黒原敏行のレビュー一覧

  • 悪の法則

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    映画脚本の日本語訳である。

    選択した気がなくてもいつの間にか選択している。
    そしてその結果に従うしかないってこと。
    他の作品でも見られるマッカーシー哲学を簡潔にした感じ。

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    2015年08月22日
  • 世界が終わってしまったあとの世界で(上)

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     めくるめく世界である。
     あれ? SFだっけ。現代のようだけれども……現代にしては、いろいろとできすぎる、そうか、SFだからか、となる。

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    2015年07月12日
  • 闇の奥

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    夏目漱石が愛読したコンラッドの代表作。
    そして、オーソンウェルズ、スタンリーキューブリック、フランシスコッポラなど巨匠たちがこぞって映画化しようとしたけれども、実現には至らなかった。

    という前情報〔千夜千冊1070話〕に興味をそそられて読み始めた。

    しかし、読みにくかった。
    けっして難しい文章ではないのだが、どうにもリズムが合わない。

    読後に解説を読んでみると、色んな人が翻訳しており、今回手にしたのは新訳だとわかった。
    そして、そこで、原文が読みにくいことで有名だということもわかり、それに対して、それぞれの訳者が色々試行錯誤していることもわかった。

    うーむ、その結果が、こういう訳になるのか。

    正直、なんだか直訳的なリズムで、肌に合わなかった。

    機会があれば別の訳書も読んでみたい。

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    2014年09月28日
  • 悪の法則

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    映画「悪の法則」の脚本。こうして読むと、コーマック・マッカーシーの小説は普段から脚本というスタイルに近い。もともと心理描写がほぼないからか。普段の小説と違うのは会話が多いくらいかも。
    ただ、脚本だけに誰が誰か少しわかりづらい。映画を観た前提で読めば変わるのだろうか。
    映画のビジュアルを意識してか、いつもよりダイレクトにショッキングだった。

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    2014年05月07日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    感情をそぎ落とした文体、訳の分からない異常な殺人行為。
    Cマッカーシーらしい作品なのだが、
    「血と暴力の国」のようなストーリー性は皆無なので
    かなり理解できなかった部分もありました。

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    2013年10月17日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    コーマック・マッカーシーは国境三部作がよかったしその力量を否定するつもりは全くないけれど、最近このテの小説はしんどい。”このテ”というのは暴力や犯罪、性描写がストレートに出てくる小説のことである。
    だいたい、孤独→犯罪を引き起こす、という図式はステレオタイプ過ぎないか。

    孤独が犯罪を生むわけではないはずだと思う。

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    2013年10月12日
  • 越境

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    国境三部作の第二作目。

    オオカミを故郷へ帰そうというくだりは本当にすばらしかったが、その後が少し冗長。
    「すべての美しい馬」を先に読んでいたので、同じような展開に感じてしまい、あまり入り込めなかった。

    ただときどき入る逸話はとても興味深かったです。

    もう少し集中して読めば、この小説の神話的な真価が感じ取れるのかしら。

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    2013年04月11日
  • すべての美しい馬

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    牧場という理想郷を失った少年は新たなる土地を求め旅に出る ―

    アメリカ大陸を横断し、メキシコへと向かう中での景色はまさにアメリカ。
    荒野、草原、平原、稜線・・・著者は広大な世界を読者の我々に、まるでそれが目の前であるかのように描きます。

    それは時に暖かく、時に厳しい西部の大地。
    そして人生も同じです。

    出会い、別れ、失意、幸福、絶望、暴力。
    たくさんの経験が少年たちを喜ばせ、苛み、成長へとつながっていく。

    続編「平原の町」も楽しみだ。

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    2013年03月20日
  • すべての美しい馬

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    アメリカ人にとってメキシコはいつでも夢の場所なんだろうか。ケルアックが目指した喧騒とは異なる、忘れられた南部の夢を求めて主人公たちは国境を越える。しかし、そこにはやはり熱狂があり、喧騒があるのだ。ボロの30年型フォードよりもよっぽど頑張り屋の馬が伴侶となるが。隣人たちは、彼等をまるではるか彼方、1万光年を旅した宇宙飛行士のように崇める。しかし、そこはやはり彼等のいる場所ではないのだ。

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    2011年03月22日
  • 平原の町

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    ジョン・グレディは、「馬」のころにもまして
    厄介の種に対して熱く真っ直ぐに駆け出しすぎる
    喪失から再び彷徨いにいたるビリーは
    世界や運命や人間というものに巻き込まれる
    ジョン・グレディは、個人であり
    ビリーは、個人を取り巻く世界
    個人をつつむ運命と人間への問いかけだった。
    私は、ビリーでいたい。

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    2010年04月04日
  • 越境

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    単に昔のアメリカ・メキシコを描いた物語に見えて
    挿話と主人公のリンクを考えると
    神、運命、世界といったものを描いている作品

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    2009年12月26日
  • 黒い天使

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    愛人殺しで有罪となった夫の無実を晴らそうと若妻は

    偶然見つけた手掛かりをもとにイニシャルMの真犯人を

    探し出そうと一人探偵行に身を投じる。



    「幻の女」(W・アイリッシュ名義)は

    あまりに有名なオールタイムベスト級の作品で傑作だった。

    「暁の死線」はサスペンスフルで徹夜で読んだ。

    短編もいくつか読んでいるはず。

    けれどおおまかな粗筋しか憶えておらず、ミステリーなのに

    事件がどう解決したのか綺麗さっぱり記憶から消えている。

    心に鮮明に焼き付いて残っているのは作品のムードや文章、印象的な場面だ。

    「黒衣の花嫁」「喪服のランデヴー」等有名どころの作品は

    所有しているのにもったいなくてなかなか読みだせない。

    おれにとってウールリッチそんな作家だ。



    「黒い天使」はミステリーとして「幻の女」や「暁の死線」と

    比べても(うろ覚えだけどさ)ランクが落ちる作品のように思う。

    お話がイージーだし解決の仕方もちょっとした捻り、

    程度のものであまり大したことはない。

    この作品の場合事件の真相よりミステリアスなのは

    宝石のように美しい文章で綴られる裏社会や都会の夜、

    そして本人も気付かぬうちに平凡な若妻アルバーターが

    美しくしたたかな「天使」に変貌していくところだ。

    不安と窮地に立たされた彼女自身の視線から語られた本文は

    次第にエロチシズムすら感じさせる。



    アルバーターは夫を救おうとするけなげな妻でもあるのだが

    容疑者たちにとっては企みをもって近づく「悪女」でもある。

    含みのあるラストシーンにしてもウールリッチという人は

    心に女性不信を抱いていたんじゃあなかろうか?

    生涯、独身で孤独な死を遂げた経歴を知ると、なおさらそんな気がしてくる。



    しばらく経てばこの後読むであろう多くの物語に埋もれて、

    「黒い天使」の推理ドラマの部分は忘れてしまうだろう。

    それでも締めつけられるような響きで「オールウェイズ」が

    流れる哀切な場面などは決して忘れない。

    小説を読んでいて久々に音楽が聞こえた瞬間だった。

    「オールウェイズ」という曲を聞いたことがないにも関わらずに。

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    2009年10月04日