国弘喜美代のレビュー一覧

  • 善いミリー、悪いアニー

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    イギリスの作家「アリ・ランド」の長篇ミステリ作品『善いミリー、悪いアニー(原題:GOOD ME BAD ME)』を読みました。
    「P・D・ジェイムズ」に続き、イギリス作家の作品です。

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    連続殺人犯「ルース・トンプスン」が逮捕されたのは、その実娘「アニー」が警察に密告したからだった。
    臨床心理士の「マイク」の家に里子として引き取られた「アニー」は「ミリー」という名前で素性を隠し、新たな人生を歩むことに。
    だが、「ミリー」の精神に「ルース」が落とした影は色濃く、さらに里親の娘に疎まれたことで転入先の学校でも孤立を深めていく。
    そして事件の裁判で彼女は

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    2023年04月03日
  • レックスが囚われた過去に

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    ネタバレ

    7人兄妹の2番目、長女レックス。
    かつて宗教に入れ込み過ぎた父から兄妹全員が虐待を受けていた”恐怖の館”から勇気ある脱出に成功した”少女A"。

    レックスが脱出したのを機に父は自殺、母は長期に渡る服役刑に処された。
    兄妹たちは父からの解放後、メンタルケアを受けながら散り散りに里親に預けられ、ある者は周到に素性を隠しつつ一定の成功を収めた人生をもぎ取り、ある者は過去すらも自身の売名道具に用いながら地位と名声を得た。またある者は先天的ハンディキャップもマイナスに手伝い、過去から逃れきれず苦悩にまみれた道を歩んでいる。

    物語は冒頭、母が刑務所内で死を遂げたところから始まる。
    意外にも、か

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    2022年12月04日
  • 塩の湿地に消えゆく前に

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    ネタバレ

    ボードウォークというアイデンティティを持ち、かつてカジノで栄えた町、ニュージャージー州アトランティックシティ。
    今やかつての精彩は消え、多くのカジノ、ホテルが閉鎖されゆく中、しがみつくように残っている商業施設と共に冴えない日々を送っている町の人々。

    この物語が焦点を当てるのは、この寂びれた町に人生を翻弄され、泥沼にはまり込んでしまった、あるいははまりそうなところを何とか抜け出そうともがいている女性達。

    町がら、カジノでのカクテルウェイトレスとして若さを売ることで対価を得ることにも華やかさや誇りを持てた時代があったが、次第に町自身の低迷と共にそうした者達の地位は下がり、またある者は年を重ねる

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    2022年03月05日
  • 塩の湿地に消えゆく前に

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    ニュージャージー州アトランティックシティを舞台にしたシリアル・キラーもの。とは言え、そもそも被害者たちは発見されておらず、誰もこの事件に気づいていない。ただ一人、占い師のクララを除いては。彼女は他者の思いをビジョンとして受け取るサイキックで、この能力を基に話は進む。主な語り手はクララと、夢破れて失意の中この街に戻ってきたリリーだ。
    犯人探しを目的にすると拍子抜けする(そもそもそこに力点はない)が、衰亡した都市に漂う無力感、そこに集う疲弊した人々の姿で読ませる。
    2021年エドガー賞最優秀新人賞受賞作。

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    2022年02月05日
  • パリで待ち合わせ

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    ・料理のレシピはもっと掲載して欲しいし、料理の描写はもっとあってもいいなと思う。今まで読んできた日本の小説がいかに食べ物にこだわって描写していたかが反面教師的に痛感させられた。
    ・わたしもイヴとジャックのような友人が欲しい。
    ・この人の小説、もっと読みたいけどコラムしか出版されていないのが残念。もっと書いて欲しい。

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    2021年12月02日
  • 寒慄【かんりつ】

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    元スノーボード選手だった著者ならではの作品。
    シーズンオフのスキー場の山頂のホステルに、10年振りに集められた元スノーボード選手の5人組。誰の招待か謎のまま、雪山に閉じ込められた状況の中で、じわじわと恐怖が進行する。5人の中のひとり、主人公ミラの語りのもと、事件の契機となった10年前の出来事と、現在が交互に語られ、謎が深まりを見せてくる。限られた登場人物の中、犯人は誰か、目的は何か、憶測が裏切られながらも、結末へと迫る展開は心地よい。数少ない登場人物の人となりや心理戦を通じて、犯人に焦点を絞り込めるか、読者への挑戦を受け止めることができるだろうか。

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    2021年08月22日
  • パリで待ち合わせ

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    50歳の誕生日を目前にしたアメリカの人気作家のもとに、1通のファンレターが届く。差出人はイギリスに住む中年女性。料理をキーワードになんとなく文通(!)が始まり、やがて作家はパリで会うことを提案する……。まあ、ありがちな話だよなと思いながら読んでいたが、中盤から予想外の方向に進んでいき、最後は満足のため息を吐いた。男と女、母と娘、別れた夫婦など、様々な形の人間関係が描かれた佳作だった。

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    2020年05月09日
  • あなたを見てます大好きです

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    いわゆる信頼できない語り手もの。ストーリーがどうとかじゃなくてストーカーの心理ってこんなんなんかなと思う。
    謝辞にある与謝蕪村の俳句の見事な翻訳とやらが気になる。

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    2019年09月08日
  • 要秘匿

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    CIAで分析官として勤務しているヴィヴィアン(ヴィヴ)とその夫であるマットの物語。ヴィヴはロシアのスリーパー(米国に潜伏している工作員)を調査して夫のマットの写真を見つける。それを境に、マットに対する疑念と子供たちを守る母親としての本能が葛藤する。

    著者が元CIA職員であるためか、物語の展開が非常にリアルで、スリルを感じる。著者自身の体験がベースになっているフィクションなのだろうが、半分以上は事実なのではないかと思えるくらいのリアルさがある。本作品はヴィヴの視点で描かれているが、マット視線にしても別の作品になりそうな気がした。

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    2018年08月17日
  • スパイの血脈──父子はなぜアメリカを売ったのか?

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    ロシアに情報を売り渡していたジム・ニコルソン。彼がどのようにCIAで勤務しロシアに近づいていったか、それをCIAとFBIがいかに逮捕に結びつけたか。前半のここだけでも諜報と防諜の世界について勉強できる。さらにジムが捕まってから息子のネイサンが利用されるんだけど、その過程には悲しみすら覚える。

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    2017年06月25日
  • 報復

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    いやもうすさまじい。「ストリートキッズ」のリリカルな世界から遠く離れて、これは「犬の力」をしのぐ血と暴力にまみれた物語だ。

    元デルタフォース隊員の主人公デイブは、飛行機事故で妻子を失う。それはイスラム過激派によるテロだったのだが、政府により隠蔽され「事故」とされる。そのことを知ったデイブは「世界最強の傭兵チーム」とともに、自らの手で報復する決意をする。

    と、こういう紹介を読んで、これって政治的な陰謀がどうとか利権がどうとか、そういう話なのか(あんまり好きじゃない)とちょっと思っていたのだけど、いやそっち方面にはまったく行かない。ほぼ全篇、デイブと仲間たちが、テロリストを追い標的を追い詰めて

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    2016年02月27日
  • 報復

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    久しぶりのドン・ウィンズロウの邦訳。珍しいミリタリー・サスペンス。2014年の作品らしい。ストーリーは極めて単純であり、タイトルと冒頭を読んだだけで結末が予想出来る。ウィンズロウの過去の作品のレベルからすると、中の上くらいの評価だろうか。

    元デルタフォース隊員のデイヴ・コリンズは航空機テロで妻子を失う。絶望の淵から蘇ったデイヴは憎きテロリストを葬るため、元兵士らを集め、自ら闘いの中に身を投じる。

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    2015年12月29日
  • 夜を駆ける女たち

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    1978年にフロリダ州立大学でおきた殺人事件と、その4年前におきた別の殺人事件。実は同じ犯人と気づいたティナと、州立大学の事件で親友を失ったパメラが、犯人を追う。
    章ごとに年代や中心人物が変わり、時が行きつ戻りつ。登場人物リストを確認しながら読む。衝撃的な事件なのだが、読むのが大変だった。
    実際にあった事件をもとにしたフィクション。被害者の扱いなど、時代を感じさせる。

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    2025年11月27日
  • 死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選

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    最近にわかにはまっているフレドリックブラウンの短編集。
    各短編をコースになぞらえ、オードブルから始まり食後のコーヒーで締めるフレドリックブラウンのフルコースが味わえるという美味しい1冊でした。

    以下お気に入り作品。
    「殺意のジャズソング」
    友人と中古車販売業を営む主人公。ある日友人が何者かに暴行される事件が起こり、犯人の目星がつかないまま、今度は昔の音楽仲間の一人が殺される。
    最後のオチが予想外だった。信頼できない語り手。

    「死の10パーセント」
    俳優崩れの主人公がとあるきっかけで出会った男にマネジメントされトントン拍子にスターへの階段を上っていく。男との約束は、すべての10%を取り分とし

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    2025年09月21日
  • 夜を駆ける女たち

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    1978年、フロリダ州立大学女子寮で2人の学生が殺害され、2人が重傷を負った。犯人を目撃した女子学生社交クラブの支部長パメラに、ティナという女性が近づいてくる。ティナは4年前に起きた友人の失踪事件と今回の事件との関連に気づき、ワシントン州からやってきたのだ。パメラは目撃者としての責任感からティナと犯人を追う決意を固める。調査を進めると、犯人は逃亡中の脱獄犯であることが判明して…。30人以上の女性が殺害された実際の連続殺人事件を元に、女性の視点で現代社会の歪みを描く衝撃のミステリ。

    ポケミスのレーベルから出ているが、ミステリ成分は希薄。

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    2025年08月20日
  • テンプルヒルの作家探偵

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    スランプに陥った作家のラディがムンバイの高級住宅地へ戻った事から始まるミステリ。登場人物も多いけど、それぞれの思惑が錯綜してて楽しめた。

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    2025年02月11日
  • 死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選

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    ネタバレ

    正直自分にはあまり合わなかった。オチがあんまり理解できない作品がちらほらあったのと、少し読みにくかった。この短編の中ではタイトルになっている死の10パーセントが1番好きだった

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    2024年11月15日
  • 報復

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    「悪の勝利に必要なのはただ……善人が何もしないことだ」(トルストイ『戦争と平和』)

    9.11とアル・カイーダ殲滅作戦のあとのアメリカに、旅客機が落ちる。
    テロであることをひたすら隠そうとする政府に対し、家族を失った元特殊戦闘員がプロの傭兵集団を使って独自にテロ組織を追い詰める。

    ウィンズロウには珍しく、王道の冒険小説だ。
    『ナヴァロンの要塞』など、個性的なメンバーを率いた戦闘物は、既にたくさんの作者に書かれている。

    それでも、
    「貪るように」、ドン・ウィンズロウの本を読む感覚は変わらない。
    やはり、「アベンジャーズ的」なものは考えて読んではいけない。

    これまでも、この後も、さまざまな小

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    2024年09月22日
  • 象られた闇

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    ヴィクトリア時代のゴシックミステリー。何やら曰くありげな切絵作家のアグネス。産まれた時に母を失い父違いの姉に育てられるアルビノの少女。彼女は姉の命令で霊媒師を生業としている。
    のっけから、暗くジメジメと霞んだ街の様子が迫ってくる。ミステリと言うよりアグネスと亡き妹、少女と姉のウェストの姉妹の哀しい物語として読めた。

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    2024年05月24日
  • 象られた闇

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    5W1Hがあまり明かされず、一つのWに絞った内容で、あの本を思い出すが、喉切ったら返り血浴びるだろ。

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    2024年04月24日