宮崎駿のレビュー一覧
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僕も大好きなジブリのアニメーション映画の数多くを手掛けている宮崎駿さんのインタビュー集。インタビュアーは音楽雑誌のほうで著名な渋谷陽一さん。1990年11月から2001年11月までのあいだの5度のインタビューを収録。
最初のインタビューこそ謙虚さが勝っていてまっすぐに応えようとしている姿勢が感じられるのです。しかし、だんだんと、インタビュアーに慣れてきたのでしょうか、あけっぴろげに感じられるところもあるし、歯に衣着せぬ発言も多数あるし、気難しげなところもあるしで、もともとけれんみの無いお人柄のようではあるのですがざっくばらんに話をしてくれている印象に変わっていきました。その結果、宮崎駿さんと -
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ジブリ作品に出てくる人たちが好きだ。
特に主人公たちは、みんな(たとえ幼くとも)葛藤を抱えて生きているから。
このインタビュー集を読むと、監督の宮崎駿自身が、ものすごく葛藤を抱えて生きている人だということがわかる。
言ってることは、かなりひねくれたオジサンなんだけど、そのものすごく奥の方に、絶対に消えない小さな希望の光がある。
それを力任せに取りだして、みんなにどうだ!!と見せたい反面、誰にも見られたくないから、大事に大事に隠しておきたい、といった矛盾した気持ちのあいだから、こぼれ落ちたものが、ジブリ作品にちりばめられているような気がするのだ。
こんな感想も、宮崎監督は「わかったことを言うな」 -
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映画「風立ちぬ」公開に合わせて、公開前と公開後に実現した長時間座談の内容を記録したもの。半藤一利さんの追悼特集を読んで、やはりちょっとは読んでおきたいと思い手に取った。宮崎駿72歳、半藤一利83歳、8年前の対談である。
お二人とも軍事オタクだから、軍艦や飛行機の話になれば花が咲く。そのあい間にお二人の半生もちょこちょこ出てきて面白い。そしてやはり「風立ちぬ」の中身に突っ込んだ話が半分くらい占めて、私はあまり評価していなかったこの作品をも一度見直したくなった。
以下面白かった部分の要旨を箇条書き。
・半藤一利「日本は、海岸線が長くて、資源が無くて、守れない、持てない国だ。それなのに、基本的に -
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本映画は、スタジオジブリ設立前にトップクラフトによって制作された作品(監督・原作・脚本/宮崎駿)で、1984年に公開された。本書は、同名のアニメ映画の全シーン・全セリフを載せた、文庫版のコミック。2013年に、文春ジブリ文庫/シネマ・コミックの第1弾として刊行された。
映画は、『アニメージュ』に連載されていた同名漫画を原作とするものの、第2巻の途中まで連載された時点での作品(原作は全7巻で1994年に完結)であり、最終的な原作と内容は異なる。
物語は、人類の最終戦争により巨大産業文明が崩壊してから1000年が経ち、有毒の森「腐海」に覆われた世界で、生き残った人類は、その森に棲む巨大な虫「大蟲」 -
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スタジオジブリの初制作作品(監督・原作・脚本/宮崎駿)で、1986年に公開した同名のアニメ映画の全シーン・全セリフを載せた、文庫版のコミック。2013年に、文春ジブリ文庫/シネマ・コミックの第2弾として刊行された。
物語は、青い「飛行石」のペンダントを持つ、ラピュタ王族の末裔の少女シータと、鉱山で働く少年パズーが、最初は「飛行石」を狙っていた空中海賊ドーラ一家とともに、ラピュタ王族の末裔で特務機関を指揮するムスカ大佐の、ラピュタの力を手に入れて世界を支配しようとする野望を打ち砕く姿を描いたものである。
設定は、19世紀後半、産業革命期のヨーロッパを元にした架空世界で、「ラピュタ」という名称は、 -
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ネタバレ――ひょっとすると自分の中にすごくアバンギャルドな創作指向性みたいなのがあって、それを抑圧してるんじゃないかということは全然感じませんか。
「全然感じません。全っ然、感じません」
――ということはやはり、基本的にはいわゆるエンターテインメント的なものへ向かうのは、自然の中の流れであるということですか。
「ええ、そう思ってます。だから僕は――これはあちこちで喋ってることですけど――『人というのはこういうものだ』っていうふうな描き方じゃなくて、『こうあったらいいなあ』っていう方向で映画を作ってます。『こういうもんだ』っていうのは自分を見りゃあわかるんでね」
――(笑)。
「このだらしなさとか、そん -
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ネタバレ「愛国談義」とタイトルにあるが、中身は夏目漱石の話から始まり、新作の「風立ちぬ」の話、そこから発展して関東大震災や太平洋戦争へと続いてゆくが、話はこれらのテーマを行きつ戻りつして、取り止めがない。あちらこちらに面白い話がちりばめられている。どれか興味がある話があれば、「なるほど、なるほど」と思って読めば良い、そういう気楽さのある本だけれども、中身は濃い。
半藤さんはあとがきでこのように書いている。
「いまの日本の政治は期末利益優先の株式会社の論理で国家を運営している。わたくしにはそうとしか見えません。とにかく目先の利益が大事であって、組織そのものの永続は目的ではない。自然環境や医療や教育や自活 -
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