倉本一宏のレビュー一覧
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平安時代の下級官人の置かれていた状況、人事への一喜一憂やその勤務振り、生活の実相を、「古記録」を用いて明らかにしようとするもの。
摂関期になると下級官人が昇進できるのは限られたポストまでとなってしまっていたが、役人にとって人事は何よりも重要。悲喜こもごもが語られる。また、この時代何よりも求められていたのは、儀礼という政務を「先例」、次第通りに行うことで、ここでも失敗の例が残されている。
その他、闘乱、殺人、勤務の懈怠など様々な出来事が紹介される。もちろんこうした古記録に書かれる出来事は、珍しいと思われるからこそ記録に残されたのであろうが、それにしても驚かされるようなことが次から次へと出 -
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ネタバレ下級官人の業務・日常・取り巻く社会を御堂関白記・権記・小右記などの記録から導き出している
そこかしこに実資(大河ドラマではロバート秋山)の名前がでてくる、日記にマメな貴族さん
興味深かったのは、触穢に対するこだわり(本朝独特の忌む風習)は疫病と関係あるのではないか、天然痘等の最悪の死を前提に考えると忌引き等で出仕を一定期間憚る事が自然に思える
当時は天然痘は大部分の人がり患していて、顔にアバタがある事がデフォであり、鉱物性の化粧品で白く厚塗りをしていた理由もうなづける
【疫病の流行】疱瘡・麻疹など
989、993、994、995、998、999、1000、1001、1005、1008、1014 -
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ネタバレ平氏
~公家の盛衰、武家の興亡~
著者:倉本一宏(国際日本文化研究センター教授)
発行:2022年7月25日
中公新書
以前、作家・森岡浩氏と歴史学者・本郷和人氏が書いていた新聞記事をまとめ、平家と平氏について整理してFBに書き込んだ。
平氏には公家になった平氏と武士になった平氏があり、さらに武士になった平氏には棟梁になれる血筋となれない血筋があった、と。棟梁になれたのは京都で貴人に使えた武士の平氏に限られ、「平家」と呼ばれたのは伊勢に拠点を置いて京の朝廷に仕えた伊勢平氏を言う。平清盛は伊勢平氏、その正室である平時子は公家平氏である。なお、著者は「平家」を清盛から発する一族だと定義しており -
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タイトルから早合点してしまったのだが、本書は皇位継承に一貫する原理を解析するといったものではなく、各代の皇位継承に関してなぜこの人物が選ばれ、なぜ他の人物は選ばれなかったのか、一つ一つ当時の政治状況やステークホルダーを鑑みて事情を解き明かしてゆくといったものである。
古墳時代から承久の乱後の皇位継承を概観するには手頃。
誤解もあり、神話や口承を扱いつつ古墳判定批判も行なっている序章〜第一章前半では、文化人類学・神話学的な分析から皇位継承の論理を解き明かしたいのか、それとも史実の探求をしたいのか戸惑った。継体天皇問題に関しても、血縁の原理と有徳の原理に関して数行記述あるのみである。
また、章