倉本一宏のレビュー一覧

  • 蘇我氏-古代豪族の興亡
    蘇我氏の始まりと歴史の表舞台から姿を消したその後…。
    資料に基いた説得力のある推測と同族氏族の追跡調査。かなり詳しく調べられていて非常に興味深く読めました。
    わたしにとっては、蘇我氏に対する知識が物凄く深まりましたし、古代ロマンに没頭できる素晴らしい一冊でした。
  • はじめての日本古代史
    小中学校で学んで以来、30年以上ぶりに古代日本史の本を読む。日本国成立以前〜初期には世界情勢に敏感であったこと。朝鮮半島との因縁。天皇家および蘇我、藤原一族等の内外拘らず、激しい権力抗争の歴史があったこと等々。教科書に描かれない生々しく、血生臭くもある歴史があったことに今更ながら感動。ちくまプリマー...続きを読む
  • 戦乱と民衆
    面白く興味深くバラエティ豊か! 民衆はつねにか弱いのだろうか? 戦乱の一方的な犠牲者だったのだろうか? 名だたる戦乱の遠景として扱われてきた、名も無き当事者としての「民衆」の別の姿を、時代ごとに語り明かしていく。応仁の乱の前後に頻発した土一揆が、乱の期間中にぱったりと無くなっていたのは何故なのか。明...続きを読む
  • 内戦の日本古代史 邪馬台国から武士の誕生まで
    とりあえず“内戦”ということになる動きには、戦後の処理で戦前の状況が変換して行くという「時代を画する」というような要素も在る訳で、そういう意味で本書は「日本の古代の通史」として判り易い内容になっているかもしれない…
    本書で取り上げる“古代史”というようなことになると、小説作品等も然程多いとは思えず、...続きを読む
  • 藤原氏―権力中枢の一族
    面白かった。一応(伝説上の)ご先祖も出てきたし。それはそうと、一部の文系寄りの本て、「根拠は私がそう感じた」みたいのが結構あって、論理を追えなくなるのですが、そういうことがない本は私にも読めるのかなあと思ったり思わなかったり。
  • 藤原行成「権記」全現代語訳(上)
    御堂関白記、権記を全訳して、文庫で出す、それ自体称賛に値する。
    「全」訳を優先しているので、注釈が足りず、(現代語で書かれても)何を表しているのかよくわからないところもあるが。必要最小限の用語解説、人物注は巻末にまとめられ、なかなか効率的。

    上巻は、正暦2(991)9月~長保2(1000)10月ま...続きを読む
  • 藤原道長 「御堂関白記」 (上) 全現代語訳
     著者の思い入れや思想が出ることも無く、他の訳本に比べると読みやすいと思います。漢文はわかりませんでしたが現代語訳だけで十分楽しめました。道長の交友関係や人使いの荒さを知るのにオススメです。
  • 増補版 藤原道長の権力と欲望 紫式部の時代
    この本は長らく絶版となっていたが、著者がNHK大河ドラマの『光る君へ』の時代考証を担うのに併せて、「紫式部と『源氏物語』」の補章を加えて、2023年夏に増補版として再出版された。
    内容は、ユネスコの「世界の記憶」に指定されている藤原道長の日記『御堂関白記』に加えて、藤原実資の日記『小右記』、および藤...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    著者は、10年程前に「藤原道長の権力と欲望」という本を著しているが、2024年の大河ドラマ「光る君へ」の放映を機に、上記の本の増補版を作るのと同時に、新たに紫式部と藤原道長を絡めて書き下ろしたのが本書である。

    全体の流れは、タイトルの通り、歴史的な流れに沿って書かれているので、ここでは省略し、歴史...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    前に読んだ「千年の読書」にもあった「史料が千年後まで大量に残っているこの国に生まれた幸せ」の一文が320ページにあって 「こういうことか〜」と納得できました。御堂関白記や紫式部日記を 読んでみたくなりました(もちろん現代語訳で…笑)忘れちゃいけない 小右記も。平安時代の皆さん、結構 クセが強く嫌いじ...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    著者は「光る君へ」の時代考証を担当されている方。ドラマを意識して、紫式部と道長の人生を並行して記述しているが、あくまで一次資料を基にした史実の記述だけあって、「前半生で2人が交流していた可能性は低い」とつれない。一方で、源氏物語の著作活動は初期から道長の庇護によるものという説を唱えられていて、そのあ...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    倉本一宏先生は言う「紫式部なくして藤原道長なし」
    「藤原道長なくして紫式部なし」定子LOVEの一条天皇
    が彰子の処へ足を運ぶためには源氏物語の愛読者故と
    言えるのであるし、紫式部に依頼、ふんだんに原稿料
    (料紙という現物給付)を与えるスポンサー藤原道長
    あっての執筆活動と言えるからである
  • 紫式部と藤原道長
    道長の権力への道程と、紫式部の年譜および源氏物語の見立てを並置しながら、摂関政治と、天皇、関係殿上人の関係を説明。豊富な内容。
  • 小右記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    大河ドラマ「光る君へ」で秋山竜次さん演じる藤原実資の記した「小右記」。平安の事務取扱要項(?)日記は家の財産とされ、膨大な日記を残した実資の有能ぶりが分かる。編者の倉本氏の解説が素晴らしい。大河が一層楽しくなりそうです。
  • 平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像
    1000年以上も前とは信じられないほど高レベルの文化を保った平安時代、それを支えた平安貴族に興味を持ち、本書を手に取った。

    本題は道長、行成、実資の3名が各々記述した日記を読み解くことにあるが、古記録に疎いため序章の日記(にき、と読むそう)に書かれる事柄、日本で日記が多く書かれた理由などもとても興...続きを読む
  • 内戦の日本古代史 邪馬台国から武士の誕生まで
    倉本一宏先生は帝国主義がアジア諸国を侵略した歴史を嘆く、平安貴族を怠惰で情けなく思う心が武力に囚われた日本人となった事をおかしいと感じたのだろう「日本は戦争をしない国である(小規模な内戦のみ)」「外国で起きた民族同士の戦争のような徹底的な殲滅戦はなかった」武士の出現で儒教的で和平や懐柔による解決を・...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    紫式部と藤原道長がこんなにも互いの力を必要とする関係にあったというのは、初めて知った。他の方の感想を読むと、「だいたい知っていることが多い」と書かれているので、この時代にくわしい方にはほぼ常識なんだろう。自分はなんも知らないのねとあらためて思った(^_^;)
    大弐三位が紫式部の娘だということも知らな...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    紫式部と道長の生涯が確実な一次資料のみによって書かれている。著者の別の本で既に読んでいた内容も含まれるが、二人に絞っているので分かりやすい。
    ところどころ、これまでの国文学の世界での学説を「どうしたらこのような発想になるのかまったく理解できない」などと否定しているのも新鮮。
  • 紫式部と藤原道長
    本書は同著者の『増補版 藤原道長の権力と欲望 「御堂関白記」を読む』(文春新書、2023)と内容もかぶっている部分が多いのだが、より紫式部と道長の関係性に焦点を当てたものである。

    帯の惹句には『源氏物語』なくして道長の栄華もなかったとあるが、逆もまた然りであり、道長のサポートがなけらば『源氏物語』...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    先日読んだ同著者の『増補版 藤原道長の権力と欲望 紫式部の時代』に続き、今年の大河ドラマの「副読本」として読んだ。『御堂関白記』『小右記』などの古記録や『紫式部日記』をもとに、事実関係を年代順に解説している。不明な点の多い紫式部の生涯や『源氏物語』の成立についても、説得力のある主張を展開している。
    ...続きを読む