倉本一宏のレビュー一覧

  • 内戦の日本古代史 邪馬台国から武士の誕生まで
    ちょっと固有名詞に苦戦するけど興味深い。
    日本に武士が登場し、また武士の価値観が日本を覆うようになるのが分かる。
    著者が言う「歴史ドラマに登場する貴族たちが何と情けなく描かれていることか(あれを情けないと感じる時点ですでに武士の価値観に毒されているのだが)。」には唸るしかない。
  • 蘇我氏-古代豪族の興亡
    藤原氏を専門とする歴史家による、蘇我氏に関する研究結果をまとめた本。教科書にも載ってはいるものの、ほとんど知識のない蘇我氏について、詳しく知ることができた。研究、分析はかなり精緻であった。
    「記紀に見える「葛城氏」とは、すなわち蘇我氏が作り上げた祖先伝承だったのである」p18
    「蘇我氏をすべて悪と...続きを読む
  • 戦乱と民衆
    戦乱の中における民衆の生き方、というような視点で、日本史を見る視点を変えてみましょう、という啓蒙的新書です。その意味では現在の日本で十分役割は果たしていると思います。
    けれど、同じような視点での研究、著作ならこれまでも少なからずあったんじゃないの?という気がしてならないのですが。たとえば藤木久志...続きを読む
  • 藤原氏―権力中枢の一族
    藤原氏という古代から中世にかけて日本の中心にいた一族。中臣鎌足の話はあまりにも有名ですが、そこから始まる藤原氏のことについてははっきりとした一本として把握できていませんでした。日本史の中ではところどころにその名前が出てくるので、政治組織には絶えることなく続いていたのだとはわかるのですが、その実態はあ...続きを読む
  • 藤原氏―権力中枢の一族
    藤原氏がその盛名を近代まで永らえさせた理由とは何だったのか。
    大化改新の「功臣」であり藤原氏の祖・鎌足でも「摂関政治」の頂点を極めた道長でもなく、律令国家整備の立役者だった二代目・不比等こそが藤原氏繁栄の礎を築いたプロデューサーだったと著者は指摘する。

    平安期と比べれば、白鳳〜奈良朝までの藤原氏は...続きを読む
  • 蘇我氏-古代豪族の興亡
    20160126~0203 蘇我氏の栄枯盛衰を描いている。明日香・甘樫の丘・板葺宮等々の名前だけでハアハアしちゃう位には古代史ファンの自分にはとても興味深く読めた。大化の改新では一方的に悪者扱いされているけど、統治体制の将来像を巡って蘇我氏と中臣氏や一部皇族(中大兄とか?)が争った結果なのだろう。
    ...続きを読む
  • 蘇我氏-古代豪族の興亡
    「蘇我氏を蒸し殺す(645年)大化の改新」と教わった我々は、あのクーデターで天皇家を乗っ取ろうとした不埒な蘇我氏は滅び、律令国家へ向けた歩みが始まったと考えている。しかし、その後の歴史には蘇我赤兄や蘇我果安といった人物が登場する。大和盆地と河内の要地を抑えた蘇我氏がそう簡単に滅びるはずもなく、プロパ...続きを読む
  • 権記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    大河ドラマ「光る君へ」にも出てくる藤原行成の日記。儀式が律に則らず、家ごとのしきたりになっていく中、子孫に振る舞い方を残すために綴られた。その中でも時折、歴史に残る事件や本人の感情が垣間見えることも面白い。当時の文章と現代語訳を比較しながら読むと当時の筆致もうかがえる。
    今後は、大河ドラマに出ている...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    著者は大河ドラマの時代考証を担当しているが、脚本に対して、いったいどんな気持ちでみているのだろう。

    それにしても、中学校の国語の授業で清少納言を、「清」少納言と発音した私のことを教師は嘲笑したが、大河ドラマでは名付けの由来などに言及していて、少しばかり溜飲が下がった思いである。

    本書では道長への...続きを読む
  • 平安京の下級官人
     平安時代の下級官人の置かれていた状況、人事への一喜一憂やその勤務振り、生活の実相を、「古記録」を用いて明らかにしようとするもの。

     摂関期になると下級官人が昇進できるのは限られたポストまでとなってしまっていたが、役人にとって人事は何よりも重要。悲喜こもごもが語られる。また、この時代何よりも求めら...続きを読む
  • 平安京の下級官人
    下級官人の業務・日常・取り巻く社会を御堂関白記・権記・小右記などの記録から導き出している
    そこかしこに実資(大河ドラマではロバート秋山)の名前がでてくる、日記にマメな貴族さん
    興味深かったのは、触穢に対するこだわり(本朝独特の忌む風習)は疫病と関係あるのではないか、天然痘等の最悪の死を前提に考えると...続きを読む
  • 紫式部と藤原道長
    平安時代初心者の方向けかな、という感じ。
    平安時代モノが好きで、色々読まれてる方には知ってる情報ばかりかもしれないが、倉本先生の一次資料で確認できる事柄のみ!というプライドが感じられる。
  • 藤原道長「御堂関白記」を読む
    内容はどうあれ千年以上前の日記の現物が残っていることと、読める箇所があるのは驚き!現物の写真が貴重です
  • 敗者たちの平安王朝 皇位継承の闇
    来年の大河ドラマ「光る君へ」の時代考証を担当されている方の著書ということ、また、タイトルに惹かれて購入。
    単純に権力争い、藤原氏の女性から生まれた天皇を立てて権力を握ってきただけだと思っていたので、「狂人」にされて皇位を奪われたという『闇』を知り驚いた。しかも譲位した年齢も若く、上皇として長く生きて...続きを読む
  • 小右記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    朝廷実務の官僚として極めて優秀かつ長寿であった藤原実資(さねすけ)が遺した小右記。儀礼関連の記事や、事件、人間模様(藤原道長と三条天皇の不仲等)が詳らかにかかれた書籍。特に著名な「この世をば我が世と思う…」という望月の歌についてもこの本に明記されているが故に知られているものであり、平安時代の官僚を取...続きを読む
  • 小右記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    こんなに分厚くなるほど長い日記をつけて、それが現代に残されるのがすごい。平安時代は寿命が短いはずなのに道長が689/757ページあたりまでずっと存在を示していて62歳で長寿で亡くなったなと思ったら、著者の藤原実資は90歳で死去していてびっくり。確かに健康にも気を遣ってそうな生真面目な文体でした。
  • 皇子たちの悲劇 皇位継承の日本古代史
    平安時代の摂関期から院政期にかけて、敗者となった皇子たちの政治的背景を探求した本です。
    時々時系列が入れ替わってる点はややわかりにくいかなと思いました。
  • 平安京の下級官人
    摂関期の平安京に生きた下級官人や庶民の仕事や生活を巡る様々なエピソードを一次史料を基に紹介。
    平安時代の人々の生き様が知れて面白かったが、いろんな話を盛り込みすぎで、それぞれの記述が簡潔なので、エピソードの背景や詳細がよくわからないものが多かった。
  • 平氏―公家の盛衰、武家の興亡
    <目次>
    第1章  桓武平氏の誕生
    第2章  その他の平氏
    第3章  公家平氏の人びと
    第4章  武家平氏の葛藤
    第5章  公家平氏と武家平氏の邂逅

    <内容>
    『尊卑文脈』などを元に、平氏について語っていく。新しい解釈というより、文献から確実な史料を紹介し、裏付けていくやり方。古代日本史の資料集と...続きを読む
  • 平氏―公家の盛衰、武家の興亡
    平氏
    ~公家の盛衰、武家の興亡~

    著者:倉本一宏(国際日本文化研究センター教授)
    発行:2022年7月25日
    中公新書

    以前、作家・森岡浩氏と歴史学者・本郷和人氏が書いていた新聞記事をまとめ、平家と平氏について整理してFBに書き込んだ。
    平氏には公家になった平氏と武士になった平氏があり、さらに武...続きを読む