西條奈加のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
神楽坂に履物屋を構える、粋な元芸妓の婆ちゃんと孫の物語。
祖父母と孫の物語は、往々にして人情系のほのぼのものが多い。
本作も御多分に洩れず、心温まる。が、時代小説が多い西條氏らしく、潜む人間の精神描写が巧みだ。
罪を犯した者が罰を与えられない。そんな時、その人間はその後どういった精神状態で生きて行くことになるのか。贖罪のあり方とでも呼ぼうか。それを中学生という人間形成期の子供を使って、描いて行く。
あえて答えは出さず、読者の解釈に委ねられる。
温かな雰囲気を醸し出しつつ、散りばめられ一節一節に、普段忘れがちな本質が伺える。
良い一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ六花…雪華の学問的探求にのみ
目を向けていられたら。
そう嘆息したくなるほどに
後半はきな臭く血生臭い。
それが人の世の常とは理解しつつも
大らかな人生を生き通すことのできる
世の中であってくれたら…と泣きたくなる。
この作品に 雪華の美しさは感じない。
人が背負う業というものの過酷さをただ思う。
「おまえは、そのままでいろ」
二度そう言われた何故なに尚七でさえも
民の置かれた境遇に
心揺らがざるわけにはゆかない。
真の学問は 人の生き死にや幸福とは
無縁のものであったか。そう感じさせられる。
学問は力弱く 時代の求めと弾圧の繰り返しで
その多くの本分は歪められてきた。
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Posted by ブクログ
ネタバレ上手く出来てた…!
以下微妙にネタバレ
不思議で有り難い話(授かった神様の力で人を救える)が
いつのまにか神様の力は人を傷つけるかもしれないものになり(p130どうして睦月神さまは〜)
それは「あったかい心(p132)」と言われてみたりして
このあたりまでは
「神様の力を持った女の子と色々な人達との話」というわくわくするような、時に切なくなるようなお話だったのに
後半に進むにつれて…
だんだんと…
そして神様は…
完全なるバットエンドじゃなかったのが救いですが
この設定で謎を残したまま色々な人の罪を映して生き方を変えて行くお話が続いて終わるのでも充分ありで面白かったろうな、とも思 -
Posted by ブクログ
初めて読む作家さん。
元芸者で、神楽坂で履物店をいとなむお蔦さんと、両親の転勤と引っ越しの間、中高一貫校に通うために同居する孫の望の物語。
一世代飛ばした距離感が良い。
両親との関係はお互いになまなところもあるが、「おばあちゃん」は、押しも押されぬオトナである。
読んでいるこちらも、おばあちゃんの、とくにお蔦さんのような、世間が広く、人生の酸いも甘いも知り尽くした言葉には重みを感じるものである。
人の死なない「日常の謎」だが、『罪と人の心』がテーマになっているあたり、すぱっと犯人を逮捕して終わり、と言う爽快感がないうえに、意外に重い。
お蔦さんは、「子供だから知らせないでおく」「子供にはま