宮下規久朗のレビュー一覧
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カラヴァッジョの名と絵を知る人で、「あぁ、あの殺人を犯した、放浪の、呪われた天才画家……」といったことを知らない人は少ない、と思われます。むしろそちらのイメージが強烈で、自身の絵画を本気で観賞した人は少ないかも。これは、近年日本で刊行された、彼の生涯を追って作品についても語られるモノグラフ。入手しやすいカラヴァッジョへの入門書として。地図、図版(白黒だけどしょうがない)多数。とても参考になります。私も実は、彼の展覧会、国内で1度しか観たことがありません。でもそれらの絵は、私の想像どおり、というよりは想像を遥に超えたものでした。バッカスとかメドゥーサの絵が有名かもしれませんが、宗教画はものすごい
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ネタバレバロック美術についての歴史というか通史のイメージでいたら、絵のテーマに分けて、それらの変遷を述べる形をしているので、分かりやすい部分と分かりにくい部分が。
テーマを絞ると確かに見えやすくはなる。
一方で画家や歴史の話が他のテーマに跨ることもあるので混乱もするという。
また絵や彫刻の写真はそれなりにあるが、絵の読み解き本ではないので、絵に対する細かい解釈はあまりなし。
何なら作中でタイトルを出しておきながら写真での紹介がないものも多数あるので、何かこう痒いところに手が届かない感じはした。
ただ本の中でも言及があったとおり、バロック美術に焦点を絞った本はあまりお見かけしないので、それを一気に読めた -
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西洋のヌードに対して日本の裸体表現はいかなるものであったかを論じた書。
有名なケネス・クラークの『ザ・ヌード』によれば、ヌードとは、人体を理想化して芸術に昇華させたものであると定義される。これに対し、日本は?
山田美妙の小説『蝴蝶』に付された渡辺省亭の挿絵、黒田清輝の『朝妝』や腰巻事件については世の中を騒がせたトピックとして有名なで出来事であるが、著者はより広いスコープで日本の裸体画を取り上げ、考察を進める。幕末から明治初頭にかけての菊池容斎や河鍋暁斎、生人形作家、石版や写真での裸体表現など、正統的な芸術とは評価されてこなかったようなものまで。
見るー見られるの関係が西洋と日本では -
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読書録「モチーフで読む美術史」3
著者 宮下規久郎
出版 筑摩書房
p114より引用
“ このチーズは豆腐のように見えるが、イ
タリアのリコッタチーズは豆腐のように淡白
な味である。そもそも豆腐自体、中国人が唐
時代に北方民族のチーズを模倣して大豆で作っ
たものであり、味も食感も似ているのは当然
である。”
目次より抜粋引用
“犬
猫
羊
向日葵
分かれ道”
美術史家である著者による、絵画に描かれ
た動物などのモチーフを基に、名画の楽しみ
方を記した一冊。新聞連載「神は細部に宿るーー
モチーフで読み解く美術」の、加筆文庫オリ
ジナル。
身近な動植物からはっきりしない概念まで -
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ネタバレ東大文学部卒、美術史家、神戸大教授
● ポンペイの壁画
「赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス」
画面下部の中央にいる鷲は、ヘラクレスの父であるゼウスと同時にローマ皇帝を表している。擬人像や寓意によって物語を表現するのは、古代から西洋美術に特有の手法であった。
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●美術史の意義
美術というものは古今東西を問わず、どんな天才的作品でも必ず過去の作品と密接な関係をもっており、時間と空間の制約の中からしか生まれないものであって、芸術家の天分や創意工夫などといったものはごくわずかな要素にすぎないのだ。
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美術を見るということは、感性だけの営為ではなく、非常に知的な行為なのだ。知識が -
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美術に登場する代表的な身振り手振りや動作を紹介する一冊。
悲しみや驚きや怒りなどの感情表現。
祝福や腕組みといった儀式的慣習的な身振り。
そして、食べたり踊ったりという具体的で直接的な動作や運動表現の、大きく分けて三つのしぐさに着目した美術本。
美術を、しぐさというテーマで括るのがまず面白い!
このテーマでの美術本は初めて見た。
例えば、ダヴィンチの「最後の晩餐」は、イエス、ユダはもちろん、他の弟子も含め、描かれた人物それぞれの身振りの違いから、さまざまな感情が読み取れる。
時代、国によっての習慣の違いなどからも、その身振りにも違いが出る。中には、その仕草が何かの暗示であることも。古今 -
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ネタバレ評価は3.5があればそれにしたい。
●美術は場も影響してくる
→非常に納得がいった。同じ絵でも日本で見るのとその作者の故郷で見るのとはまた違ってくるだろうし、前後にある絵との兼ね合いによっても変わるだろう。
自分の心境や見る時間帯によって、さらには年齢によっても変わってくるのではないか。
これは美術以外にも言えると感じた。例えば、飲食においても東京で同じものは食べられるがやはり本場に行った方が美味しいと思う場面も多々ある。
物の本質を高めるには、そういった外的要因というのも考慮するべきだ。
●絵の背景を見ること
→その時の社会やアーティストの感情等、複数の情報を得て見ることで感じ方が変