あらすじ
子供の世界へダイブする、カラフルな短篇集
植物や花、虫やさまざまな生き物が乱舞する、色鮮やかで心躍る「子供の世界」へ!
二人の少年が川原で拾った、怪我をした犬の命運は。(「心臓」)
子供が飲み込んでしまったスモモの種はいつ出てくるのか。(「種」)
「穴」で芥川賞を受賞して以来、独自の小説世界を築いてきた小山田浩子さん。近年では海外に招かれる機会も多く、「日本発のマジックリアリズム」の旗手として注目を集める著者が、言葉の奔流のような文体と、顕微鏡をのぞきこむような高精細な描写で「子供の世界」に挑む9篇。
子供の世界へ身体ごとダイブし、子供が見るように世界を見る、唯一無二のカラフルな小説集。
感情タグBEST3
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いる。こんな子。
この作品の中で子供が生きている。
なにより、視点も人物も情景もシームレスに移ろい続ける文体は読んでいて最高に気持ちがいい。
「小山田さんだー」とゆかいな気持ちになってくる。
Posted by ブクログ
短編集。ひとつひとつ読みおえるごとに、やっと息を吸ってることを思いだす。
頭の中と外、過去と現在、自分と他人、全部つながってるところを実際こんなふうに書いてみせられて、小山田さんて天才かと思った。
はね
心臓
おおしめり
絵画教室
海へ
種
ヌートリア過ぎて
蛍光
ものごころごろ
Posted by ブクログ
「心臓」「ものごころごろ」を読んでいると、自分が小学校に通っていたころには考えなかったが、後から思い返すと様々な家庭環境の子供がいたんだなと感じたことを思い出した。エイジと宏は進む中学校も異なり、すれ違うべくしてすれ違うキャラクターの違いもありそうだけど、それぞれが純粋だった。その二人の母親は、純粋さとは呼べない何かがべたりとくっついているような感じがするが、誇張でも何でもなくそれが大人の嫌なところと言えるものだし、子供との違いなんだろう。
他の短編でも、登場人物が凄くリアルで、夫婦・家族の関係性は短編ごとに異なってはいるものの、全部ものすごく再現性が高いというか、そのまま現実にいるやつでしょこれ、と思えた。「種」で主人公が子供の大便を手づかみするシーンは衝撃だったが、子供との遊びというか自分の趣味に付き合わせ、妻も、そして結局は子供も顧みない能天気な夫も、個人的にはかなり身に覚えがあり、共感性羞恥というか読んでいて逃げ出したくなった。
Posted by ブクログ
帯には子供の世界と書いてあるけど、違う。子供と大人の境目のような。前作の最近では、隠れていたものが、よく見えて来た。好きなのはおおしめり。現実と夢が行ったり来たりする。心臓は、入試に出して欲しい。メタ入試か。ラストホントに感動した。
Posted by ブクログ
息も継がせぬ文体に気圧される。句点一切なしの『おおしめり』は頁一面余白なし。カギ括弧や改行も省略。くどさを感じつつも、読み難くないのが不思議。『心臓』と後日譚の『ものごころごろ』が良かった。
Posted by ブクログ
「最近」に続くコロナ禍の生活を細かく描写している。小山田文学の真骨頂。改行がなく油断すると思考の主体が入れ替わっているので混乱することもあるが、視点、思考、時間、場所が自由に浮遊する感覚は、慣れると心地よい。
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著者初読み。
9編の短編集。
といっても、どれも独特で濃厚な物語である。
「心臓」と「ものごころ」は連作になっていて、幼少期の微妙な友達との機微が自分事として伝わってきた。
子どもの頃の記憶をたどるとこんな世界だったのだと、代弁してくれているようでなんだかうれしいような、くすぐったいような気分。
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短編集。
最終話であの犬が、ハツ、という名前をもらって元気にしていたのが嬉しかった。
全体的にそうなのだけど特に「おおしめり」は「。」が無く「、」も最小限で呪文を読んでいるかのようだった。
Posted by ブクログ
短編集。「はね」「ハツ」の2作品を読んで断念。
改行のない(と思ってよくみたらあった、から、
少ないというべきか)長い文が読みにくくて、少し苦痛。芥川作品にこういうの多いよなぁ、と勝手な偏見。「はね」があまりに不穏で、そこでやめようかと思ったが、次の「ハツ」が犬の話だったので読み進めた。(犬好きなので)また、変な結末だったら、と畏れたけど、まぁ、良い結末で安心した。ふー!
Posted by ブクログ
小山田さんの書く文章はいつもクセのある文体で好き嫌いが激しく分かれそうと思っているけど今回ほもっとクセ強になってきましたね
文中の会話文が「」で書かれず普通の本文中に流れるように会話が入ってきていて、すごく戸惑うのですが、慣れてくるとそれもまた入り込めちゃうから不思議
会話が放流されている感じがします
Posted by ブクログ
いつも難解な芥川賞作家の作品、しかも苦手な短編集。案の定、句読点ゼロ、文の途中で突然年を取っていたり。が、わかりやすく読みやすいのもあった。子供がスモモの種を飲み込んで、母親がものすごく心配する話は、私のことか?
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