宮下規久朗のレビュー一覧
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『そもそも美術というものは、純粋に美を求める気持ちから作られ、鑑賞されたものばかりではない。美術作品は、モノとして社会に流通する商品であり、政治・経済のシステムに組み込まれている。
芸術家とよばれる人々は、かつては一介の職人であり、生活のために工房で毎日絵や彫刻を作り、それが売れれば量産し、売れないものは作らなかった。あるいは王侯貴族や聖職者に仕え、注文されたものだけを作っていた。自己の芸術的な信念のために、世間と妥協しないで納得のゆく作品しか作らない孤高の芸術家というのは、十九世紀に成立したロマン主義的なイメージにすぎない。もちろん、そうした芸術家肌の者も大昔からいたであろうが、そうした者の -
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美術展は好きで良く行くのだが、美術というと、静かな所で黙って見入る物だと思っていた。そういう意味では、この本は私の美術観をいい意味で打ち破ってくれた。確かに歴史的に見ても芸術家にも色々な人がいて、人間臭い世界があるのは分かっていても、美術館の様な荘厳な雰囲気だと、背筋を伸ばして鑑賞しなければならないような気になる。しかし、実際の所は大半の芸術家は金や名誉のために絵を描いていたのだろうし、色々泥臭い世界があったはず。この本はそういう世界を面白く、分かりやすく書いてくれていて、肩の力が抜けるというか、美術に親近感を抱くようになる。しかし、私が最も関心を持ったのは、民間芸術の件。歴史上には表れない、
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[ 内容 ]
20世紀を代表する美術家であるアンディ・ウォーホル(1928‐1987)は、生前における多方面にわたる活躍やメディアへの頻繁な露出から、これまで様々な流言飛語に曇らされ、毀誉褒貶に包まれていた。
しかし、1989年にニューヨーク近代美術館で大規模な個展が開催され、94年にはアメリカにある個人美術館としては最大のアンディ・ウォーホル美術館が開館するなど、その多面的な芸術は正確に評価されつつある。
「孤独なトリックスター」の実像とは―。
本書は、日本での大規模なウォーホル回顧展にも関わった美術史家が、ウォーホル芸術の意味と本質に迫り、それを広く美術史の中に位置づける画期的論考である。 -
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ウォーホルって正直陰湿で粘着気質のキモい感じの印象を受けてしまっていたんですが(ごめんなさい)
見方が変わったかな。
彼が「死」というテーマを追っていたことはなんとなく知ってはいたけれど、それをより明確にしてくれた感じ。
商業としての美術。
いかに個性を際立たせないか。
自分も絵を描くけれど、
「無」になりたいという気持ちは勝手になんとなくわかる。
自分などいなくなってしまえばいいと、
自分の世界の中で思う。それが作品につながっていく。
もうなんか、絵を描くことによる自己主張とかそんなんじゃない。うまく言えないんだけど。
「わたしはここにいるよ」って嘆きと -
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アンディウォーホルの足跡を辿る一冊。事実の信憑性はさておいて、ウォーホルがその時々で誰に影響を受けその作品を創ったのか、アイデアのネタは何だったのか、作品を追って書かれているので、すごく斬新で重要な事のヒラメキを追体験している様に感じられて面白い。
抽象絵画時代からの脱却を念頭に置いて、現代におけるアートへの新しいアプローチを模索し、作者不在=汎用品の再利用 複製技術といった自己を希釈させるような手法を使う事で作品の独立性を増し、さらにメディアを使い操作した作者のブランディングがウォーホル自身を、逆接的に作者不在の作品、の作者たらしめている。
記号としての作者と作品の関係を巧みに操った作家 -
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カラヴァッジョの名と絵を知る人で、「あぁ、あの殺人を犯した、放浪の、呪われた天才画家……」といったことを知らない人は少ない、と思われます。むしろそちらのイメージが強烈で、自身の絵画を本気で観賞した人は少ないかも。これは、近年日本で刊行された、彼の生涯を追って作品についても語られるモノグラフ。入手しやすいカラヴァッジョへの入門書として。地図、図版(白黒だけどしょうがない)多数。とても参考になります。私も実は、彼の展覧会、国内で1度しか観たことがありません。でもそれらの絵は、私の想像どおり、というよりは想像を遥に超えたものでした。バッカスとかメドゥーサの絵が有名かもしれませんが、宗教画はものすごい
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宗教や倫理観、作家の人生などを背景に人間の欲望(権力、生存、性愛など)が投影された美術品を解説している。新聞の連載を下敷きにしているため一つ一つの作品に対する解説は短く、ダイジェスト的になってしまってはいるが、読みやすく美術鑑賞の入門編として良さそう。
刺青についての解説もあった。海外の「タトゥー」より、日本の「刺青」は迫力や生々しさ、人間観までも表現している世界でも稀な「芸術」と評しているのが興味深かった。おっかないイメージの方が強いが、そういう見方もできるのかと。
ピカソの「ゲルニカ」の解説も面白かった。反戦メッセージの濃い作品として知られているが、絵の端にはピカソの私生活における痴情