたのだけれど。
やはり不思議な感じで終わってしまう。
でも、最後にはふと涙が出そうになった。
そしてとてもあたたかい気持ちになった。
この余韻は好きだ。
Posted by ブクログ
表題は芥川賞受賞作品
夫の転勤で、
夫の実家の隣に引っ越す
家賃はなし
非正規の理不尽な仕事も
辞めることができた
隣の姑は何かと世話をやく
そして教えてない携帯に
電話してきて頼み事をする
しかもそれはお金が足りない支払い
舅の父は
毎日同じように水を撒く
雨でも水を撒く
毎日暇になり
変な生き物と出会い
そこから謎だらけ
昼間の田舎の
その場所だけが
なんだか浮いてる感じになる
異世界なのか
誰もがなんだか
ふわふわしていて
実感のない存在?
とにかく戸惑ったまま
本を閉じることになる
他の二篇も同じように
落ち着かない
友人の家はいたちが出る
そして妻の実家もかつて
いたちが出たらしい
夢か幻か
すべて幻覚かと思うような
はじめての感覚の
おかしな小説に出会った
なんだか癖になりそう
ホラ!そこに!
嫌いではないこの感じ
彼岸花好きだし‥
Posted by ブクログ
終始感じる不穏な空気が純文学好きにはたまらない作品。主人公が初めてその存在を知った引きこもりの義兄とともに自分が落ちた穴を探しに行く川原でまるで昼休みの校庭のようにたくさんの子どもたちが遊んでるシーンが圧巻。
Posted by ブクログ
表題作の「穴」だけ読んだ。
このホラー感は何?
小学生の夏休みの不思議な体験の大人版という印象。
読んでいてずっと気持ち悪さがまとわりついてくる感覚がかなり良かったですね。
(追記)
「いたちなく」「ゆきの宿」の二作もかなり良かった。こちらのほうがまだ怖くなくて良かったかな
なかなか読み解けていない部分もあるが、面白かったですね
Posted by ブクログ
ズボン、ヒューン、ならばアリスの穴だが、この作品ではドスッ、シーン、肩から下が埋まってしまう。
リンチを思い出す草地や土の描写を経て、現実が変異するが、それはもとからそうだっただけのこと。
「工場」の着地は変身だが、「穴」の着地は変態(もしくは成長)。
まずは義兄の存在感だが、
この作者はどこかしら子供を作るということにしこりを感じているらしい(実際はいるけど)。
そこに共感。
だからこそ、(「ディスカス忌」に続く)「いたちなく」「ゆきの宿」の夫婦にも肩入れしてしまう。
Posted by ブクログ
表題作の『穴』が面白すぎる。
世間から張り巡らされた抑圧の描写に胃が痛くなり、散歩道に生えた草木の生々しいにおいを感じ、リアルに次ぐリアルに舗装された物語の道に、突如小さく変な穴が空く。変な奴らが登場する。黒い獣、存在を隠匿された義兄。変だけど、それぞれに生態や道理があって、地に足をつけて生きている。変だし不気味だけど、ユーモラスで憎めない。
誰しも「普通」や「まとも」に息苦しさを感じて、「ここではない世界」を夢見たことはあると思う。『穴』で表現されるのは、あまりにショボくて滑稽で、それなのに泣きたくなるような「ここではない世界」なのである。私も穴に潜り、黒い獣の湿った鼻先を感じたい。
Posted by ブクログ
よく分からない、一体なんの話なの?って感想が多いみたいで漏れなくあたしもそうなんだけど、それがつまらないってことではないんだよな。このなんだかよく分からない、不思議、モヤっとするのが芥川賞っぽいというか笑 読みやすく、直ぐにこのなんとも言えない世界へ引き込まれた。結局、主人公以外の全員が不気味で少し怖い。田舎特有のご近所のことは何でも知ってて、いつでも見られてる感じ。ひー!何か変だなぁと思うことがあっても、葬式とかその地の風習を経験して、そこで仕事をしてそこの人達と触れ合って、受け入れて、慣れていくんだよねぇ…。隣組みたいなものが悪いってわけではないんだけどもさ。
他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
第150回芥川賞受賞作。表題作に2篇の短編を加えたものが本書です。
古今東西のさまざまな文学を渉猟し、吸収して、敬愛の情を持っている人が書いた作品という気がしました。膨大に読みこんだ読書経験の量を背景に持っているので、どこかブルドーザー的な力強さを執筆に転じて発揮できているのではないか。
以下、ネタバレのある感想と解釈です。
見たことのない獣を追って穴に落ちる主人公の主婦・あさひ。主人公にとってはずっと問題のなかった「世界」を見る視座が、穴に落ちたあと気付きもせずにぐらりと変わっているといいますか、世界のほうがごろっと妙な角度に曲がってしまうといいますか。そこも僕には、読んでいて物理的に穴に落ちたシーンにはとくに何も感じず、そこが過ぎてしばらくしてから「ああ、穴に落ちたというのは……」と時間差で違和感が生じてきたのでした。継ぎ目を感じさせない移行の仕方を作っているのはすごい。
それで、僕が感じたこの移行による違和感はなにかというと、まずは「混沌」という言葉が浮かんできます。主人公が驚くようなことがいろいろ起こって、その事案にたいしての理由付けがうまくいっていないために混沌が立ち現われている。これは読者もそうなんです。主人公はうまく飲みこめていないけど、読者にはわかっているという種類の小説ってありますけども、この作品はそうではありません。細部の奇妙さは奇妙さとして断定されているように読めてしまう。それはまあ、疑って読めばいくらでも疑って読めます。しかし、自ら罠にはまっていきたがるチャレンジ精神をかきたてられるようなものがこの作品にはありました。もっと洞窟の奥深くへいってやろうじゃないか、というような気にさせる。そうしてうまく転がされます。言い方を換えれば、ぞんぶんに読者を作品世界に泳がせてくれるわけです。
で、次は「認識」という言葉から考えていきます。小山田浩子さんは認識というものの扱いが巧みなのです。主人公が自分の周囲の世界をどこまで明確に認識しているか。ある認識はべつのものを認識するときの助けになり、反対に妨げになるときもあり、ときに屈曲させてしまうものにもなる。そして、主人公は物語世界のなかで認識の解像度を上げたり上げられなかったりもする。そのようななかで集められた情報やもともともっている知識などからいろいろ考えていくのですから、地盤がゆるゆるしているなかで構築された判断ができあがっていきます。それで混沌状態を体験することになるのです。そしてこれは二重の意味でもあります。なぜなら、読者の認識についても同様に考えられていて、同様の体験をするからです。しかも、没入感をあまり持たない人でもうまく物語世界の混沌に導かれてしまうくらい、粗がない文章だと思います。
物語の結末では、また違う世界に主人公は足を踏み入れています。このあたりも、うまく認識させずに世界を移行するワザが、作家の手法のみならずこの世間というか社会というかにはあるのです、ということを暗に示唆しているのではないかと感じました。
あとの短編二作は連作です。情景や描写から登場人物の心象を推し量るような読みかたで接したのですが、そこもたぶん作家は計算しているのでしょう。「これはたぶん、女性同士の性愛の予感だ」だとか「エロティックな心象を表わしている」だとか「主人公の不安で落ち着かない心持ちを蛾の死骸の描写でトレースしているんだ」だとかありました。が、しかし、結末までいくとフェイントをかけられたみたいになったのです。まあでも、僕はまだまだ小説の読みは浅いですから、もっと鋭い読みはたくさんあると思います。これだという感想は述べられませんが、この二作もおもしろく読めました。
まだまだ自分の知らない色取りの文学世界はあって(それもこの作品以外にもたくさん)、広い世界なものだよなあ、と可能性の大空を感じるみたいに口笛をふきたくなる読書でした。
Posted by ブクログ
主人公は派遣社員として働いており、正社員との関係や待遇について、同じく派遣社員の同僚と語り合う場面から物語が始まる。夫の転勤に伴い仕事を辞める際には、その同僚から小言を言われる場面も描かれている。 物語には、夫の義兄や穴、獣、子どもたちといった不可解な存在が登場するが、これは主人公が新しい土地に移り住んだことによる環境の変化から生じた妄想のようにも思える。物語の後半、主人公がコンビニで働き始めようとする場面では、彼女の内面的な変化が表れているように感じられた。
Posted by ブクログ
主人公は市街から県境の田舎にある夫の実家の隣に引っ越してきた主婦
田舎の何もない虚無感と自分は一体何をこの町でやればいいのかもわからず、隣の姑、ボケた義祖父を見て見ぬふりしながら暮らしていく
葬式の下りなど田舎あるあるで共感した
穴はとても不穏に感じる
そういえば吉田修一の「愛に乱暴」でも少しずつ狂ってきた嫁が離れに穴を掘るという物語だった
主人公が徐々に田舎に馴染んでいくんだろうなという余韻を残してる
Posted by ブクログ
穴は難しかったです。姑からの振込依頼のお金が足りなかったこと、水を撒き続ける義祖父、黒い獣、義兄や子供たちの存在、そして穴。
色々考察してみたがわからないことが多い、だが一つだけわかるのはコンビニで働き始めてからは日常がもどったことだけだということ。
いたちなくは妻の語りが不気味でラストもよかった。
Posted by ブクログ
ある女性が夫の実家のある独特な雰囲気のある田舎に引っ越す。そこでの出来事が描かれるのだが、途中で視点が妻から夫へと切り替わる。不明な点が多く、自分でもこの作品をしっかり評価できているかわからない
Posted by ブクログ
おもろいです。解説班よびたい。
つまりどういうことなのか、何を指している話なのか、はっきりとさせずに読者に解釈を託す文がたまらない。謎解きのように、何度も読み返してみたい。思い出すシーン一つ一つがそういうことだったのかもしれない。と思い、ゾッとするのが魅力的。私は好き
Posted by ブクログ
なんだろう・・・何とも言えない不気味な読後感。
仕事を辞め、夫の実家の隣に住み家賃はただで、嫁姑問題も無くゆったりとした時間の中で進む話。
見たことの無い黒い獣。至るところにある深い穴。
見る度に庭の水撒きをしている義祖父。
1人っ子と聞いていたはずの夫の兄だと名乗る義兄の存在。
穴に落ちたあの日から、何かが変わったような、ありふれた日常に見えて、自分だけが異世界にでも足を踏み入れてしまったかのような時間の進み方が怖い。ああ見えて、義兄が一番まともな気がしていたのに、果たして本当に存在していたのかさえわからなくて、しばらく本を閉じたまま考え込んでしまった。
初作家さんだったが、この世界観は好きなので他の作品も是非読んでみたい。
Posted by ブクログ
前作「工場」での独特で不思議な世界観は引き継いだまま、より奇妙さが溢れるような人物、ストーリー展開になっている。
登場人物間の会話や風景の描写はかなり細かく、現実世界でのその情景が目に浮かぶ。
だから現実では起こらなさそうな少しのズレの描写がより奇妙さを増幅させているような気がした。
Posted by ブクログ
フワっとしているけど、ところどころ不気味さを感じる
穴よりもイタチの話の方が面白かった
職場にもイタチが出たことがあるので笑、
私はその子の姿を見ていないけど残り香があまりにも強烈だったので、あの匂いを思い起こすと少し気分が悪くなる
でも姿は本当に可愛いそうなので鼻を塞いで対面していればペットにしたくなるそう、
Posted by ブクログ
異世界に迷い込んだかのような「穴」。異世界でありながら、実のところリアルな現実でもあるような不思議な感覚。結局のところ義兄はなに??
義兄は語る。家族制度が薄気味悪いと。子孫を残すためにつがいになる。父は子供のために身を粉にして働き、母や嫁は滅私奉公だと。たとえばこんな僕のような子供を残すことに、それほどの価値があるのかと。これは子供をあまり欲しがってない主人公の心の声なのだろうか?だが、最後の一行。主人公もまたその家族制度の中で生きる人になっていくということなのか。
「いたちなく」も「ゆきの宿」もいまひとつ心情がわからない。全体的に薄気味悪く描かれている。妻は妊娠を何故夫に伝えてなかったのか。何故泣いていたのか。アロワナはなんの象徴??
うーむ、、難しい。
Posted by ブクログ
何か起こるでもないのにとても怖い、という不思議な体験ができる本。
大きく分けて2作品が収録されている認識だけど、わたしの解釈ではどちらも「なんか田舎の風習って気味悪いよね」ということを言っている気がした。
祖父の田舎に行った時に、母から「おじいちゃんは蜂の巣から蜂の幼虫取ってそのまま食べるんだよ〜!」と聞かされた時の感覚に似ている。
Posted by ブクログ
表題作を読み終わって「ああ、土地の人になったんだ……」と腑に落ちた気がした。これまではどこかお客さんのようなぎこちなさや、生活に実感もなく暮らしてる感じだったけど、義祖父の死をきっかけに嫁としてそこに居着いたという感覚。
田舎には田舎のルールがあるとでもいうような通夜の席は異様だったけど、あの場で自覚も出たのかな。そうと決まってからはグズグズ考える頼りなさみたいなものが消えている。役割を得て姑のような人になるんだろう。
義兄の言う事が印象的だったし存在自体も面白かったから、現実に居なかったのはちょっとショックだなぁ。
「いたちなく」と「ゆきの宿」は、夫目線では妻の考えが分からず不気味な人物に映った。これは夫が妻のことを何も分かっていない証拠かもしれない。洋子の前では妻は涙を見せているのである。
「穴」の主人公も夫との意思疎通は出来ていない感じだった。義父と義母の関係もそう。家族ってそういう孤独なものかもしれない。
Posted by ブクログ
情景、仕草の表現が細かくて目の前に浮かんでくる。話がよー分からんのは芥川賞ならではのいつもの事。
穴よりもいたちぬきが面白かった。短い話だからか、割と素直に全編読めた。ところどころに出てくる登場人物が気味悪く描かれているのがおすすめのポイント!
Posted by ブクログ
初めて出会った感じの不思議な小説でした。
読み終わっても、疑問だらけで部分的に読み返して解明しようとしてみたがどこがどう繋がっているのか、義兄と義祖父、獣と穴と大勢の子どもたち、老人達の関連など過去と現在が何かで繋がっているのだろうかと読み戻ってみても掴めず。分からない事だらけですっきりはしないのにクセになる独特な作品だと思いました。
Posted by ブクログ
読書開始日:2021年9月7日
読書終了日:2021年9月12日
所感
【穴】
難解だった。
「しんせかい」に似た空気感。
全く歩み寄ってくれない感じ。
あさひの未来が姑なのは予感がしていた。
田舎は日々の動きが少なく、それも専業主婦となると時間を持て余し「穴」にじっといるような感覚に陥る。
だからこそあさひは「穴」に固執していたのだと思う。
こう考えたら楽をしているようになってしまうが、義兄と穴の獣は完全に妄想だと思う。
義祖父の置き去りにされたような痴呆も不気味だ。
義祖父はもうすでに意識が朦朧としていて、穴に篭りたかったのだと思う。
あの地域の「穴」は、何も動きのない日々の恐怖からの逃げ場や、動きとして表現されていた気がする。
なんとも難しく時間がかかった。
【いたちなく+ゆきの宿】
斉木はわかっていた。
主人公が生き物に対する気持ちが希薄なことを。
妻はもちろんわかっている。
夫婦のこれまでの背景が、斉木家の出会いから吹雪の泊まりの日でかなり表現されている。
主人公の「堪能したか」の一言は、かなり危険だ。
一見違和感が無いが、こう言った事柄に悩んだことがある人物からしたら、たまったものではない。
もうしばらくないんだから、記憶に焼き付けろといっているようなもの。
それは妻も夜な夜な泣く。
もちろん主人公に悪気は無かった。
妻は托卵した。
細い腕時計がその証拠だ。
後半2篇はかなり好み。
穴
2人分を時間差で作ると必ずどちらかの方が不本意になってしまう
もし地上に出た日からしばらく雨が続いたら蝉はどうするのだろう
業務や、責任や、愚痴や苦痛は、全てアパートの中空の2dk分の価値しかなかった
調和した、土の内部から染み出たような湿り方だった
いたちなく
ゆきのやど
堪能ね
お前じゃうまくいかないよ
インテリアのようだが、やはり生き物だからな
Posted by ブクログ
数年前に読んだ時、なんだか妙な気持ちになったのを覚えている。そして、なにかの拍子にまた手に取ってしまった。
この本の良し悪しを語るには時間が必要だと思う。
初めて読んだ時、意味のわからない奇妙な余韻が残った。少し怖いような、寂しいような、グロテスクなような。
ただ、記憶に残る。
記憶に残っていたからこそ、数年ぶりに手に取ったのだと思う。
穴に落ちて以来、世界が変わったのか、それとも主人公自身が変わったのか、それは誰にもわからない。ただ、なにか、ボタンのかけ間違えたような違和感だけが残る。
この本について、まだ評価ができない自分がそこにいる。良かったのか、悪かったのか。
もっと長い時間を経ることで、この本の真価を知れる気がする。
この本はそういった本であり、良い悪いではない、ただ読んだ余韻が残る、そういった本。
Posted by ブクログ
とある呟きを見て「そういや買ってたな」と思い出してタイトルだけ読む。そしてさっぱりわからんかった(笑)虫嫌いな方には全くお勧めしない。しかし、こういうものを読んでしまうとますます俺は小説って向いてないのかなと思ってしまう。何回か読めばまた違う世界が見えてくるのだろうか?
Posted by ブクログ
なんとなく怖いような不思議なような独特な雰囲気のある物語だった。
なんでもない日常の中にぽつんと入り込んだ非日常みたいな感じで個人的には好みの世界観だった。
表題作の「穴」よりも「いたちなく」が面白かった。
Posted by ブクログ
なんというべきか…曖昧さの漂う雰囲気。
表題作「穴」:非正規雇用労働の話とか、夫の実家の隣で家賃ゼロで世話になるので姑問題なのかな…と思いつつ、義祖父や義兄への気がかり(主人公は淡々としてるが)…ん?幻想?等 色々思って読んでいるうちに終わってしまった。
まるでろうそくがす~っと静かに消えたような感じ。
…なのだけど、主人公はラストには違う自分にシフトしてる。
激動があるわけではないが、物事は確かに終わっている。
ずっと読んでると正直疲れるのだが、何故か読みたいと思わせられる。
不思議な惹きつけ感があるが、浸りすぎると憂うつになる;
とりあえず、表題作のみの感想。
小山田作品、好きです。