倉本一宏のレビュー一覧

  • 内戦の日本古代史 邪馬台国から武士の誕生まで

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    古代日本は内戦が少なく、あっても小規模で敗者を殺戮することもなかったのは他国と大きく異なっているという。また、王権そのものに対しての反乱がないことも特徴として挙げられている。
    軍事衝突による制圧がほとんどない日本武尊伝承は地方勢力を中央政権が武力で制圧したのではなく、平和的な外交交渉により服属させたことを表すという説はなるほどと思う。
    他にも磐井の乱、壬申の乱、藤原広嗣の乱、恵美押勝の乱、蝦夷征討、平将門の乱、藤原純友の乱、前九年、後三年の役などがどんなものか概要がわかった。

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    2020年05月01日
  • 内戦の日本古代史 邪馬台国から武士の誕生まで

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    内戦をテーマに古代史を概観する一冊。内戦とはいうものの、国際的な要素にも目配りしつつ、よくまとまっていて読みやすい。著者独特の視座があると思うので、他の著作も読んでみたいと思った。

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    2020年02月21日
  • 公家源氏―王権を支えた名族

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    大雑把に言うと源頼朝ではない源氏について総括している。厳密には源頼朝も平安時代の残り香がある人物といえるので、足利尊氏や武田信玄ではない源氏ということになるだろうか。日本史の数歩入ったところに関心がある人には大いに楽しめる内容になっている。源氏はそもそも天皇の血筋につながる人々。では、皇族から外れて源氏になったらもう二度と皇族には戻れないのだろうか。というようなことに詳しくなる。

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    2020年02月01日
  • 戦争の日本古代史 好太王碑、白村江から刀伊の入寇まで

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    日本古代史において、いかに朝鮮半島と関係があったかをつづった一冊。

    現在の日本史では大陸と断絶してるように感じることが多いが、そうでないことがよくわかった。

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    2019年12月16日
  • 内戦の日本古代史 邪馬台国から武士の誕生まで

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    日本の古代史における著名な内戦が総括されている。
    日本史を教科書的に読んでいる以上に、流れを追うことができて面白かった。

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    2019年06月23日
  • 戦乱と民衆

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    戦史というと記録に残りがちな武将や貴族の物語であることが普通だが、ここでのテーマのように民衆をフィーチャーしたものは珍しい。昨今歴史ブームと言われて久しいが、ブームのおかげでこういう広がりが出てくるから目が離せない。

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    2019年06月18日
  • 内戦の日本古代史 邪馬台国から武士の誕生まで

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    ちょっと固有名詞に苦戦するけど興味深い。
    日本に武士が登場し、また武士の価値観が日本を覆うようになるのが分かる。
    著者が言う「歴史ドラマに登場する貴族たちが何と情けなく描かれていることか(あれを情けないと感じる時点ですでに武士の価値観に毒されているのだが)。」には唸るしかない。

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    2019年04月29日
  • 蘇我氏-古代豪族の興亡

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    藤原氏を専門とする歴史家による、蘇我氏に関する研究結果をまとめた本。教科書にも載ってはいるものの、ほとんど知識のない蘇我氏について、詳しく知ることができた。研究、分析はかなり精緻であった。
    「記紀に見える「葛城氏」とは、すなわち蘇我氏が作り上げた祖先伝承だったのである」p18
    「蘇我氏をすべて悪と決めつけ、聖徳太子や中大兄王子による天皇中心の中央集権国家の建設を善と認識する歴史観では、この蘇我氏の開明性は説明できない」p30
    「隋はもとより、朝鮮三国の使者も、その地位を表す冠と服を着していたはずであるが、自分たちよりも下位にあると主張している朝鮮諸国の使者の方が自分たちよりもはるかに文明化し

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    2018年10月23日
  • 戦乱と民衆

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    戦乱の中における民衆の生き方、というような視点で、日本史を見る視点を変えてみましょう、という啓蒙的新書です。その意味では現在の日本で十分役割は果たしていると思います。
    けれど、同じような視点での研究、著作ならこれまでも少なからずあったんじゃないの?という気がしてならないのですが。たとえば藤木久志さんとか。

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    2018年09月02日
  • 藤原氏―権力中枢の一族

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    藤原氏という古代から中世にかけて日本の中心にいた一族。中臣鎌足の話はあまりにも有名ですが、そこから始まる藤原氏のことについてははっきりとした一本として把握できていませんでした。日本史の中ではところどころにその名前が出てくるので、政治組織には絶えることなく続いていたのだとはわかるのですが、その実態はあまりにも広大で良く分かっていませんでした。
    鎌足の子供の不比等があり、そこから四家が起こり、平安時代に道長などが栄華を誇り、その後武士の世の中になり、近衛家、九条家に別れ、さらに五摂家になり・・・という日本史にところどころ顔を出す藤原氏。その間を埋める、藤原氏の流れを、本書を読むことで把握でき、少し

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    2018年07月21日
  • 藤原氏―権力中枢の一族

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    藤原氏がその盛名を近代まで永らえさせた理由とは何だったのか。
    大化改新の「功臣」であり藤原氏の祖・鎌足でも「摂関政治」の頂点を極めた道長でもなく、律令国家整備の立役者だった二代目・不比等こそが藤原氏繁栄の礎を築いたプロデューサーだったと著者は指摘する。

    平安期と比べれば、白鳳〜奈良朝までの藤原氏は未だ未だ不安定な存在。氏族としてのスタートが鎌足一人で、後継者も不比等以外に官途に付く子弟がいない状態。著者も言うように鎌足だけの「一代限り」で絶えてしまうこともあり得た訳だ。

    そこで鎌足の功績を「人臣最高クラス」と顕彰した上で、父祖の経歴が子孫に「下駄を履かせてくれる」蔭位制を鎌足直系である自身

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    2019年05月15日
  • 蘇我氏-古代豪族の興亡

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    ネタバレ

    20160126~0203 蘇我氏の栄枯盛衰を描いている。明日香・甘樫の丘・板葺宮等々の名前だけでハアハアしちゃう位には古代史ファンの自分にはとても興味深く読めた。大化の改新では一方的に悪者扱いされているけど、統治体制の将来像を巡って蘇我氏と中臣氏や一部皇族(中大兄とか?)が争った結果なのだろう。
    そして、中級官僚から名もなき地方官などになって歴史に名を残すことなく広がっていったのだろうけど、後半は何か悲哀を感じたなあ。
    原点資料を丹念に追っているのが信頼できる。

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    2016年02月05日
  • 蘇我氏-古代豪族の興亡

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    「蘇我氏を蒸し殺す(645年)大化の改新」と教わった我々は、あのクーデターで天皇家を乗っ取ろうとした不埒な蘇我氏は滅び、律令国家へ向けた歩みが始まったと考えている。しかし、その後の歴史には蘇我赤兄や蘇我果安といった人物が登場する。大和盆地と河内の要地を抑えた蘇我氏がそう簡単に滅びるはずもなく、プロパガンダ虚飾された歴史は解釈を加えながら読む必要がある。

    その立場でいうと、例えば、蘇我氏は実質的な大王家だったのではないか、と読む向きがあり、そのような本も多いのだが、本書はその立場はとらず、あくまで日本書紀と後続の公刊史書を読み解きながら、蘇我氏の歴史を追ってゆく。

    そもそも、本当に律令制が始

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    2016年01月09日
  • 小学館版 学習まんが人物館 藤原道長

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    「望月の歌の人」というイメージの道長のことを流れで知れる。
    …のだけど、なんだろうか、あまり面白くなかった。
    内容はともかく一部作画が…。
    いや、ちゃんと上手いのだけど、紫式部がちんちくりんで子供にしか見えなくて、小学生みたい。彰子より年下に見えるとかありえんでしょ。
    あと分かりやすさ重視なんだろうけど道隆と伊周を邪悪顔に描きすぎ。
    そういうところでなんか微妙に白けたかな。

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    2025年10月29日
  • 蘇我氏-古代豪族の興亡

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    蘇我氏といえば日本の古代豪族として栄えた一族である事は、小学校の歴史でもよく学んできた。しかも、大方の人の記憶では、645年大化の改新とセットで、乙巳の変により、中大兄皇子と中臣鎌足が、権力を握っていた蘇我入鹿を暗殺した事件の「悪役」としての記憶ではないだろうか。そこに至る経緯も、聖徳太子死後に権力を握った蘇我氏一族(蘇我蝦夷と、その子入鹿)が天皇との外戚関係を維持強化しながら、天皇すら凌ぐ権力で我が物顔で横暴を振るうといったイメージが強い。その結果、中大兄皇子と中臣鎌足(正義)が蘇我入鹿(悪)を殺害、蘇我氏を滅ぼす、という歴史として人々に記憶されている。実際にその様な記憶が正しいのか。本書は

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    2025年09月06日
  • 平安貴族列伝

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    宮廷の雅を極めた平安貴族たち。だがその実態は権力と欲望が交錯するしたたかな政治劇の舞台だった。藤原道長をはじめとする名だたる貴族たちの光と影を描き出す。和歌や香の世界に耽る一方で密かな駆け引きに命を懸けた彼らの姿は人間の業の深さを映す。千年の時を経ても人の欲と策略は色あせない。優雅な表層の裏にこそ歴史の本質がある。

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    2025年08月07日
  • 平安京の下級官人

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    摂関期の平安京の下級官人や庶民の姿を古記録から浮き彫りにしようとしたもの。
    当時については、天皇や道長などの摂関家、それに公卿ぐらいしか書かれておらず、極めて興味深いテーマ。

    しかしながら、当時の記録は全て公卿の日記であり、下級官人や庶民も彼らの目でしか出てこない。到底全貌はわからないものの、それでも雰囲気は味わえる。

    驚くのは、平安京の王朝の緩さ。
    内裏まで盗賊や庶民が出入りし、ろくな警備もされず、犯罪者もすぐに許される。
    死罪がない平和な時代と著者はとらえているようだが、官憲が機能しない時に犠牲になるのは弱者であることは必然。
    厳しい規律を行うことは自らも正さねばならないが、平安貴族は

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    2025年06月20日
  • 紫式部と藤原道長

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    紫式部と藤原道長の関係について、信頼できる史料を基に論じている。源氏物語執筆の背景にいた道長の存在が興味深い。

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    2025年02月27日
  • 敗者たちの平安王朝 皇位継承の闇

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    著者は、京都ローカルのニュース番組のなかで、大河ドラマの掘り下げた解説をしているのを見て知ったお名前。内容はなんとなく想像がついていたけれど、こうしてまとめて読めるのはありがたい。物語や説話に基づいて、それが史実であるかのように専門家に解説されてきたのは、本当に困る…と思った。この本にしても、そんなに断定していいのかな?と思う部分はある。史料にどう書き記されているか、そこからどう解釈できるか、解釈の確からしさをどう判定するか。

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    2024年11月03日
  • 小右記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典

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    平安時代の虎の巻。

    大河ドラマ「光る君へ」でもお馴染みの藤原実資の日記。道長の『御堂関白記』に比べると、儀式など公に伝えるべきことの記録のように感じられる。几帳面な性格というより、自分が儀式関係の権威だという自負を感じるところも。

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    2024年09月16日