小山田浩子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
不条理小説なのか幻想小説なのかジャンル分けはよく分からないけど三篇収録の中編集。
文字数ぎっしり、ページいっぱい文字、というタイプの文章です。読んで爽快、というタイプのお話ではなく、日常の細々とした違和感が積み重なって…まあ、嫌な気持ちになる系のお話でした。私は合わなくて、最後はほぼ飛ばし読み。
「工場」はまるでラジオを聴いているような感覚。密度の高い実況にたまに混戦した音声が混じるような。とにかく物理的に文字数が多い。ページにぎっしり文字が書いてあり、時系列や場面を無視した文章やフレーズがたまに挟まってくる。とにかく活字を浴びたい人におすすめしたい。
物語の流れや結末は目新しくはないけれ -
Posted by ブクログ
異世界に迷い込んだかのような「穴」。異世界でありながら、実のところリアルな現実でもあるような不思議な感覚。結局のところ義兄はなに??
義兄は語る。家族制度が薄気味悪いと。子孫を残すためにつがいになる。父は子供のために身を粉にして働き、母や嫁は滅私奉公だと。たとえばこんな僕のような子供を残すことに、それほどの価値があるのかと。これは子供をあまり欲しがってない主人公の心の声なのだろうか?だが、最後の一行。主人公もまたその家族制度の中で生きる人になっていくということなのか。
「いたちなく」も「ゆきの宿」もいまひとつ心情がわからない。全体的に薄気味悪く描かれている。妻は妊娠を何故夫に伝えてなかったの -
Posted by ブクログ
ネタバレずっと奇妙なままで終わった。主人公、コケ、古笛、後藤、老人、孫、兄、恋人、工場、生き物、仕事、職員、、出てくるもの全てが奇妙。工場の敷地てわ生活ができるなんてあるの??ベースのような印象を受けた。工場にしかいない鳥とか!こわい。しかもそれが鵜の一種ということで、カワウとかウミウという言葉がたくさん出てきたんだけど、、それも気持ち悪かった。そして最後も???で終わった。黒い鵜の正体は職員なの?わからない。
そして他の2つもよくわからなかった。熱帯魚好きの男の出産祝い。相手の女性はきっと餌の海老をもらっていた子なんだろう。なんで男性は死んだの?
三つ目もよくわからない。よくありそうな会社のシーンな -
Posted by ブクログ
『工場』
工場で働けたことは幸運なことだ。
正社員ではないことや、仕事内容や、存在理由に、若干疑問は残るものの。
日々目の前にある仕事をこなしていけば、時間は過ぎ去る。
疑問は……、とりあえず棚上げしておこう。
従順に、ひたすら働くこと。
そうして人間は、動物に戻っていく。
解説には「ライトなカフカ」とあったけれど、私はカフカとは少し違うように感じた。
『ディスカス忌』
昭和初期くらいによく見受けられる文体で書かれているが、内容は明らかに昭和初期ではない。
ディスカスの遺伝と、人間の遺伝と。
浦部はそれを同等のものとして研究しているような節もあって。
浦部は一体、なぜ死んだのか。
「僕」は -
Posted by ブクログ
「工場」
2010年第42回新潮新人賞
2013年第30回織田作之助賞
不可思議な巨大工場での日々
三人の従業員の視点から
契約社員の女
その兄の派遣社員の男
研究者の正社員の男
非現実的な工場を寓話的に描き
現実的な作業、働くという持続性を
一つの社会として完結する中に読む…のかな?
次作「穴」で芥川賞作家となる事を予測させる作風
「ディスカス忌」
熱帯魚の飼育をする金持の男
若い妻と結婚して子供が産まれる
友人ふたりはお祝いに行く
その後金持の男は妻子を残して亡くなるが
その理由はわからない
語部の僕は不妊について悩み熱帯魚の繁殖
金持夫婦の生殖について蝕むように純文的に
いわゆるわか