あらすじ
戦場という,神なき終末世界を作ったのは人間に他ならない.画家の眼は戦争の真実をどのように捉えて表現に結びつけたのか.そしてそれらはなぜ私たちの心を打つのか.絵画,写真,彫刻,慰霊碑など200点超の戦争美術をカラー図版で紹介し,ゴヤやピカソ,フジタらによる名品の意味に迫る.戦争と美術の歴史を一望する.
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Posted by ブクログ
昨年の東京国立近代美術館の企画展「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」はインパクトのある展覧会でした。まさに戦後80年というタイミングに立ち止まって考える機会になりました。美術館の企画力とは時代に対する編集力である、と思い知りました。その中でも藤田嗣治の《アッツ島玉砕》の発する圧力にはたじろいでしまいました。フランス時代の『乳白色の肌』とは全く違う混沌の色調、しかし暴力を描きながらもその描線にはフジタらしい美への執着のようなものも感じました。今までは彼の戦争画は彼の画業の中の特異点として無視していたような気がしましたが、白いヌードも黒い暴力も、もしかしたら一直線のものだったのかも知れません。個人の表現欲と社会の要請と時代の眼差しの中で美術というものが存在するのだとしたら「戦争の美術史」は美術の正史なのかも知れません。この新書は「絵を描いて世間に発表すること」の意味を考えさせてくれました。戦争が終わって80年、戦争を巡る芸術が社会の真ん中にいないように思える日本、もしかしたら、この時間もまた特異点なのかも知れません。
Posted by ブクログ
藤田の作戦記録画をはじめ、日本の作品については本や画集などで見てきたことはあったけれど、海外の作品について幅広く触れた本は初めて読んだ。
図版もある程度掲載されていたのがよかった!掲載されていないけど記述されている作品は探してみたい。
Posted by ブクログ
戦の絵巻物もある意味戦争美術に当てはまると初めて知った。書かれている通り、このジャンルは美術館ではあまり見られないものであり、過去のものが公開されるのも新しいものが作られるのも難しいジャンルなのかもしれない。もしどこかでこうした作品を見かけたら、覚えておきたいと思う。
Posted by ブクログ
戦争と美術がどのように結びついているかを白黒やカラーの写真で説明したものである。新書版なので絵が小さいのが残念である。ともすれば戦争賛歌にもなってしまう危ない説明でもある。宮崎の塔についても中国の国宝の橋の石を持ってきて作られたことは自明であるがそれは書かれていない。ただ、どのような美術が戦争と結びついて作られたかについて、今度は日本美術だけでの詳しい説明が求められるであろう。