畑村洋太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
組織やプロジェクトの失敗をどのようにリカバーするか。ということが書かれているのかと思って入手したのだが、そうではなかった。個人の内側の話。成功本では絶対に書かれないであろう「失敗を他人のせいにする」などある意味痛快である。
生き続けるために必要なことは何かを考えさせてくれる本。
P.60
何か失敗が起こると、必ずこの"正論"を振りかざして、失敗した人を責め立てる人が現れます。
しかし、こうした正論の通りに行動したところで、実際には失敗が完全に避けられることはほとんどありません。
なぜなら、こういう場合に使われる正論の多くは、きちんとした分析によって導かれたものでなく、たんなる建前論になっているからです。正論とは名ばかりで、その人の主張を正当化するための詭弁であることもあります。
一般的には、柔軟さがなく、社会をきちんと観察していない人ほど正論を好みます。
聞く側の態度しては、一応は耳を傾けているふりをするというのが無難でしょう。 -
Posted by ブクログ
失敗学のすすめで有名な畑村洋次郎先生。
某漫画で、金をかけて作ったものが良いモノとは限らないが、失敗を知って、それを乗り越えて作ったモノなら、それは良いものだ。とあるように、エンジニアリングには失敗が付きものであり、それを知見としてまとめ、今後に生かしていくことは極めて重要なプロセスである。
そんなのあたりまえで、一般論かつ理想論ではないかと反論するかもしれないが、実はこれを体系的に整理し、設計(保守)にフィードバックすることはなかなか難しい。
具体的な方法論は失敗学のすすめを読んでもらえば良いとしても、ここでは本書「未曾有と想定外」の書評を記す。
まず、筆者は未曾有という言葉を使い分けの説明を行う。未曾有というのは、歴史上初めて事象であり、いまだかつてないものと定義する。この言葉は便利で、どこぞの電力会社の言い訳によく使われているが、それを使うと本質を見えにくくするという可能性を有する。
確かに、今回の事象は未曾有の事象であり、対策のしようがありませんでした。と、いわれるとなんだかしょうがないな、と思ってしまうけれど。
筆者は、これについて2つコメントをしていて、未曾有という簡単な言葉で終わらせることなく、物事の本質を見抜くつまり、なぜ、大地震を予測出来なかったか。そして津波が来たときにどのような事を起こりえるのかを考えなかったのか。という原因分析の必要性を述べている。
そして、歴史的に見ると、今回の津波は数百年スパンで見ると決して珍しいものでなくむしろ過去に数回起こっている。しかし、哀しいかな人間は忘却の生き物であり先人たちの失敗を再び繰り返してしまったとも述べている。
今回の原子力発電所の事故で調査委員会のトップとして、文字で今回の事故を記録し、何が良くて何が良くなかったのか―それは誰に責任があったのかという問題ではなく―を知見として残し、今後に繋げていくことが責務であると述べている。
が、残念ながら筆者は原子力の専門家でないのが至極残念。
電気事業者が「絶対安全」を繰り返し使用してきてこの事故は組織に改善の意識が乏しく、マニュアル通りにこなせば良いという考えが蔓延した結果だと言っている。まず、原子力のエンジニアが「絶対安全」といったことは絶対ない。なぜなら、現場の作業員は、原子力は事故を起こせば危険であり、作業ミスを起こせば、事故につながるという意識で作業しているため、原子力が絶対安全なんて考えるはずがない。むしろ、原子力は危険ですが、こんな対策をして十分リスクが小さくなるような作業をしています、という説明をするだろう。絶対安全はマスコミが創りだした、妄想である。
そして原子力システムをあまり理解していないようである。
まず福島第一原子力発電所1号機でアイソレーションコンデンサ(IC)を操作員が手動で停止したことは問題であると考えているが、これに関して反論がある。まず、著者は緊急時でICを停止し、冷却を停止したため炉心溶融が早まった。もしICを運転し続けたら延命でき、その間にベント操作して炉心溶融は防げたと述べているが、ICを停止したのは、原子炉がスクラムをしてICが自動で起動して、津波が来る前の出来事である。どうしてテレビやニュースが聞くことができない状況で、ましてや大津波警報が出ててて4mとアナウンスされた状況で、10m規模の津波が襲来し、ICが起動できなくなることを予測できたというのだろうか。
また、原子力ビジネスは建設から発電に至る全てのプロセスは許認可制度である。
つまり、事業者の設計に対して安全性に責任を持つのは許可者である国である。それなのに、筆者は組織にのみ注目して、制度のあり方には触れていないのは極めて残念である。
調査委員会の最終報告書が待ち遠しいが、これらの点に言及し、調査していることを望むばかりである。
本書は、事故が起こり調査委員会にアサインされたために今までの筆者の考えを短くまとめたという印象が強く、内容はあまり吟味されていない感じである。
筆者ほどの著名な方が、軽々と今回の事象は組織事故であり、頭でっかちの電力会社の体質に問題があるという意見を述べるのは軽率すぎると思っている。
それならば、今回の事故をよく観察し、一般の企業にも起こる想定外(これはマニュアルに記載されていない事象という意味)の事象に、どのようにアプローチしていくのかという方法論を実例とともに紹介するほうが良かったと思う。 -
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ネタバレ数学の雑学本.
それぞれの単元を習う前と習った後に一読したかったなとつくづく思う.
著者も述べているように読んだからと言って数学の点数が上がることはほとんどないだろう.逆に勉強をしない免罪符にもなりかねないような記述も多かった.
著者は数学が根本では好きだから,数学が嫌いな人や敬遠しがちな人が本書を読んでも,やはり数学というもののとっつきにくさは変わらないように思う.
本書を読んだだけではそこの壁はやはり越えれないように思う.
でも,個人的には数学は嫌いではないので読んでいて楽しかった.
虚数の名づけ方は自分自身の深慮のなさを思い知ったので良かった.
具体的なモノをまず考えるようにしようと思う. -
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ネタバレ本文より・・・本当の意味で未来への不安に打ち勝つためには、やはり自分をおびやかしているものの正体をしっかり見極めることから始めなければなりません。正体がわかれば、対処の方法も生まれてくるはずです。・・・
私たちは、不安を感じながらも、不安の原因を直視することができない。試験の直前に部屋の片づけをはじめてしまうように、本当に対峙しなければならない問題を先送りし、些細な日常に埋没しようとする。そうすることで、不安の原因は積み重なって何処から手を付けたらよいか分からなくなってしまう。
確かに失敗を真摯に受け止め、活かしていくことは苦しい、しかし失敗の種を撒き、刈り取れない程伸びてしまうほど放置するように、問題を先送りする方が、もっと苦しいことは言うまでもない。 -
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面白かった。ソニーの苦手なマーケットインをサムスンがうまくやっているけれどなぜか?成功にいたるまでの改善活動が触れられていますが、日本でもよくやられている失敗例だったり、まあうまくいかないだろうなとおもうようなことだったり。よけいに自分の会社との本質的な違いがどこか?ということが理解できます。成功の理由はモノを作るのが圧倒的に簡単になっているという事実から作られたversatileな設計、開発、生産システム/プロセス。それから現地化したマーケティング部隊。
失敗学で有名な畑村先生も共著だけど、たまにコラムのページで登場するくらい。日本人でサムソン内部のプロセスを三次元キャド導入で変えた筆者の言葉に重み。
学ばなくては。 -
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数学のコツというよりも、数学の根本的な概念・考え方をやさしく説いた本。数学において何よりも重要な定理や公理はみんなが当たり前のこととして捉えているが、この本ではそれをただ暗記するだけではなく、どうしてそう考えるのか、どうしてそう展開するのかについて触れており、数学がわかるようになるよりは数学が好きになる本だと思う。
でも結局、中には"そういうモノ"として受け入れなきゃならない定理はあるもので、それはまぁ都合のよい解釈だけどそうなるんだから受け入れてネ、のようなゴウインな進め方もあった。けれど、すんなり受け入れられるように現実に即して説明しているのでなぜか許せてしまう。数学を長年使い、かなり深い部分まで理解した筆者だからこそ、ここまで合理的に説明ができるのだろう。 -
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数学がもっと分かるんじゃないかと淡い期待を抱いて買ったのだが、期待外れ。たまに感心することはあっても、理解の足しにとかはなかったかなあ。さすがにここに出てくるレヴェルの話は道具として使いこなせてるはずなので。塾で教えるときの参考になるかも?ところで塾で教えていて、数学なんて将来役に立たないやん、て言われる。図形の証明をやらせると、「俺、建築士とかにならへんし」と万事そんな調子。それはその通りなので、「でも仕方ないからやれ」と言ってる。僕自身の場合、物理をやりたいがそのためには数学が必要というわけで数学と付き合う理由がはっきりしているのだが、数学が分からなくても困らない人にとって数学を学ぶ意味はなんだろう? 論理的思考とかそういうこと? 著者はなぜこの本を書こうと思ったのか? 本文中、高校までの数学教育への批判が至るところに顔を出す。ちょっと感情的過ぎるんじゃないかと思うこともあるけど、この人の批判は正しい。けど、少なくとも、数学の真の姿を知ればみんな数学が好きになるだろう的な楽観論でこの本を書いてはいない。書きたいから書いただけなのかも知れんけど、気になった。第1章と最後の語録に出てくる山の高さの例で、現実的かつ簡単に高さを求める方法は、山に向かって一直線上の二点から頂上の仰角を測り、タンジェントを使うことだろね。他の方の感想を見てみると,続編があるようなので,そしてそちらの方が先に読むべき感じのようなので、読んでみようかしら。