小山田浩子のレビュー一覧

  • 穴

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    主人公は市街から県境の田舎にある夫の実家の隣に引っ越してきた主婦
    田舎の何もない虚無感と自分は一体何をこの町でやればいいのかもわからず、隣の姑、ボケた義祖父を見て見ぬふりしながら暮らしていく
    葬式の下りなど田舎あるあるで共感した

    穴はとても不穏に感じる
    そういえば吉田修一の「愛に乱暴」でも少しずつ狂ってきた嫁が離れに穴を掘るという物語だった

    主人公が徐々に田舎に馴染んでいくんだろうなという余韻を残してる

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    2025年02月17日
  • 最近

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    日常の連作短編集。

    コロナワクチンが何回目だとか、自粛が少し緩くなった頃だとかのことを思い出した。

    夫が救急搬送された深夜の待合室で、ひとり思い出していた子どもの頃…から始まり、弟の話や旦那の友だちの話、おおばあちゃんの話やはとこの話、はとこの知り合いと付き合うことになった弟の話などなど。
    その話の隙間に店にいた客の会話まで入ってくる。
    改行もなくつらつらとひたすら会話が続いていくのにイヤな感じはなく聞いてられるのは何故なんだろうと不思議な気持ちになりながら次の話を楽しんでしまう。
    独特な流れに乗っかって字面みっしりを違和感なく味わった。
    この物語には生活の匂いを感じた。


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    2025年01月17日
  • 最近

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    改行無し。句読点、鉤括弧も控え目。頁一面にみっちり文字の羅列。なのに脳に浸透する…何の変哲もない庶民の日常を素のまま言語化。コロナ禍を俯瞰し、重箱の隅を楊枝でほじくるが如く微細に、且つ珍妙な人々をヴィヴィットに描写していた。

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    2025年01月16日
  • 最近

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    コロナが治まり、日常が戻ろうとするまさに最近の話。
    語り手が変わるだけで、感じ方や景色が変わり、違和感や不穏さが生まれる。まさに小山田浩子文学。

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    2025年01月16日
  • 工場(新潮文庫)

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    中編が3本、どれもよかった。最近は死んだ人の本の方がおもしろいことが多いということがわかってきたので新しい作家をあまり読まないんだけど、ジャケ買いで当たるとやはり嬉しい。
    モノローグの雰囲気がなんとなく『中二階』を思い出す感じで、好き。

    金井美恵子氏の解説がひどくつまらないこと以外はいい本でした。

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    2025年01月11日
  • 工場(新潮文庫)

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    「工場」が一番好き。不思議な世界観でうっすら嫌な夢をずっと見ているような気持ち悪さが面白い。文章の構成は確かに最初読みにくいと思ったけど、慣れてくれば場面の転換や時系列の前後も把握できるようになった。

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    2024年12月20日
  • 庭(新潮文庫)

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    情景など綿密に描写されるありふれてそうな日常を追いかけているうちに、気が付くとありふれているようでそうではない、心がざわざわする世界に誘い込まれてしまっていて。
    「彼岸花」と「名犬」が特に好きだった。「名犬」の婆さん2人の会話が最高。
    あと、普通そこをきっかけに物語が始まっていくもんだろうというタイミングでスパッと話が終わる「延長」になんだか痺れてしまった。


    1年ぶりに再読して改めて思うが、何も家グモを最後に持ってこなくてもいいじゃん…

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    2024年11月02日
  • 庭(新潮文庫)

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    リアルな日常の中に、謎の行事「うらぎゅう」や、裏庭の井戸のどじょうをすくいにくるご近所や、校庭を歩き回る蟹などの奇妙な出来事が忍び込んでくるのが、なんとも言えず気持ち悪くて癖になる。
    何を伝えたいのかよくわからないのに惹きつけられるのは、現代版内田百閒といった風情がある。
    他の作品も気になる。

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    2024年09月21日
  • 穴

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    不思議な世界観が当たり前のように進み、主人公が自然と順応してる様がゾクっとする。
    体調悪い時に見る夢のようなモヤモヤ感。かなり好きでした。

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    2024年08月17日
  • 穴

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    日常に紛れているちょっとした違和感をとても丁寧な描写で書かれていると思う。そのせいか「何でもない」事を勝手に色々妄想。面白かった。

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    2024年06月02日
  • 小島(新潮文庫)

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    どこかの誰かのいつかの何気ない日常だけど、物語の端々に非日常が見え隠れしていて、それが読み手を不安にさせる。でも気になって読むのをやめることができない。

    「かたわら」と「異郷」が特に好き。

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    2024年01月02日
  • 庭(新潮文庫)

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    著者の本は「穴」、「工場」を既読だが、独特の文体が楽しめた.15の短編集だが、匂いに注目している場面が多いと感じた.記憶していることに匂いが連動していることはよく気が付く現象だと思っているが、著者の感覚の鋭さにも関連しているようだ.蟹やクモに注目しているのも意外性があるが、著者の感性に触れるものがあるのだろう.現実とは少し乖離した世界を漂うような感触が得られる好著だ.

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    2023年05月21日
  • 穴

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    ネタバレ

    穴は難しかったです。姑からの振込依頼のお金が足りなかったこと、水を撒き続ける義祖父、黒い獣、義兄や子供たちの存在、そして穴。
    色々考察してみたがわからないことが多い、だが一つだけわかるのはコンビニで働き始めてからは日常がもどったことだけだということ。
    いたちなくは妻の語りが不気味でラストもよかった。

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    2022年11月15日
  • 穴

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    ある女性が夫の実家のある独特な雰囲気のある田舎に引っ越す。そこでの出来事が描かれるのだが、途中で視点が妻から夫へと切り替わる。不明な点が多く、自分でもこの作品をしっかり評価できているかわからない

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    2022年09月06日
  • 庭(新潮文庫)

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    淡々としてて何気ない日常が書かれているように見えて、なんだかゾッとするような不気味さが残る短編たちでした。

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    2021年08月22日
  • 庭(新潮文庫)

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    一見普通の話のようで、最後数行で、えっ、てなる話の数々。後書きにもあるが、いろんな虫やどじょうや蛙や、苦手な自分からすると薄気味悪い生物がたくさん出てくるが、作者はそれが好きらしい。子供を産むことを期待される嫁(女性)の話がたくさん。避妊手術をした犬が最後に姑のように「ウマンテカ」という『名犬』とか、文学。

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    2021年08月19日
  • 庭(新潮文庫)

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    短編15作
    どれもそんなに長い話ではないけど、たっぷり読んだ感
    この少ない文字たちで、どこか別の場所に連れていかれる不思議
    知ってるような、どこか経験したような、理解を超えた理解は妙にリアル
    好物のダルスープよろしく、どう美味しいは説明できないけど最初から好きでずっと好きみたいな

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    2021年02月03日
  • 穴

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    おもろいです。解説班よびたい。
    つまりどういうことなのか、何を指している話なのか、はっきりとさせずに読者に解釈を託す文がたまらない。謎解きのように、何度も読み返してみたい。思い出すシーン一つ一つがそういうことだったのかもしれない。と思い、ゾッとするのが魅力的。私は好き

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    2020年12月28日
  • 穴

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    ネタバレ

    第150回芥川賞受賞作。表題作に2篇の短編を加えたものが本書です。

    古今東西のさまざまな文学を渉猟し、吸収して、敬愛の情を持っている人が書いた作品という気がしました。膨大に読みこんだ読書経験の量を背景に持っているので、どこかブルドーザー的な力強さを執筆に転じて発揮できているのではないか。

    以下、ネタバレのある感想と解釈です。



    見たことのない獣を追って穴に落ちる主人公の主婦・あさひ。主人公にとってはずっと問題のなかった「世界」を見る視座が、穴に落ちたあと気付きもせずにぐらりと変わっているといいますか、世界のほうがごろっと妙な角度に曲がってしまうといいますか。そこも僕には、読んでいて物理

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    2020年12月16日
  • 穴

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    なんだろう・・・何とも言えない不気味な読後感。

    仕事を辞め、夫の実家の隣に住み家賃はただで、嫁姑問題も無くゆったりとした時間の中で進む話。
    見たことの無い黒い獣。至るところにある深い穴。
    見る度に庭の水撒きをしている義祖父。
    1人っ子と聞いていたはずの夫の兄だと名乗る義兄の存在。
    穴に落ちたあの日から、何かが変わったような、ありふれた日常に見えて、自分だけが異世界にでも足を踏み入れてしまったかのような時間の進み方が怖い。ああ見えて、義兄が一番まともな気がしていたのに、果たして本当に存在していたのかさえわからなくて、しばらく本を閉じたまま考え込んでしまった。  
    初作家さんだったが、この世界観

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    2020年07月08日