安萬純一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
連作ではない4つの短編ミステリー。
高校で連続しておきた強盗事件。警察官や高校生たちが犯人を追い込んだものの、逃げ込んだ先の倉庫で刺殺体となって発見される。
バンガローハウスが北斗七星の形に並んだ宿泊施設で見付かった死体。宿泊客たちは何故か互いに探りあっているような奇妙な素振りを見せている。
推理作家が友人に見せられたミステリー小説の原稿。現実の未解決事件を素に書いているようだが、小説は犯人まで示している。タイトルの『嘘つきは誰』の意味は?
病院で起きた女性看護師の転落死事件。自殺か他殺か分からない状況に警察が捜査を開始するが、転落したと思われる屋上は密室状態。他殺ならどうやって殺害し -
Posted by ブクログ
タイトル通り、城を舞台にした事件の話五編。
「幻術の一夜城」黒田研二(墨俣城)
秀吉が一夜で築いたとされる墨俣城の謎を解く家康。さらに彼はそこに一瞬で天守を造りだすと言う。
秀吉の一夜城の謎は何となく聞いたことのある内容だったが、家康の幻術はさて? ここまで上手く行くのか疑問ではあるが、天下を取る者はこういうことも味方に付けるということか。
「小谷の火影」岡田秀文(小谷城)
信長が今にも攻めて来ようとする浅井長政の小谷城で、牢に閉じ込めた筈の曲者が脱出し、そこから連想して事件が起こる。
こんなお市の方は見たくない! というお市の方ファンの悲鳴が聞こえそう。お市の方は悲劇の女性かはたまた… -
Posted by ブクログ
服部半蔵の命令に寄り、伊賀忍者5人と甲賀忍者5人が忍法とトリックを駆使して殺し合いをする物語。それだけだと山田風太郎の忍法帖のリライトに成り兼ねないが、この作品ではそれと並行して、5人が抜けた伊賀の里で次々と村人が殺される事件が描かれ、そのフーダニットとホワイダニットも楽しめる凝った構成になっている。
面白く読めたのは確かだが、密室トリックと言っても忍法絡みだからどんな手でも使えるし、論理的な考えの忍者がいるのも何か不自然だった。色々と盛り込んだせいで、緊張感が薄れてしまった感じがした。
この著者がいろんなパターンのミステリが書けるのには感心したけどね。 -
Posted by ブクログ
雑誌で募集した「謎」を探偵作家アマンに解かせようという企画をたてた編集者。しかし応募者の話をきいて不思議な出来事を調査しに出かけると、なぜか二人はいつも密室に閉じ込められてしまう…
思いっきりリアリティ無視の連作短編集。毎回、謎は持ち込んだ人が自分で解決し、アマンたちは知恵をしぼって密室から脱出するのだがあまり危機感がなく、最後の方は密室の中でくつろいでいるし、この密室が毎回突拍子もない大掛かりなもので笑える。バカバカしいんだけど面白くないわけでもないし、読者が持ち込んだ謎パートだけでなく密室魔のパートを加えたこの構成はいいのか悪いのかビミョー。