あらすじ
九重高校で黒マスク姿の男による合宿費強奪事件が起きた。犯人のあまりの足の速さに、誰も追いつけない。できたばかりの探偵部に所属する浩介たち三人は解決のため独自に調査を開始するが、二度目の強奪の後に、事態は殺人事件へと発展してしまう――。夏の避暑地での不可解な連続殺人、ミステリ小説として書かれた殺人事件が実際の事件と重なっていることに気づいた作家の推理、大学病院での転落死の真相と、夜空に煌めく星のごとき全四編。学園ミステリにクローズド・サークル、二転三転するフーダニットとハウダニット。鮎川哲也賞作家が贈る、純度百パーセントのミステリ短編集。【収録作】黒いアキレス/夏の北斗七星/谷間のカシオペア/病院の人魚姫/あとがき
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Posted by ブクログ
それぞれに探偵役も作品のタイプも異なる、凝った造りの短編集。どれの作も丁寧に作り込まれた感じで、ミステリ好きなら楽しいと思う。探偵役が使い捨てなのはもったいない気もするが。
Posted by ブクログ
ノンシリーズ短編集。
ノンシリーズだと探偵役が誰なのかわからないまま話が進んでいくのが面白い。それぞれ凝った構成だが、この著者独特の奇抜さが今回はあまり見られず、ちょっと残念。
Posted by ブクログ
安萬さんの作品を読むのは初めて。
やっと辿りついた。
最初に収められた『黒いアキレス』が学園モノだったこともあってラノベのイメージ。オープニングナンバーは重要だ。
全体的に殺人現場の描写はあっさり系。それなりの量の血は流れ相応に酷い現場になっていると想像するが血生臭い描写は皆無。
個人的にはラストの『病院の人魚姫』が面白かった。経歴を活かした病院内の描写はリアル。かなり執念深いストーカーに付きまとわれる十川さんの描写がもっと欲しい。かなりの美人なんでしょ?
Posted by ブクログ
連作ではない4つの短編ミステリー。
高校で連続しておきた強盗事件。警察官や高校生たちが犯人を追い込んだものの、逃げ込んだ先の倉庫で刺殺体となって発見される。
バンガローハウスが北斗七星の形に並んだ宿泊施設で見付かった死体。宿泊客たちは何故か互いに探りあっているような奇妙な素振りを見せている。
推理作家が友人に見せられたミステリー小説の原稿。現実の未解決事件を素に書いているようだが、小説は犯人まで示している。タイトルの『嘘つきは誰』の意味は?
病院で起きた女性看護師の転落死事件。自殺か他殺か分からない状況に警察が捜査を開始するが、転落したと思われる屋上は密室状態。他殺ならどうやって殺害したのか。
設定も探偵も様々。ポンコツ探偵の推理を改めてあげたり、ブラックな結末だったり。凝った設定や仰天トリックまで。
軽く楽しめるものからじっくり読み解くものなど色々。
個人的には最後の病院での事件が面白かった。何よりここまでやるその犯人の心意気に感心した。これは勿論皮肉。