倉本一宏のレビュー一覧
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「御堂関白記」とは、あの藤原道長が書いた日記のこと。
のびのび書かれた字や、気が変わって消した形跡など、生々しい(笑)
こんなに古い時代の直筆日記は、他に残っていないのだそうです。貴重ですね!
平安時代には、日記は多く書かれていました。
男性によるそれは、行事のやり方などの記録を子孫に教えたり、後世に残す意図もあってのこと。
他の日記はもちろん、有名な作品も、平安時代の書は現物がほとんど残っておらず、この他は全て、書き写されたものなんですね。
何十年にもわたる記録で、抜けはありますが、道長が権力の階段を上がって行く過程が、日常の何気ないメモの連なりから、見えてくる。
面白い男だと著者の語る -
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大河ドラマ「光る君へ」でロバート秋山が演じた藤原実資の日記。朝廷儀式や政務に精通し、その博学と見識で一目置かれた実資。風格あり、胆力ありの人となりが伝わってくる。時々ハメを外したり、コワイコワイと恐れたり、人間らしさにもあふれていて微笑ましい。実資が見聞した内裏の内外のさまざまな出来事。中でもやはり望月の歌の日記は、ドラマのシーンと重ねて読んで、イメージが大きく膨らんだ。平安貴族は遊んでばかりいるわけではなく、深夜までの激務を続けていたと編者の言葉にあるように、具体的に彼らが何をしていたのか知ることで、苦悩や喜びにも触れられ親近感を持つことができた。一方、事細かに綴られた、さまざまな平安の世の
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著者の倉本氏のXをチェックしているのだが、最近この「紫式部と藤原道長」を読み終わった、という読者を多数倉本氏がリツイートしていて、しばらく積読しておいたのを読み始めた。同じ倉本氏の「藤原道長の日常生活」は途中で挫折してしまったのだが、これは一気に読み通すことができた。
何故って、いやもう「光る君へ」のおさらいだったのだ。ドラマを見ていたので、場面を思いだしながら読んだので読み終えられたのだと思う。そう、「光る君へ」はポイントは史実を押さえていた。道長部分、紫式部部分、天皇部分が交互に史料によって記述され、それはまさにドラマも同じ展開。
最初の弁から、紫式部と藤原道長のリアルな生涯を、確実な -
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神話の時代から後三年の役までの日本国内の内戦の歴史を概説しつつ、古代日本人が島の外に比べて比較的平和に事を収めてきた、しかし武士が政治の中心となって、ついには尚武の国へと変貌していった、と論じている。記録でも発掘調査でも凄惨な殲滅戦の形跡が見つからないとはいえ、古代日本人が筆者がいうほど平和的だったとはすぐには首肯できない。結果的には平和な人々だったかもしれないが、言葉や身なりのまったく違う連中が押し寄せて来なかったから平和でいたれただけなのではないか。元寇や黒船来航などで拒絶反応として尚武に傾いたのは人や社会として無理もなかったのでは、と思うのだが、どうだろう。
それはさておき、大河ドラマに -
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著者は大河ドラマの時代考証担当。
そのためか、今年はこの人の本もたくさん店頭に並んでいる。
本書はまったくの新しいものではなく、かつてカルチャーセンターで行ったレクチャーを文字起こししたもの。
その意味では、とても親しみやすい。
藤原道長の日常生活 (講談社現代新書 2196)とか、藤原氏―権力中枢の一族 (中公新書)を読んでいるが、これらより、格段に読みやすく、何より興味が持てる。
本書では道長の『御堂関白記』、行成『権記』、実資『小右記』を紹介していく。
例えば、三人の書き方(紙面をどのように書くか、誤字や誤記をどうするかなど)や、写本がどんなふうに伝わったかという話もある。
ともす -
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著者は、10年程前に「藤原道長の権力と欲望」という本を著しているが、2024年の大河ドラマ「光る君へ」の放映を機に、上記の本の増補版を作るのと同時に、新たに紫式部と藤原道長を絡めて書き下ろしたのが本書である。
全体の流れは、タイトルの通り、歴史的な流れに沿って書かれているので、ここでは省略し、歴史的事実という定義について、面白かったので、以下に書いてゆきます。
平安時代の藤原道長の時代でいえば、「紫式部」「泉式部」と称される女性は、確実に存在したが、「清少納言」は100%存在したとは言えないと・・・
何故かというと、歴史学者は、歴史的な一次資料しか信用していないということなので、そういう結 -
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この本は長らく絶版となっていたが、著者がNHK大河ドラマの『光る君へ』の時代考証を担うのに併せて、「紫式部と『源氏物語』」の補章を加えて、2023年夏に増補版として再出版された。
内容は、ユネスコの「世界の記憶」に指定されている藤原道長の日記『御堂関白記』に加えて、藤原実資の日記『小右記』、および藤原行成の日記『権記』を軸として、更に他の資料も加えて、藤原道長の生涯と人物を炙りだそうとしています。
(道長の栄達の歴史はここでは省略します)
「御堂関白記」は、日本史上最高の権力者の日々の記録であり、他の日記が、他人が読むことを前提に貴族社会の共有財産として認識されているが、「御堂関白記」 -
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著者は「光る君へ」の時代考証を担当されている方。ドラマを意識して、紫式部と道長の人生を並行して記述しているが、あくまで一次資料を基にした史実の記述だけあって、「前半生で2人が交流していた可能性は低い」とつれない。一方で、源氏物語の著作活動は初期から道長の庇護によるものという説を唱えられていて、そのあたりがドラマのベースとなっているんだろうね。
あくまで史実ベースであるが、道長はもちろん紫式部の人間臭さも垣間見れてなかなか面白い。
それにもまして、超有能で代々の支配者に重宝されつつも、やたらと愚痴をこぼす藤原実資がキャラ立ちしている。読んでいると、ロバート秋山の顔が浮かんできて、どうしてもニヤニ