初野晴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
うん、なかなかよかったです。
ちょっとSFやファンタジーの要素が入ってて
そして、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』をモチーフに
ラブストーリーとミステリとハードボイルドを
全部混ぜ合わせたようなテイストです。
ま、悪く言えば、中途半端とも言えるし、
きっとそんな読後感を抱く人もいるでしょう。
でも、個人的には楽しめたのでよしとします。
医学的に脳死と判断されるも、特殊な装置により月明かりの
ある時にだけ会話ができる少女。
そんな彼女にあるものの運び屋を頼まれた、暴走族の少年。
このふたりを軸に、連作短編集のように、いろんな人物の
物語が紡がれていきます。
章ごとにイメージやテーマがが -
Posted by ブクログ
実は初野作品、未読でした。今作が最初の作品。
途中からミステリというよりはファンタジーだと意識を
切り替えて読み進めて正解だったかも。
ファンタジーというにはあまりにも黒く、哀しいストーリーでしたが
目を惹きつけて離さないオーラに満ち溢れた作品でした。
地面を境にして上下で繰り広げられる、そして、その
両方がかなり現実とはかけ離れた世界であるにも関わらず
両方のストーリーを追うことを止められない中毒性。
色々アレ? ここはどうなんだっけ? と読み返したくなる部分も
多いながら、勢いを殺ぎたくなかったので、とりあえず一気読みしてみました。
きっと自分の読み方の雑さには自信あるので、読み落と -
Posted by ブクログ
眠ったまま死に至る原因不明の死…。勢力絶頂の地方暴力団の団員たちの間に広がっていくこの現象は、病気か連続殺人なのか?組長代行らに送られた脅迫文とも読める謎のメールとの関連は?一方、下側の世界…。身体中に怪我を負ったわたしを助けてくれた浮浪者たち。彼らは「王子」「時計師」「ブラシ職人」「画家」などの呼び名で真っ暗闇の巨大な暗渠のなかで暮らしていた。上側の暴力の世界では、高遠が仕掛ける人間同士の殺し合いの様子など残酷な場面がまず目につく。ひぃー。だが、彼らがふと漏らす話から、プロローグ以降の二人の過去---人々のどす黒い悪意に満ちた行為の犠牲となっていた子供時代---が垣間見られ、彼らの冷酷すぎる