あらすじ
夫に付き添い初めての救急車でやってきた深夜の病院の待合室。ふと思い出したのは、子供の頃に聞いた、赤い猫を見ると死ぬという噂――パンデミックというついこの間の出来事を背景に、ある平凡な夫婦とその周りの人々の生活を精緻に描き、日常の外側に読者を連れていく。海外でも翻訳多数の気鋭作家による最新連作長篇。
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Posted by ブクログ
久々の小山田作品。
帯文通り顕微鏡で覗き込んだような解像度で日常、さらには人物の内側まで描き出す。
文体のリズムも相まって無類のドライブを生み出す。
Posted by ブクログ
「最近」(小山田浩子)を読んだ。
ワーオ!
このスキマのない濃密な描写は小山田浩子さんの素晴らしい技であるのだな。
コロナ禍真只中の市井の人々のリアルここに極まれり。
少しずつ絡まり合う連作短編集。
最高に面白かったよ。
蛇足
コロナ禍の時期って私がショッピングセンターの支配人をやっていた時期と重なっていて、感染拡大防止のためのあれこれで精神的消耗が激しく、今思えば支配人を辞める一番の要因だったかもしれない。
Posted by ブクログ
自分が小山田さんの作品に魅かれ続ける最大の要因は、良い意味での薄気味の悪さです。お化けや超常現象が出てくるわけでもないのに、なんというか背中に一筋冷たいものが走り続ける感じ。それはデビュー作の「工場」から一貫しています
Posted by ブクログ
初めて読んだ作家さん。改行なしでどんどん続いていく独特な文体。語り手の視覚や聴覚に入ってくる情報や、あちこちに飛びまくる思考が、そのまま読み手に途切れなくだーっと伝達されてくる。読み手は考えを挟む隙もなく一方的にそれを受け取る感じで、脳内処理が他の読書とは違う体験だった。
内容は、どうということもない日常なようで、不穏さを孕んでいる感じ。好き嫌いはよくわからないが、印象に残る本だった。
Posted by ブクログ
これまで読んできた著者の作品と比べて日常的な内容の話が多く、滝口悠生の小説を読んでいるような気分になった。が、独説明不可能な小さな怪異のようなものが垣間見えるとやっぱり著者の作品を読んでいるのだと思った。
滝口悠生の小説は登場人物が特徴的なキャラクターだが、この本の登場人物たちは物語の登場人物的な引っ掛かりのない現実的な存在で、かつストーリーの起伏も乏しく、段落も改行も全くないのに、何故か読みやすく先が気になる。不思議な読書だ。
悪い人では全然ないが微妙に噛み合わない点がある半田君のリアリティが印象に残った。
Posted by ブクログ
日常の連作短編集。
コロナワクチンが何回目だとか、自粛が少し緩くなった頃だとかのことを思い出した。
夫が救急搬送された深夜の待合室で、ひとり思い出していた子どもの頃…から始まり、弟の話や旦那の友だちの話、おおばあちゃんの話やはとこの話、はとこの知り合いと付き合うことになった弟の話などなど。
その話の隙間に店にいた客の会話まで入ってくる。
改行もなくつらつらとひたすら会話が続いていくのにイヤな感じはなく聞いてられるのは何故なんだろうと不思議な気持ちになりながら次の話を楽しんでしまう。
独特な流れに乗っかって字面みっしりを違和感なく味わった。
この物語には生活の匂いを感じた。
Posted by ブクログ
改行無し。句読点、鉤括弧も控え目。頁一面にみっちり文字の羅列。なのに脳に浸透する…何の変哲もない庶民の日常を素のまま言語化。コロナ禍を俯瞰し、重箱の隅を楊枝でほじくるが如く微細に、且つ珍妙な人々をヴィヴィットに描写していた。
Posted by ブクログ
コロナが治まり、日常が戻ろうとするまさに最近の話。
語り手が変わるだけで、感じ方や景色が変わり、違和感や不穏さが生まれる。まさに小山田浩子文学。
Posted by ブクログ
【収録作品】赤い猫/森の家/カレーの日/おおばあちゃん/遭遇/ミッキーダンス/えらびて
コロナ禍とその後の日常が、一組の夫婦とその周りの人々の視点で綴られている。
淡々とした描写は好みなのだけれど、文が途切れなく続いているのが気持ち悪い。だらだらと… ではないのだが、目にだらだらと見えてしまう。
垣間見える社会諷刺は面白いのだが。