神永正博のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
すごくわかりやすい本。さらさらと頭の中に入っていった。
主張も同意する内容ばかり。データも出されていて納得しやすい。
ひとつだけ、大学の件について言及してみる。
はっきり言って、大学の勉強が社会に生かされないものが多いのであれば、
政府の補助は必要ないように思う。だから、筆者のいう「貧しくても学べるシステムをもっと広げるべき」
というのは順序が間違っていて、まずは大学教育を実学にそったプログラムにすることが肝要かと思う。
最後の一言、「制度」のイノベーションが足りない。
確かにそうだと思う。著作権は既得権益があって対応がされない。
他にも多くのイノベーションを阻害する要因がありそれを取り除くのは容易でない。
働かない正社員によって非正規社員がしわ寄せを食っているのだって既得権益だ。
こう考えてみると日本は既得権益が多いような気がしてくる。(他国を知らないので何とも言えないが)
--気になった言葉--
全体的にみると、最低賃金を上げることは、貧困を減らすための対策としてはあまり強力なものではないようだ(P185)
非正規雇用が増えている事自体が問題ではなく、「非正規雇用者の待遇が、リスクの割に良くないこと」が問題なのではないでしょうか(P192)
統計を眺めて気づくのは「グローバル化が絶対的な貧困を減らす」という事実です(P232)
「より生産性の高い産業に資本と労働力を投入することで、まだ経済成長できる」(P263)
日本には、間違いなく技術力はあります。足りないのは「制度」のイノベーションなのだ(P268) -
Posted by ブクログ
グローバル化が世界的には格差を減らしている。
ただしIT技術による格差影響の方が大きい。
都市への人口流入と二極化。
人口減が、失業率低下や経済成長停滞にそのままつながるわけではない。
PART1 少子化と結婚
子どもは何人欲しいですか/生物学的限界
→晩婚化で、物理的にうめる人数が減っている。
PART2 都市と高齢化
→都市への人口流入。北海道の現状、老人にとっての限界集落が増える。
交通の便がよくなるストロー効果で人口減。
PART3 仕事と経済
社内失業/蜘蛛の糸
→社内失業を考えると失業率17%ぐらい。人口減だからって失業率は改善しない。
同一賃金同一労働
→リスクがある派遣が高くあるのが正しい
相対的貧困率=貧困の指標?/相対的はく奪
先進国における貧困とは?/非正規増加のミステリー
日本の政策がまずいのか/グローバル化を追い詰めろ
→グローバル化は、世界レベルでは格差を減らしている。ただし、格差は技術(IT)の影響の方が大きい。
労働市場の二極化
失われた10年の犯人/勤勉こそ美徳?
→成長会計から、労働時間短縮が成長停滞の理由とする考え方。ただし、現在の停滞は技術の成熟化?の要因が大きい -
Posted by ブクログ
統計データをもとにして、未来を地味に予測する。
・問題を考えるときの最大の罠は、問題にすべきではないことを問題にしてしまうこと、そして、問題にすべきことを問題にしないこと。
・鳥と同じように飛ぶことではなく、「飛ぶこと」を目的にしたから飛べるようになり、馬のように走ることではなく、「速く移動すること」を目的にしたから、速く走る乗り物が作れるようになったのです。
[more]
PART1 少子化と結婚
第1章 日本の少子化、世界の少子化
なぜ子どもが減ったのか/コウノトリはどこへ
少なく産んで、しっかり育てる/なぜ子どもが減っているのか
先進国の出生率を比べてみよう/教育費と出生率の関係
少子化ヲ克服セヨ
第2章 結婚しません?
未婚が増えている/永すぎる春
子どもは何人欲しいですか/生物学的限界
結婚しない/できない理由/結婚の三大リスク
第3章 産む自由、生まれる義務
世代会計― 再配分の問題―/就学前教育の充実を!
大学が高すぎる/このざまはなんだ
子どもさえ増えればいいのか/統計的差別
PART2 都市と高齢化
第4章 人はどのように動いているか
鳥の目でみた日本/うつりゆく三大都市圏
Tokyo/Nagoya/Osaka
北の国から2010/どこに住むか、だれと暮らすか
成熟する地方/秋田の現在、私たちの未来
都会と田舎
第5章 都会は強力な磁場である
人をひきつける力/ストロー効果
超LSI都市/Tokyo―8:00a.m.
街場の理論/過去から現在
そして未来へ/列車の車窓から
第6章 都市壊滅!?
耳をすませば―地震の足音―/地震用語の基礎知識
70% は本当か/考えるヒント
ゆらぎの構造/正しく恐れよう
PART3 仕事と経済
第7 章 仕事というぜいたく
社内失業/蜘蛛の糸
非正規雇用がとまらない/非正規へとつづく道
最低賃金を上げよ、さらば救われん?
「同一労働同一賃金」は正しいか
リスクを織り込む
きれいはきたない、きたないはきれい―ワークシェアリグ―
第8章 もし世界がひとつの村だったら
相対的貧困率=貧困の指標?/相対的はく奪
先進国における貧困とは?/非正規増加のミステリー
日本の政策がまずいのか/グローバル化を追い詰めろ
かつてのアメリカ/先人の心情
モノづくりは、まず安いものから/逃げ遅れる人たち
公害をひきうける「世界の工場」/失業する中国人
貧困を抜け出すチャンス/格差をもたらす共犯者
第9章 日本は変わるのか
労働市場の二極化
これまでのビジネスモデルが通用しない時代
フランスの知識人/人口減のインパクト
成長のレシピ/日本が発展した秘訣
失われた10年の犯人/勤勉こそ美徳?
急募:戦略家/技術力をムダにするな -
Posted by ブクログ
統計本で当たった著者に、編集者が未来予測のテーマでの執筆を持ちかけて出来上がった本、とのこと。
未来を予測するなら、大胆な独自予想をするか、手堅いことを積み上げるかしかない、と思案した結果、後者を選んだとあとがきにある。
各種統計の数字を元に進める議論だが、テーマが膨らみすぎたか。少子高齢化から働き方、高度成長の源泉を探るあたりまでは良いとして、地震の周期・メカニズムまではニーズがあったかどうか・・・。(2010年出版の本で震災前の仙台で、東京を心配する内容なのが何とも皮肉。)
ともあれ、統計の分析が主となれば、そこから導き出されるのはこのまま進めば近未来はこうなる式のもので、もちろん押さえておくべき情報ではあるが、未来への提言とかいう類のものが書いてあるわけではないので注意。
図らずも、未来を設計するのはエンジニアではないということを証明してしまった本。
しかし、タイトルから期待していたのは、「こういう統計はこういうところに注意して読んでいくと数字のトリックに引っかからないですよ」という内容で、それが「統計力」というものだと思っていたんですけどね。 -
Posted by ブクログ
サブタイトルは「思い込みにだまされない数学的思考法」とありますが、思考法を指南する本ではなく、私たちの日常生活の中に数学の法則に従う現象や数学的な考え方で処理されている事例がたくさんあり、それらの事象の裏付けとなる数学的側面をきわめて簡潔に説明するという趣旨の本です。例えば、都市の人口とランキングの両者には法則がある!(ジップの法則)、迷惑メールを判定するアルゴリズムの基礎(ベイズの理論)、DNA鑑定で同一人物と判定されてしまう確率は?(バースデーパラドックス)、粉飾決算を見抜く数学的法則がある?(ベンフォードの法則)、蓋が落ちてしまわないマンホールの形は円形だけか、など。そして古くから知られている有名な数学の問題(一見簡単そうなんだけれど、実は大半の人が思い込みで誤ってしまう、まさに「直観に裏切られる問題」)、例えばモンティ・ホール問題、ビュフォンの針の問題、ルーローの三角形、トリチェリのトランペットなどなど。それぞれの問題についての説明は割愛します(ウィキペディア等で簡単な解説もあるでしょう)が、なかなか好奇心をそそられる問題ばかりです。厳密に証明しようとすると非常に難解な概念などが必要となる問題を、さらっとイメージがつかめる程度の内容で解説してあります。数学っていろんな現象を扱うんだな、という事が良く分かります。ちなみに数式などはかなり少なく、できる限り文章や図を多用してあるので、数学が苦手な人、文系の人でも大丈夫だと思います。