伊与原新のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★天気は誰もえこひいきしない
【感想】
・これはかなり楽しめました。たぶんキャラが好み。
【内容】
・わりと科学の要素が強い科学ミステリ。
・夏生のとこにきた依頼を蝶子が解く。
・所在のわかっている人を探す。
・雷を探す。
・ヤバそうな荷物を運ばされる。
・誘拐されたバイオリンを探す。
・花見の場所取りを依頼された。
▼簡単なメモ
【井出】依頼人。雷を探してほしい。八十には届いていなさそうな老紳士。以前犬探しの以来をしてきた佐久間さんの紹介で夏生のとこに来た。
【江藤佑真】「標準木の恋人」さんの曾孫。
【エルオスの竪琴】風によって鳴る音を楽しむ楽器だったらしい。一度聴いてみたい。
【風が吹けば桶屋が儲かる】蝶子の天気予報で最後に因果関係が不明な何々すればナントカがこうなる的な発言があり皆がどういう意味だろうと考えているらしい。本人も適当に言ってるだけで特に科学的な理由があるわけでもなさそうだ。
【気象通報】NHKのラジオ番組。気象情報を読み上げるだけ。登山していたのでそれを聴いて天気図を書く訓練はしていたけど個人的には現場で自分の目による観天望気のほうをアテにしていた。
【コマツオトメ】桜の品種。ソメイヨシノに似ているが花色がすこし濃い。ぜんぜん知らなかった。ソメイヨシノはコマツオトメとオオシマザクラの交配によるものらしい。
【ゴルフ・カブリオ】夏生の愛車。オープンカー。所有権を蝶子に奪われ運転手扱いとなる。
【榊原菜々子/さかきばら・ななこ】依頼人。音々の母。以前チンチラ探しの依頼人だった木村さんから紹介された。
【榊原音々/さかきばら・ねね】依頼人。菜々子の娘。目白音大の四年生。バイオリンの名器グァルネリぎ誘拐された。
【島本由衣/しまもと・ゆい】依頼人。落とした大事なキーホルダーを見つけてくれた男性を探している。
【宗教】蝶子いわく《わたしに宗教は必要ない。でも、だらしなく生きてるミギタを戒めるためなら、どんな宗教でも利用する準備がある。ゾロアスター教でも真言教でも》p.242
【多部】ウェザーコムで蝶子の後輩。
【蝶子/ちょうこ】菜村蝶子。主人公のひとり、探偵役。「ウェザーコム」の社員。いまはテレビのお天気お姉さん。死んだような目で天気予報を伝える。「無愛想すぎるお天気キャスター」として人気があり、すでにファンサイトがいくつも立ち上がっている。誰に対しても遠慮はないが夏生に対しては特に遠慮がない。笑うとタレ目になる。天気オタクではなく流体力学オタク。元々は研究者になるつもりだったらしい。性格的に上司あたりともめたのかもね。知っていることを聞かれたら答えてくれるが自分から気を利かせて話すことはあまりない。
【寺西春恵】依頼人。高田の森公園での花見の場所取りを頼まれた。
【天気】《それは、しょうがないけぇ。天気は、誰もえこひいきせんじゃろ》p.14
【天気予報】蝶子いわく《天気予報なんて、どうでもいい》《雨が降ったら傘させばいいし、晴れたら口笛でも吹いて帰ればいい》p.48
【富樫】ウェザーコム総合予報センターグループリーダー。蝶子とやり合う。
【富樫美由紀】富樫グループリーダーの妻。ウェザーコムの法人営業部。
【中根勇治】カンザキ冷機の社員。島本由衣が探していた相手。足に機械を落として入院中。
【夏生/なつお】右田夏生。主人公のひとり、ワトソン役。菜村蝶子が転校した小学校の同級生。大人になったいまは探偵とか投資とかやってる。蝶子いわく《夏生は勘だけはいい、夏生の心に引っかかったことは何かしら意味がある》p.54。三人の姉に振り回され「若い女性には分け隔てなく親切にしておくこと」という処世術を身につけた。愛車は初代ゴルフ・カブリオのオープンカー。雷が苦手。
【菜村蝶子/なむら・ちょうこ】→蝶子
【菜村蝶子の母】ガーデンプランナー。
【春】蝶子は春が大嫌いらしい。《春って――希望の押し売りみたいだから》p.83
【ハンカチ】夏生は常にきれいにアイロンをかけたハンカチを持っている。《多少はバカでも貧乏でもいいが、不潔なのは絶対にダメ》というのが三人の姉の厳しい教え。
【標準木の恋人】ウェザーコムに桜リポートを送ってきていた人物のハンドルネーム。的確で一目置かれていた。元気象庁職員。
【ふるさと】夏生は岡山出身。たぶん倉敷の南あたり、鷲羽山近辺かと。出身者としては若干言葉に違和感をかんじつつ…
【右田夏生/みぎた・なつお】→夏生
【ヤマモト】依頼人。ヤのつく商売の人っぽい。とある荷物を運ぶよう指示した。 -
Posted by ブクログ
タイトルを見て、あーあれね、とピンと来る人は生命科学に知見のある方でしょう。
実験の話ではなく、世の中に蔓延る”疑似科学”のメタファーとして使っているようです。
ミステリータッチの謎解きといえば謎解き風で、主人公の二人のうち大学院生と准教授もキャラが立っているし、准教授の心のライバルであり、憧れ・理想の女性であるヒロインも、設定や背景が深堀されており、生命科学系の研究に関係している方でも充分リアリティを感じるのではないでしょうか。
疑似科学やウソ・デマにたいして科学者サイドが目くじら立てても、手を変え品を変え、世間に絶えず湧き出てくる理由が人の不安や善意につけこんで商売する輩がいるのと、それを信じたいという感情を持つ人がいるから、というのは本当にそう思います。まあ、個人的にはマスコミも悪いと思うが、マスコミの科学リテラシーの低さもそうだし、世間も分かりやすく単純さなものを特に好む性質があるかもしれません。
科学は100%や0%を言い切ることはしないため、ズバリ言わないところに歯がゆさを感じて、結果騙されていることを知らない、逆に信じていることにケチをつけられて怒る人も多いのでしょう。主人公の大学院生に合コンで仲良くなった女子大生が言っていた台詞「あたしは楽しいかどうかが大事なの!せっかく人が楽しんでいるのに、疑似科学だのインチキだの、と言われるのは、気分が悪いの。(中略)好きでやっていることだから、もしそれに意味なんかなかったとして、誰かのせいにしないんだから」が、”私は理系じゃないから”という人の気持ちがよく表れていると思いました。
本書では、個人だけではなく、怪しいVEDYと名付けられた深海酵母を川に投げ込んで水質を浄化する、という運動がむしろ環境破壊を促進しているというネタもあり、実害が出てしまうケースは個人の問題で収まらないだけでなく、人の善意に付け込んで公共の被害を出すという、すぐには解決できないであろう話もあり考えさせられました。
が、上記のVEDY関係の会社が制裁されることもなく、挿話的に挟み込まれた、主人公のラボに所属している4年生の女子学生が、なんどもコンタミ事件を起こして、ラボ中のシャーレをダメにしてしまうというネタも、准教授の雑用係である大学院生の主人公がなさけなく原状復帰して終わるだけで、解決することもなく、なんか伏線が回収しきれずに終わってしまった、というのが読直後の感想でした。
その他、主人公のラボにテレビ取材が来て、学生さんが「終電や徹夜は当たり前です」みたいなセリフも、”ブラック・ラボ”的だしどうなんだと。実際あるのかもしれないど、企業のラボでは残業規制が厳しく許されませんよ、本当に、と突っ込みたくなるところも、ままあり★は3つか3.5くらいかな。 -
Posted by ブクログ
学長選挙の迫る地方国立大学に新たに赴任してきた、風変わりな研究者・袋井准教授。昼夜逆転の生活を送り、昼間は眠そうで不機嫌。しかも、ときどきアルコールが入っている。嫌われてもひかれても気にしない、型破りな「フクロウ」は、閉塞感漂う学内のムードをものともしない。次々とトラブルに首を突っ込み、教授たちのスキャンダルを暴き立てていく。彼の目的は、いったい何なのか? 異色のアカデミック・エンタテインメント。(あらすじより)
学長選に伴う教授たちや学部同士のどろどろしたあれこれ。こんなにどろどろしてんのか……。というかこの大学問題多すぎじゃないの?こんなもんなの?フクロウは良いキャラで面白かったんだけど、主人公の吉川が怪しみすぎで嫌な感じだった。