西條奈加のレビュー一覧
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書き下ろし
滝沢馬琴の息子に嫁ぎ、失明した馬琴の口述を筆記して八犬伝を完成させたお路の物語。
作者のほんわかした人情話が好きだった。直木賞受賞作『心淋し川』で、読み手が切なくなる人の心の深さを書くようになったが、各話ごとに救いがあった。でも、この作品は書き下ろしのためか、前半までは小心の裏返しで尊大で癇癪持ちの馬琴と息子のためにひたすらお路が苦しむのに、読むスピードが上がらない。夫のDVで流産した場面では読むのをやめたくなった。
ラストを「人の幸不幸は、おしなべて帳尻が合うようにできている。お路は最近、そう思うようになった。不幸が多ければ、幸いはより輝き、大過(禍のまちがい?)がなくば、己 -
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★3.9 2021.03.20
とても読み応えのある物語だった。
北町奉行遠山金四郎の元で与力として働く高安門佑の目を通して、老中水野忠邦の天保の改革を描いている。
史実に忠実であろうとするあまり、説明が長く、途中面白味にかける部分があったが、主人公はもちろん、敵役の鳥居耀蔵もとても魅力的な人物だった。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、門佑の姉の園江には絶対に勝てない。
絶対に勝てない。
武家の子女には子女なりの戦い方があるということか。
↓↓↓内容↓↓↓
町与力の高安門佑は、新任の北町奉行・遠山景元の片腕として市井の取締りに励む毎日だ。その最中、元遊女のお卯乃を屋敷に引き取る。 -
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ネタバレ睦月童(むつきわらし)
著者 西條奈加
PHP研究所
2015年3月10日発行
江戸時代のファンタジー小説。
睦月童とは、座敷童のことらしい。
長編小説だが、7話からなっていて、4話までは一話完結的な展開で、ミステリー小説。後半は、ファンタジー的な展開と締めくくり。
江戸・日本橋の酒問屋の主人が、岩手・盛岡郊外の山里から1人の少女を預かってきた。1年間、預かるという。七つぐらいに見えるイオという少女。
東北弁の素朴なかわいらしい子。しかし、彼女を見ていきなり手代の一人が腰を抜かす。彼女の目が金色に光っているという。そして、店の金3両を着服したことを白状する。
次に金色の目に腰を抜かしたの -
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ネタバレ初代0号では、精神の弱さから
被害者の体験に耐えることができなかった加害者たち
それは実験の失敗だったのだろうか?
死刑囚が死刑になっても奪われた命は戻ってこない
ある意味、この機械が有効な加害者にとっては
死刑以上の刑罰を与えることができるようになったのではないかと感じてしまうのは、
作中に書かれている""日本人的""思考なのかも
話が進むに連れ、
開発者の部下であった江波と仲間の手によって
目的を変え、進化を遂げる0号
その過程がおもしろい
後半は収束に向かってテンポよく進んで
ちょっとテンポ良すぎる感もあるけど
すごくサクサク読めて一気読みで -
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萌の、子供達一人一人と真っ直ぐ向き合う姿が印象的な1冊だった。小学生の時、あまりいい先生に恵まれなかったので、こうやって向き合ってくれる萌先生の元にいる子供達が少し羨ましかった。
ひとりとして、同じ性質の者はいない。
先生じゃなくても、一人一人向き合うのが必要だと、おしえてもらったように思います。
また、大銀杏の下に捨てられていた赤ちゃんを養子にし、先生をしながら慣れない子育てを頑張る萌の姿も、一人の女性として、応援しながら読み進めていました。その萌の子供に対する、萌の母、美津の姿に、微笑ましくなります。
ほっとする、とても優しい、江戸時代のお話でした。