神永正博のレビュー一覧
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ネタバレ証明の美しさを知り、数学の面白さを感じた。
・パロンドのパラドックス
期待値がマイナスの2つのゲームを組み合わせることで、勝てることがある。
・ヒストグラムの線引境界を操作すると、全体的にはプラスでも、各階層の平均値は下がることがある。
・ジップの法則
2群のデータを両対数グラフでみることで、その傾きから何乗則の関係化が分かる。
・ベンフォードの法則
数字の使用頻度はべき乗則+定数に従う。粉飾決算を見破る。
・待ち行列の時間
コンビニのレジ打ち店員が一人から二人になると、待ち時間は半分よりも更に短くなる。
・否定も肯定も不可能な命題がある。連続体仮説とZFC -
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ネタバレ微分・積分にフォーカスして学習をする中で、おすすめの本として紹介されていたので読んでみました。
まず構成が高校の教科書と違って、積分→微分の順に説明されています。この理由は積分は面積を始め、円周や体積などイメージをつかみやすいものの計算に使われることから理解しやすいという理由にもとづいています。一方微分はグラフの接線、瞬間の増加量などわからなくはないですがとらえにくい概念であるということで積分の後に説明が始まっています。
いずれの説明も中学生くらいまでの数学がわかっていれば、積分・微分それぞれの概念をつかむことができるように、また、小学生で習ったような円の面積等の公式と絡めて、積分・微分の観点から答えを導き出せるように構成されています。
また好感を持てる説明として、積分には限りなく小さいものを無視するという考え方が随所に出てきますが、それをうまく説明している点です。数学らしからぬ、「だいたいの値を知ること」から初めて、だいたいの答えの近い値のイメージをもたせてから、限りなく小さい値だった場合にどのように式であらわせるかをうまく説明しています。数学が苦手な人の中にも数式で表すことが苦手なだけで、概念はつかんでいて、まただいたいの答えにはたどり着いている、というケースがあると思いますが、そういった人達を救済しているようなところがあります。
さらに微分・積分の基本のみ考え方にとどまらず、確率統計等に重要なネイピア数や対数の考え方にも踏み込んでいきます。その辺りは軽く触れる程度ですが、それらをもう少し詳しく知りたいと思わせるには十分な内容となっています。
最後に株価のグラフは微分では求められないケースが多いという事例に触れている点も興味深いです。理由はグラフの変化が急激すぎる場合があり、その場合標準的な微分ではうまく接線をもとめられないから、ということです。微分不可能な関数が存在することを身近な事例から紹介しています。
微分・積分は何が理解できたらわかったといっていいのか特定しにくいところがあると感じています。しかしこの本は微分・積分を身近な事例と照らして理解できたと思わせてくれる上手な構成となっています。 -
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微分積分を習い初めのタイミングで参考書として最適なのではないかと思った。微分積分に苦手意識を持った人にも苦手解消のためになる。私は微分積分に苦手意識はなかったが、それは本書と同じような考え方で微分積分を理解しようとしたからだと気付いた。
本書の特徴は積分から解説すること。私も同じ考え方だが、積分の方が直感的で理解しやすいからだ。面積や体積を求める行為が積分なわけだから。微分は積分の反対と考えれば理解しやすい。
また、ネイピア数(e)が微分積分に関わっていることを知り、学生の頃はeってなんだかよく分からなかったけれど、やっと理解できた気がする。1/xを積分するために必要なのね。1/xを1から積分して1になる時のxの値がeということでした。 -
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ネタバレ例えばある企業のウェブサイト上で個人情報を入力するとき、パスワードでログインしさえすればそれが機密事項として守られているだろうことを我々は当然視している。そしてその機密性がどのような機構をもって担保されたものなのか最早気に留めようとしない。この本はそういった暗号を用いた情報のやり取りが、如何なる研究の積み重ねによって今日の姿となったのかを比較的平易な記述で解き明かす。
情報の世界では「秘密をいかに他者に知られずやりとりするか(または如何に掠め取るか)」にこそ価値があるのであり、これが数多の研究者たちを突き動かす動機となっていることが改めてよく理解できる。フランク・ザッパの箴言「Information is not knowledge」が例文として本書に登場するのは単なる著者の気まぐれではなかろう。
(以下読書メモ)
第1章 共通鍵暗号
* シーザー暗号…文字を巡回的にずらす
* 単換字暗号…ランダムな一対一対応 鍵数は飛躍的に増加 頻度分析に弱い
* バーナム暗号…鍵と平文が一対一対応しており堅牢だが、毎回平文と同じ長さの鍵が必要
* ストリーム暗号…1ビット毎に暗号化、スピード重視。平文に比して短い鍵を共有し、その鍵を元に乱数に見えるビット列を作る(伸ばす)
* ブロック暗号…複数ビットをまとめて暗号化。換字と転字を組み合わせたSPネットワークを用いる。フェイステル構造を用いたDESが標準とされていたが、撰択平文攻撃(一定の差分を持つ平文のペアをSボックスに入力し出力の偏りから鍵を推測する)に弱い。日本人の線形解読法(予め平文を選択する必要がない)により破られる。現在の標準はAES。ブロック長よりも長いデータ構造は隠蔽できない。
* SuicaなどのICカードは共通鍵方式(チャレンジ&レスポンス)
第2章 ハッシュ関数
* 語源は「切り刻んで混ぜる」。わずかの改変で出力(ハッシュ値)が大きく変化する
* 「一方向性」「原像計算困難性」「衝突困難性」
* ブロック関数から構成可(逆も)
* バースデーパラドックスによる衝突の回避のためには十分なサイズが必要
* APOP(パスワード認証)…サーバーからのチャレンジとパスワードをハッシュしてサーバーに送信、サーバーでも同じことをしてハッシュ値が同一であることをチェック…辞書攻撃に弱い
第3章 公開鍵暗号ーRSA暗号
* 公開鍵から秘密鍵を知ることの困難性…計算量的安定性
* 一方向性関数…因数分解の性質(順方向に比べ逆方向の計算が著しく困難)を利用
* RSA関数…オイラーの定理を利用。平文Mをe乗して巨大な素数の積Nで割り、その商dを隠して余りCだけを見せる。Cをd乗すればオイラーの定理よりMが得られる。しかし商d=秘密鍵が分からない限り、C、e=公開鍵、Nだけでは元のMもわからない(一方向性)。
* ただしeとNを公開しても、そこから秘密dを計算することが困難であることが必要⇒十分な数と大きさの素数が必要
* ある大きな数画素数であると判定するいくつかの方法があるが、いずれも時間がかかる
* ハイブリッド暗号方式…AESの秘密鍵をRSA暗号により相手方に送る。時間短縮と堅牢さの両立
* 電子署名…RSA暗号の処理を逆方向に行う。署名者は送信者より受け取ったMをハッシュ化したうえで秘密鍵(d,N)で暗号化し送信者に送り、送信者は公開鍵(d,N)でMを復元しハッシュ値を比較する。その場合、公開鍵の正当性が証明されていることが必要⇒公開鍵証明
* SSL…クライアントはサーバの公開鍵で秘密鍵(の基)になる乱数を暗号化しサーバに送り、暗号化された通信経路を確立
* マイナンバーカード…電子署名とほぼ同じ。ICカードと異なりサーバ側に秘密鍵がない
* RSAの脆弱性…Nの素数が共有されている場合、Nが共通である公開鍵、小さな公開指数e、連分数攻撃
第4章 楕円曲線暗号
* RSAの弱点=巨大な素数を準備しなくてはならない ⇒楕円曲線暗号
* 楕円曲線上の離散対策問題…有限体上の楕円曲線では、スカラー倍(Q=mP)を計算するのは簡単だが、PとQからmを求めるのは困難(一方向性)
* ビットコイン…直前10分間の取引の承認のため、直前のブロックのハッシュ値に「ナンス」を加えてハッシュ関数に通し、先頭に決まった数以上のゼロが並ぶようなハッシュ値を探し出したマイナーに12.5ビットコインが付与される
* 計算量…データのサイズnが十分に大きいとき、計算回数がnのどのような式で表されるか。指数時間>準指数時間>多項式時間
* 一方向性…「計算アルゴリズムの改良には限界があり、多項式時間のアルゴリズムまでは到達できない」という前提。これが量子コンピュータにより崩壊するとするなら、理論計算機科学におけるP≠NP問題(検算するよりも問題を解く方が難しい)が成り立たないこととなり、RSA暗号も楕円曲線暗号も安全ではない
第5章 サイドチャネルアタック
* ハードウェアの誤作動を手掛かりに暗号解読
* フォールトアタック…故意にICチップに誤動作を起こさせ、間違った処理と正しい処理を比較。e.g.レンストラDFA
* ハードウェアでは、ICチップ上のデータの流れの変化(0→1、1→0)が電圧の変化として現れる(データ依存性)。DPAトレースはこれを利用し、多数の鍵候補の中からフェイステル構造のボックスに対応する正しい鍵を割り出す -
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201202/
社会の安定は、子どもの出生数に大きな影響を与える/旧東ドイツはベルリンの壁崩壊後に合計特殊出生率が大きく下がる/
男性の年収と結婚している割合(有配偶率)との間には、身もふたもない関係がある/
子どもに注目してみた統計によれば、驚くべきことに、所得そのもので見た貧困率よりも、社会保障費や各種控除などを含めた再分配後の所得の貧困率のほうが「高く」なる/
子どもたちは、高齢者の世話をするために生まれてくるのではありません/
「子どもの数を増やすことで、社会の状態がよくなる」わけではありません。「社会の状態がよいから、子どもを安心して産める」のです/ -
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【内容備忘録】
共通鍵暗号
第一次世界大戦のシーザー暗号から始まった。
たくさんになると、偏りから解けてしまう。英語ではeが多い。
バーナム暗号は排他的論理和を使っている。
鍵の使い回し、鍵がばれてしまわない限り最強。平文と同じ長さの鍵を用意してしかも毎回変える必要があるのが難点。
ストリーム暗号
バーナム暗号の難点の平文と同じ長さという難点に対して、ある決まった鍵を引き延ばして繰り返すことを行なっている。
RSA暗号、RC4、WEPに用いられているがもう弱い
ブロック暗号
ビットごとに暗号化されていたストリーム、バーナムに対して、ビットをある程度まとめて、Sボックスで処理をするのを繰り返す。
AES、DES(線型解読法で破られる)
スイカなど改札、処理が早い
◯ハッシュ暗号
バッシュ関数は一方向性が大事
改竄検知が目的なので、ハッシュ関数にかけた後が全く同じ(衝突)するとダメ。衝突しないことをを衝突困難性と呼ぶ。衝突しないようハッシュ値の長さを決める。
パスワード認証
APOPというプロトコル。サーバからのチャレンジCが盗聴可能なので、パスワードがわかりやすければ辞書攻撃が可能。辞書にないものも脆弱であるため、現在APOPは非推奨。SSL/TLSの上で用いることが推奨。
◯公開鍵暗号 RSA暗号
ディフィーヘルマン1976年の発表がベース。掛け算は容易だが大きな数の素因数分解は難しいという一方向性を用いている。オイラーの定理を用いて、開ける鍵と閉める鍵が異なる暗号系ができる。
ミラーラビンテスト
RSAには巨大な素数がたくさんあることが必要。素数であるか(素数として捉えて良いか)を判断するミラーラビンテストがある。
公開モジュラスNのサイズ・秘密指数dのサイズ
素因数分解が簡単でないサイズのNを使う必要がある。dは、連分数攻撃に耐えるために、十分大きくとる。
ハイブリッド暗号方式
RSA暗号は大きな整数のべき乗を扱うので時間がかかる。そこで、共通鍵暗号の秘密鍵をRSA暗号で通信したい相手に送り、安全に鍵を共有する。その後はAESで行う。
電子署名
その人の公開鍵であることを知らないと成り立たない。そこで認証局が必要になる。
SSLは電子署名を応用。
マイナンバー
2048ビットの RSA暗号を使ったチャレンジレスポンス形式。マイナンバーカードには秘密鍵が入っている。サーバー側には公開鍵があるので、サーバの情報が流出しても安全。
◯公開鍵暗号 楕円曲線暗号
楕円曲線上の離散対数問題を用いる。
楕円曲線を有限体で考えた世界で、P=mQのmがわかるのは難しい。
ビットコイン
前のブロックのハッシュ値+ナンス+10分間の取引データをまとめてハッシュにして先頭に0がいくつか並ぶようなナンスを求める。これをマイニングという。平均10分で条件を満たすハッシュが見つかるように調整されてる(まじ?)
台帳のブロックが続いていくからブロックチェーンと呼ばれる。改竄が難しい。取引記録を改竄するとその取引だけでなく他のハッシュ値もかわる。そのためには51%以上のママイニングパワーが必要で、正当なマイナーになったほうが得。
量子計算機
計算機科学者のピーター・ショアによれば量子計算機を使えば離散対数問題と素因数分解が多項式時間で解ける。量子計算機がでれば公開鍵暗号は死を迎えるかも。
サイドチャネル攻撃
オーバーフロー攻撃や差分電力攻撃について
差分電力攻撃DES
ICカードの中にはたくさんのバイパス線がある。その電圧(0 or 1)の観測と平文をたくさん送ることにより、秘密鍵を知ることができる。
意図しないところで、アタッカーとディフェンダーの攻防は続いている
【感想】
暗号について、公開鍵暗号、RSAや共通鍵暗号、AES、ブロックチェーンの技術など幅広い技術が学べる本だった。
だいぶ前に買って積読していたが、3,4月の2ヶ月を使って2回読み直した。
買って良かったし読んで良かった。
特に印象的だったのは、暗号資産の部分である。
攻撃を成功させるには51%のマイニングパワーを握る必要があるが、その場合正当なマイニングをした方が良いという仕組みがあり、よくできているなと思った。
また、マイナンバーには秘密鍵が含まれており、サーバーが攻撃されても公開鍵しか流出しないようになっている点や改札にICカードをかざす際に行われている処理など、日常に身近な技術要素について知ることができた。
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Posted by ブクログ
第3部は様々な分布の適用例が紹介されていて、興味深い。
所得の分布は、2000万円までは対数正規分布、2000万円以上はべき分布となる。
正規分布は足し算で、対数正規分布は掛け算で出てくる分布。
べき分布は、ランダム性に基づくもの。運が左右する。
2000万円は、サラリーマンの給与所得だけで獲得可能かどうかを反映している。
事業所得、株式売却益は変動が大きいため、べき分布になると考えられる。
株価の変化は、±1標準偏差までは対数正規分布で近似できるが、それ以上はべき分布になる。
対数差分は、2つの値の比の対数を取ったもの。
山火事の頻度は、焼失面積に反比例するため、無理に防いでも意味がない。
金融機関のネットワークは、スモールワールド性で説明できるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ちょっと数学を学び直してみようと思い、タイトルに「超」入門と書かれた本書を読んでみた。本書が重要視しているのは微分や積分の本質をつかむことであり、公式は調べればすぐ知ることができるので憶えなくてよいというスタンス。数学の公式を憶えることが苦手だった私にはピッタリな内容だった。
私が勉強になったのは、円の面積や球の体積の公式を積分を使って導出する方法や、円の面積と円周長さの関係、球の体積と表面積の関係について。あとネイピア数 e がどういうものなのかも理解することが出来た。
高校の授業では問題を解けることに重きを置いていたが、そうではなく本書のようにもっと本質的な内容を教えてくれればよいのにと思う。