倉本一宏のレビュー一覧
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日本の歴史
教科書にまとめたものは綺麗に繕ったもの。
しかし纏まるまでには幾つもの見解と事実があった。
古すぎて調べようがないこともある。
こうだと決めつけてかかる人。こうだったら良いとばかりに美談にする人。
それで現在の歴史知識が出来上がっている。
この本には当時は調べきれなかったことや、新しく発見された事実などから、歴史的事項を再度検証している。
大化の改新辺りのところはなんとも古すぎて繋がるのは大変だったと思う。
サラッと過ぎていた歴史的な出来事の新しい発見とエピソードや裏話。
読みやすくまとまっている。
乃木将軍の二百三高地攻略は深い。
人柄だろう天皇からも愛され同期からも敬愛 -
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蘇我氏渡来人由来説は誤り。現在の奈良県曽我が発祥の地と考えられる。始祖は葛城氏から独立した蘇我稲目。それ以前の家系図も存在するが実在は疑わしい。
王位継承に血縁原理が導入されたのは5世紀のことであり、欽明天皇と稲目により確立した。戸籍登録も行った。蘇我氏を悪と決めつけ聖徳太子や中大兄皇子による天皇中心の中央集権国家の建設を善とする歴史観では蘇我氏の開明性は説明できない。
馬子の時代、物部氏を滅ぼし政治抗争に勝利した。この時蘇我氏側についた王子に厩戸王子がいた。馬子は崇峻天皇を暗殺し、推古天皇が初の女帝として即位した。馬子、推古天皇、聖徳太子の三者共同政治体制が敷かれ、長く続いた。
次代の蝦夷は -
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御堂関白記、権記を全訳して、文庫で出す、それ自体称賛に値する。
「全」訳を優先しているので、注釈が足りず、(現代語で書かれても)何を表しているのかよくわからないところもあるが。必要最小限の用語解説、人物注は巻末にまとめられ、なかなか効率的。
上巻は、正暦2(991)9月~長保2(1000)10月までを収める。
いわゆる長徳の変の頃は、逸文しか残っておらず、これがちゃんと残っていれば…と歯がゆい気がした。
上巻は行成がまさに蔵人頭として最前線で活躍していた時代なので、細かい記録が非常に面白い。「目くばせ」で儀礼が進行しているところなど…
政治史では捨象されてしまう官人たちに、古代から続いてい