小山田浩子のレビュー一覧
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⚫︎受け取ったメッセージ
虫のような小さな生き物、匂い、共通して庭も登場する短編15篇。
何か引っ掛かる。何かゾワっとする。
日常に起こりそうな不穏。
生きるということは、いつも不確か。
不確かだからこそ、惹きつけられる。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
私は夫と離婚をする。そのことを両親に報告せねばならない――。
日常の不穏と不条理を浮き彫りにする15編。
芥川賞受賞後初となる作品集、ついに文庫化!
実家へ向かう路線バスのなかで、老人たちがさかんに言い交わす「うらぎゅう」。聞き覚えのない単語だったが、父も母も祖父もそれをよく知っているようだ――。 彼岸花。どじょう。クモ。娘。蟹。さ -
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ネタバレ表題作を読み終わって「ああ、土地の人になったんだ……」と腑に落ちた気がした。これまではどこかお客さんのようなぎこちなさや、生活に実感もなく暮らしてる感じだったけど、義祖父の死をきっかけに嫁としてそこに居着いたという感覚。
田舎には田舎のルールがあるとでもいうような通夜の席は異様だったけど、あの場で自覚も出たのかな。そうと決まってからはグズグズ考える頼りなさみたいなものが消えている。役割を得て姑のような人になるんだろう。
義兄の言う事が印象的だったし存在自体も面白かったから、現実に居なかったのはちょっとショックだなぁ。
「いたちなく」と「ゆきの宿」は、夫目線では妻の考えが分からず不気味な人物に映 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2022年、34冊目です。
小山田浩子さんの短篇集です
主人公の目の前にある情景を、注意深く正確に描写していく文章は、
作者の文章の特徴です。どうでもいいような些細な日常を精緻に描いていく中に、
ふと感じる違和感が、ところどころに埋め込まれています。
そして、物語の最後に、その違和感の顛末が出てきます。
それは、少し奇妙な顛末になることが多いのですが、
それまでの文章が、淡々と事実を描写しているので、
一層、その顛末の奇妙さが印象付けられる感じを受けます。
これまで、「工場」、「穴」などの作品も読んでいますが、
「工場」に代表されるように、主人公の女性が、工場で働いている物語の最後に、
工 -
Posted by ブクログ
読書開始日:2021年9月7日
読書終了日:2021年9月12日
所感
【穴】
難解だった。
「しんせかい」に似た空気感。
全く歩み寄ってくれない感じ。
あさひの未来が姑なのは予感がしていた。
田舎は日々の動きが少なく、それも専業主婦となると時間を持て余し「穴」にじっといるような感覚に陥る。
だからこそあさひは「穴」に固執していたのだと思う。
こう考えたら楽をしているようになってしまうが、義兄と穴の獣は完全に妄想だと思う。
義祖父の置き去りにされたような痴呆も不気味だ。
義祖父はもうすでに意識が朦朧としていて、穴に篭りたかったのだと思う。
あの地域の「穴」は、何も動きのない日々の恐怖からの逃げ -
Posted by ブクログ
数年前に読んだ時、なんだか妙な気持ちになったのを覚えている。そして、なにかの拍子にまた手に取ってしまった。
この本の良し悪しを語るには時間が必要だと思う。
初めて読んだ時、意味のわからない奇妙な余韻が残った。少し怖いような、寂しいような、グロテスクなような。
ただ、記憶に残る。
記憶に残っていたからこそ、数年ぶりに手に取ったのだと思う。
穴に落ちて以来、世界が変わったのか、それとも主人公自身が変わったのか、それは誰にもわからない。ただ、なにか、ボタンのかけ間違えたような違和感だけが残る。
この本について、まだ評価ができない自分がそこにいる。良かったのか、悪かったのか。
もっと長い時間