国弘喜美代のレビュー一覧
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イギリスの作家「アリ・ランド」の長篇ミステリ作品『善いミリー、悪いアニー(原題:GOOD ME BAD ME)』を読みました。
「P・D・ジェイムズ」に続き、イギリス作家の作品です。
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連続殺人犯「ルース・トンプスン」が逮捕されたのは、その実娘「アニー」が警察に密告したからだった。
臨床心理士の「マイク」の家に里子として引き取られた「アニー」は「ミリー」という名前で素性を隠し、新たな人生を歩むことに。
だが、「ミリー」の精神に「ルース」が落とした影は色濃く、さらに里親の娘に疎まれたことで転入先の学校でも孤立を深めていく。
そして事件の裁判で彼女は -
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ネタバレ7人兄妹の2番目、長女レックス。
かつて宗教に入れ込み過ぎた父から兄妹全員が虐待を受けていた”恐怖の館”から勇気ある脱出に成功した”少女A"。
レックスが脱出したのを機に父は自殺、母は長期に渡る服役刑に処された。
兄妹たちは父からの解放後、メンタルケアを受けながら散り散りに里親に預けられ、ある者は周到に素性を隠しつつ一定の成功を収めた人生をもぎ取り、ある者は過去すらも自身の売名道具に用いながら地位と名声を得た。またある者は先天的ハンディキャップもマイナスに手伝い、過去から逃れきれず苦悩にまみれた道を歩んでいる。
物語は冒頭、母が刑務所内で死を遂げたところから始まる。
意外にも、か -
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ネタバレボードウォークというアイデンティティを持ち、かつてカジノで栄えた町、ニュージャージー州アトランティックシティ。
今やかつての精彩は消え、多くのカジノ、ホテルが閉鎖されゆく中、しがみつくように残っている商業施設と共に冴えない日々を送っている町の人々。
この物語が焦点を当てるのは、この寂びれた町に人生を翻弄され、泥沼にはまり込んでしまった、あるいははまりそうなところを何とか抜け出そうともがいている女性達。
町がら、カジノでのカクテルウェイトレスとして若さを売ることで対価を得ることにも華やかさや誇りを持てた時代があったが、次第に町自身の低迷と共にそうした者達の地位は下がり、またある者は年を重ねる -
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元スノーボード選手だった著者ならではの作品。
シーズンオフのスキー場の山頂のホステルに、10年振りに集められた元スノーボード選手の5人組。誰の招待か謎のまま、雪山に閉じ込められた状況の中で、じわじわと恐怖が進行する。5人の中のひとり、主人公ミラの語りのもと、事件の契機となった10年前の出来事と、現在が交互に語られ、謎が深まりを見せてくる。限られた登場人物の中、犯人は誰か、目的は何か、憶測が裏切られながらも、結末へと迫る展開は心地よい。数少ない登場人物の人となりや心理戦を通じて、犯人に焦点を絞り込めるか、読者への挑戦を受け止めることができるだろうか。 -
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いやもうすさまじい。「ストリートキッズ」のリリカルな世界から遠く離れて、これは「犬の力」をしのぐ血と暴力にまみれた物語だ。
元デルタフォース隊員の主人公デイブは、飛行機事故で妻子を失う。それはイスラム過激派によるテロだったのだが、政府により隠蔽され「事故」とされる。そのことを知ったデイブは「世界最強の傭兵チーム」とともに、自らの手で報復する決意をする。
と、こういう紹介を読んで、これって政治的な陰謀がどうとか利権がどうとか、そういう話なのか(あんまり好きじゃない)とちょっと思っていたのだけど、いやそっち方面にはまったく行かない。ほぼ全篇、デイブと仲間たちが、テロリストを追い標的を追い詰めて -
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最近にわかにはまっているフレドリックブラウンの短編集。
各短編をコースになぞらえ、オードブルから始まり食後のコーヒーで締めるフレドリックブラウンのフルコースが味わえるという美味しい1冊でした。
以下お気に入り作品。
「殺意のジャズソング」
友人と中古車販売業を営む主人公。ある日友人が何者かに暴行される事件が起こり、犯人の目星がつかないまま、今度は昔の音楽仲間の一人が殺される。
最後のオチが予想外だった。信頼できない語り手。
「死の10パーセント」
俳優崩れの主人公がとあるきっかけで出会った男にマネジメントされトントン拍子にスターへの階段を上っていく。男との約束は、すべての10%を取り分とし -
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「悪の勝利に必要なのはただ……善人が何もしないことだ」(トルストイ『戦争と平和』)
9.11とアル・カイーダ殲滅作戦のあとのアメリカに、旅客機が落ちる。
テロであることをひたすら隠そうとする政府に対し、家族を失った元特殊戦闘員がプロの傭兵集団を使って独自にテロ組織を追い詰める。
ウィンズロウには珍しく、王道の冒険小説だ。
『ナヴァロンの要塞』など、個性的なメンバーを率いた戦闘物は、既にたくさんの作者に書かれている。
それでも、
「貪るように」、ドン・ウィンズロウの本を読む感覚は変わらない。
やはり、「アベンジャーズ的」なものは考えて読んではいけない。
これまでも、この後も、さまざまな小