宮崎駿のレビュー一覧
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2011年発行。スタジオ・ジブリのアニメーション監督、宮崎駿が岩波少年文庫からお薦めの50冊を紹介する。本書は小冊子「岩波少年文庫の50冊」に掲載された、それぞれの本の紹介とインタビュー記事に加え、テレビ番組「ジブリの本棚」(2010年8月BS日テレで放送)での阿川佐和子氏との対談を再構成し、著者自身が大幅に加筆したもの。「大幅に」というのが宮崎駿らしくて良い。
本書は前々から気になっていたが、最近児童文学に興味が湧いてきたのでついに「読機」が来たと思い拝読。宮崎駿作品のファンで関連書籍はだいたい読んでいたので、氏の思想やその姿勢には触れていたが、それでもジブリ作品の発想の源流を探るようでとても楽しかった。
本書で推薦されている本は宮崎氏の好きな本というわけではなく、知人の少年に向けて選ばれていて、氏が読んでいない本も載っているのが面白いところ。なので少年向きの本が多かったりで、児童文学の入門書的な立ち位置ではない。何より宮崎駿が面白い。「読機」という言葉を産んだ知の巨人、松岡正剛氏のブックナビ『千夜千冊』も、本のあらすじよりその解釈が面白いのだが、それに通ずるなと感じた。
個人的に面白かったのは、まだ若手の頃の宮崎駿が仕事に意欲が持てない時期があり、会社にあった児童文学をたくさん読んで(サボタージュして)引き出しを増やしたというストーリー。宮崎作品の特徴といえば、摩訶不思議なイマジネーションにあると思うが、それはこの時期に培ったのだと合点がいった。
絵や写真を観るより、文章からイメージを想像するのは労力がいる。児童文学を大量に読むことによって頭の中に湧いたイメージは自分だけのものであり、誰も観たことがない印象的なシーンを描く源泉になっている。アニメーションを観てアニメを作っても表現の幅は広がらない。絵を観ることで表現の幅が狭くなるというのは皮肉な話だが、素晴らしい物語を読むことによってイメージを養うことは大事なことだと思った。
また、現代の視野の狭さについての話も興味深かった。『歴史的視野とか人間のあるべき姿とかの大きな主題が、健康とか年金の話にすりかえられてしまいました』と警鐘を鳴らしている。15年も前の本なのだが、現在はますます酷くなっているように感じる。今、希望を持てるような「理想的な未来像」がない。心を育てるための映画や漫画の物語が、現実から逃れるための小さい世界になってはいけない。
現代こそ児童文学の「おおらかさ」から多くのことが学べるように思った。 -
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乱世の世をいかに生ききるか。
平成の世、堀田善衛(ほったよしえ)はあまり読まれなかった。けれども一周回って、今こそ読まれるべき時代になっているのではないだろうか。
池澤夏樹、吉岡忍、鹿島茂、大高保二郎、宮崎駿という現代の知識人が、如何に堀田善衛に惚れ影響を受けてきたか語り尽くした新書である。これは、富山県の高志の国文学館の特別展の図録になっている。絶妙の堀田善衛入門にもなっていた。
堀田善衛の青春時代に親交があったのは、池澤夏樹の父親たちマチネ・ポエティックという詩人グループであり、その関係からその前半生を語っている。昭和の初めから戦後間も無い頃の文学を語る上で、堀田は幅広い親交があり、かつそれを意味つけるだけの思想を持っていたという。その意味で『若き日の詩人たちの肖像』『時間』は重要らしい。
70年代ベ平連に参加していた頃の証言として吉岡忍の以下の言葉は貴重です。
「人間の徹底した激烈さが噴出し、世の中がぐらりと変わる、その歴史の舞台が乱世です。(略)(ゴヤやモンテニュー)を書いた時も、堀田さんにはヨーロッパを書いたというつもりなど全然なくて、人は乱世をどのように生き得るか、ただそれだけを考えて書いたんだと思いますね」。
『定家明月記私抄』はいつか読みたい。
鹿島茂は堀田善衛の文学を「あらゆる可能性を列挙したうえで、収斂はするけれども中心は求めない」「わかりにくい「非決定」あるいは「未決定」こそが、人間の叡智だと言いたかったんでしょう」と述べる。
実は堀田善衛は「ゴヤ」を書いていた時に日本にいたし、「定家明月記私抄」を書いていた時にはスペインにいた。「外側」にいるからこそ、見えるものがあったのだろう。ゴヤの資料収集でスペイン旅を手伝った若き日の研究者大高保次郎は、堀田の眼差しには二種あって、一つは庶民の側から権力を見る、一つは日本を外側から見つめること。だと言っている。私もそうありたい。
宮崎駿に対して堀田善衛から「『方丈記私記』を映画化しないか」という提案があったらしい。これは初めて知った。宮崎駿は躊躇したらしい。これは2008年の講演をもとにしているので、その後作られた「風立ちぬ」(2013)を、私は「天上大風」の額が出てきただけでなく、最初の大地震の場面だけでなく、これは「方丈記」だと思った直感は、正しく当たっていたということが判明した。
現代は乱世だろうか。
かつてない性格の大統領が次々に誕生し、昔ではありえない戦争が起き、昔の経済原則は通用しなくなり、そして大災害が迫っている。乱世から大乱に移る前夜のようだ。この本が出た2018年よりは確実に乱世のアベレージは高くなっていると思える。いよいよ堀田善衛を読まなくてはならない。
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一流ならではの悩みに触れることができる1冊 描くこと1つ、一場面であっても、その背景やバックグラウンド、習慣なんかも全部考えた上で、映画やアニメにするのに、時間とお金を考えて削ぎ落として表現にしていくアニメーションの深さに、現実と理想はなかなか難しいものがあるな、と思った。かつ、アニメーションの世界では、簡単に費用は吹っ飛ぶものなのだとも。ジブリは今では世界にファンがいるブランドにもなっているかわ、過去の各映画をリリースした際はたいして人気と動員が無かったのも今となっては驚き。宮崎駿のなかだけで考えて、答えを出して、そのやるせなさに悶々としたものが積もって、実は体も心もボロボロになっていってるんだな、と想像すら出来なかった一面が見れたのが良かった。巨匠は巨匠にしかわからない悩みは必ずあるな。
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ネタバレ第1部の岩波少年文庫の50冊
『星の王子さま』や『ドリトル先生航海記』など読んだ本もあるが、半分以上は未読だ。外遊びわんぱく時代には読書とは無縁だった。ホームズやルパンは夢中だったけど。気になるのは、『ハンス・ブリンガー』宮崎駿さんが敬愛する石井桃子さんの訳だ。
第2部
「電気がとまり、映像がとどかなくなり、情報がなくなったりすれば、当然ひどく不安になり・・・。それでも世界はあるんです。」という言葉が響く。
嵐のような現実のうねりを見ようとしない日本。
今ファンタジーをつくってはいけないという。
それでも、児童文学は「生まれてきてよかったんだ」というものだという。
何もかも無くしてからでは遅い。 -
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子どもが小学校に上がったくらいから「モモ」とかを読むようになって児童文学って奥が深いなと思ってたけど、宮崎さんもたくさん読まれて想像力が広がったんだなということがよくわかった。
挿絵に対する宮崎さんの考察が興味深かった。昔は今みたいに画像や動画が溢れていなかったから挿絵を眺めることが新鮮な体験になったけど、今は、まさにうちの子どももそうであるように、画像や動画に慣れているから挿絵を素通りしているのかな などと思う。またそのような世の中の変化に合わせて挿絵の質も良くも悪くも変わっているということに気づかされた。(「プペル」みたいな書かれ方の絵本は昔はなかったよなと連想した。)
また同様に、昔は子どもにとっての屋内の遊びは本を読むことくらいしかなかった?から読んだけど、今はいろいろあるから買ってあげたり勧めてみてもなかなか読まない というのも、我が子がまさにそうであるから頷いた。(まあしょうがない。気長に待つ。)
あと、宮崎さんの時代の捉え方も興味深い。曰く、今(2011年頃)は終わりの始まりで、子どもたちが楽しみに観るような幸せなファンタジーは嘘っぽくなるから作れないとのこと。わからなくはない。むしろまあまあわかる。けど、この本の最後にそれを言ってほしくない。というか、(そういうつもりであるかはわからないですが)終わりの始まりに対して我々大人が匙を投げてはならないと思った。
だから自分は、我が子と一緒に本を読んで、ゲームもして、YouTubeもみて、勉強もして、楽しく生きていきたいと思った。 -
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"歴史探偵"半藤一利とジブリの宮崎駿監督の対談本。"風立ちぬ"上映後の対談ということで、同作の舞台でもあった関東大震災~戦後すぐくらいの昭和初期の思いで語りが中心。お互い好きだという夏目漱石についての語りもあり。タイトルから連想されるような零戦・戦艦長門、日本海海戦の裏話あたりのミリタリーねたもあるけれど、それも昔語りの中の一つという感じかな。個人的には昔の東京下町の風景などお二人(&ご両親etc)を通してみる昭和の姿が興味深かった。東京大空襲で他人に助けられた半藤少年と、関東大震災で突き放された堀辰雄の対比も心に残る。
タイトルは半藤氏のコメントから。お二人の反戦・日本人観は共感できるところもあれば、それは老人の戯言・先を観ない理想論だよと思うところもあるけれど、少なくとも、日本人は自分のことを見つめなおして、変に偉ぶるでなく、地に足をつけて生きていくことを考えた方がいいのかなと個人的にも思う。 -
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夏と言えばジブリ。
金曜ロードショーにジブリが並ぶと夏を感じる。
今年は宮崎駿の新作、「君たちはどう生きるか」が公開されています。
ジブリに関する物語が読みたくて、「スタジオジブリ物語」と併読していた一冊です。
1990年代のインタビュー集で、
インタビュアーの渋谷さんも著名な方なんですね。
二人のやり取りが途中喧嘩のようだし、
インタビュアーの考えを押し付けているような印象も受けましたが、文字だけだからですかね。苦笑
映画は受け取り手の見方、
感じ方に委ねたい部分もあるから、
名言はせず抽象的に伝えている印象の宮崎監督と、
だからこういうことでしょ、という感じのインタビュアー。
途中、インタビュアーの文章の方が長くて、
宮崎監督が「そうですね」の一言で返してるのは、
笑いました。苦笑
宮崎監督の最初の一言が、
「いや」「いや、だから」みたいな言葉が多くて、
インタビュアーが違うのか、
宮崎監督の元々の性格なのか、
あまり詳しくない私には判断できず。苦笑
子どもに向けて映画を作っているというのは、
とても腑に落ちました。
「あんな人いない」に対して、
「まだ出会ってないだけかもしれないよ」と言いたい、と。
ヒーローでもヒロインでも、特殊能力がなくても、
ちゃんと自分で立って頑張る、
千(千と千尋の神隠し)を描きたかったというのが印象的でした。
読んでいて宮崎監督節に苦笑いしたり、笑ったり、ほっこりしたり、はっとさせられたり。
宮沢賢治の本が読みたくなりました。