陵クミコのレビュー一覧
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センセの絵が、どんどん上手くなっているのがよくわかる一冊でした。
表題作だけが現在の作品で、あとはかなり古かったので。
でも、昔の作品もストーリーは好みのテイストで面白かったです。
「独占率」は、あとがきに“付け焼刃的”な読みきりなどと書かれていますが、そんなことありません。受の片想いが切なくて、きゅーんとさせられます。王道だけど、きれいで繊細な絵柄にぴったりなストーリーだと思いました。
モテ男で大学の寮の隣部屋に住む伊坂のことを密かに想っている、地味眼鏡のナツ。でも、ナツは根っからのゲイで、伊坂はめちゃくちゃノーマル。当然、想いが叶う望みはないと思っていたある夜、酔っ払った伊坂から「俺と遊ぶ…?」と言われ、遊びとわかっていながらもナツは受け入れてもらおうとします。
ナツが壁越しに伊坂への想いを囁くところは、切なすぎでした。
伊坂がとんでもない男みたいなんですが、ノーマルから男に転ぶという大冒険をするにあたって、これくらい当惑しているのも頷けます。
女の子に接するよりも、ナツに対しては執着しているところとか、ヤキモチを焼いているところとか、よく観察するとけっこうわかりやすいのがかわいいかも。
伊坂はメガネっ子大好きなのに、同じメガネでも秋山は超気に入らないってところも可笑しかったです。
描き下ろしが、また良かった。
ナツにはヤキモチを焼くくせに、自分は平気で女の子と遊んじゃう伊坂。それはNGだよなと思っちゃいました。そんな伊坂の行動に、体だけの関係でもいいと思っていたナツが二人の関係に疑問を感じるようになってしまいます。
ナツがかわいそう!と思わず入れ込んでしまう展開。でも、伊坂だってあれこれ考えてたんだと分かると、タイトルの意味に納得です。
「カウンターテーブルの距離」は昔の作品で、これも王道的なんだけど、雰囲気があって印象に残ります。
仕事から逃避してしまった陶芸作家の蒼志×亡き父親の喫茶店を一人できりもりする陽。
孤独な二人が惹かれあう姿がとても優しい目線で描かれていて、読後感のいい話です。
「彼は悪いヒト」は、カワイイ受かと思っていたら…という、形勢逆転が爽快なハナシ。どこかで読んだ、あんなパターンの話です。ツボでした。
カバー下に、秘書のお話があって、こちらもスピンオフがあれば興味津々なかんじです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ思ってたよりずっとよかったというのが正直な感想です。(失礼)細かいことを言えば、色々とツッコミどころはあったのですが、お互いを思う兄弟愛に胸がキュッとなりました。
弟がすごくすごくよかった。
ガチで兄弟なのだけど、そのあたりの禁忌を犯すドロリとした背徳感みたいのはあまりなかった。
幼い頃事故で両親をなくし、資産家だった父の実家に引き取られた兄弟。
跡取りとしての重圧。自分がいい子でいなければ自分達の居場所がなくなってしまう。唯一の拠り所である幼い弟と離ればなれになってしまう。常に兄としての責任感を感じていた要。
幼い頃から兄が大好きで大好きで、いつしかそれが恋愛感情だと自覚して絶望した清司。それは望んではいけないもの。決して手に入らないもの。
兄のそばにいることに耐えられず、家を飛び出したことを身勝手だとなじられても本当の理由は告げられない。
心のよすがだった弟に裏切られたと思い傷ついても、一族の中で孤軍奮闘する要。しかし周囲の目は冷たく、祖父の死で後ろ盾を失った要は窮地に立たされる。
起死回生を狙って、不本意ながらもカメラマンをしている清司を久方ぶりに訪ねた。祖父が遺言で弟に遺した株式を譲り受けるために。
二年ぶりの再会にもかかわらず、取りつく島もない清司。なぜそんなにも自分を嫌うのかと、売り言葉に買い言葉で、要は株の譲渡を条件に『ヌード写真の練習台になる』約束を交わしてしまう。
『アンタには色気がない』とあざ笑うように、戯れのように体に触れてくる清司。一方的に昂らされてしまう羞恥に混乱しながらも、要は不思議と頑なに凝り固まった心が溶けだしていくような感覚にとらわれる。
清司の前でだけは弱味をさらけ出していいのだと。
認められたいと必死に頑張ってきた努力が報われず、涙を流す要に労るように清司の唇が触れてくる。額に、頬に、まるで小さな子供をあやすみたいに。けれども唇だけには決して触れない。
まどろむ要の髪をやさしく梳く清司の指先。そっとなぞるように唇に触れては名残惜しそうに去っていく。まるで指先でキスされてるみたいだと要は思う。
そしてみつけた白い木箱にしまわれていた写真。
すべては日常の何げない瞬間。怒っている要。ご飯を食べている要。清司の部屋で安心しきった顔で眠っている要。撮る側の愛情が溢れ出すような、やさしい色合いのスナップ。一体どんな気持ちでファインダーを覗いていたのだろうと思うと、何だか泣きたくなる。
『あれがお前の東京タワー?』のくだりが胸に残った。
清司の気持ちを受け入れた要だけれど、やっぱり“ほだされた感”は否めない。
ようやく欲しいものを手に入れたのに、いつか兄が我に返るのではないと、どこかで終わりを予感しながら心を揺らしている清司がいじましくて、積年の想いを遂げた圧倒的な幸せ感よりも切なさの方がまさった。
ちょっとおまけして4☆ -
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ネタバレ在宅勤務のSE・槙原俊は、飲まず食わず寝ずで行った仕事明け、玄関を出るなりその場で倒れてしまう。
気がつくと、アパートの隣人・渡辺研一とその息子・孝太の家で介抱されていた。
俊は、研一に感謝するが、研一の態度は冷たく、その印象は最悪だった。
しかしなぜか孝太は俊に懐いてしまう。
俊が倒れたのはどうやら、風邪だったようで、それから三日間寝付いてしまった俊の下へ、孝太は毎日「お見舞い」と称して、自分のおやつだと思われるお菓子を持ってくる。
やがて、すっかり風邪もよくなった俊だったが、相変わらず孝太は俊に懐いたまま。
公園やアパートの庭などで俊を見かけるたびに、駆け寄って纏わりついてくる。
最初はそれを鬱陶しく思っていた俊だったが、次第にそんな孝太を憎からず思うようになる。
そんなある日、公園で孝太の叫び声を聞いた俊が駆けつけてみると、そこでは俊の「母親」と名乗る人物が孝太を連れ去ろうとしていた。
咄嗟に孝太を守ろうとした俊だったが、そのことから怪我をしてしまう。
そして、それがきっかけで研一と孝太の過去を知ることになってしまう。
それは、研一の元妻が、浮気の際に、孝太を車に置き去りにして孝太が死にかけたという大変なもので、そのことにより孝太は、知らない人間のことを基本的には受け入れられなくなってしまっているのだという。
おまけに、そのタイミングで、孝太が一番懐いているベビーシッターが、長期に療養することになってしまい、その際にしばらく孝太を預かってほしいと頼まれる。
最初はためらった俊だったが、状況を聞き、研一の気持ちが変わらないのだと知ると、孝太を預かることにする。
すると、必然的に研一との仲も縮まっていって……
という話でした。
実は、俊にはこれ以外にも、頻繁に住居を変えないといけない理由が他にあって。
それは、昔付き合って、今も別れてくれない恋人の束縛ってやつで。
俊は何度か別れようとして、その度に転居もするのだけれど、結局別れきれなくて元鞘というのを繰り返していて、でも今度という今度は。
その恋人が、別の女と結婚するけど、これからも関係を継続しようと言ってくるから、本気で別れようとしていて。
でも、元恋人の罠は巧妙で、また元通りになるのかなー……となりそうだったところ、研一の存在に何とか思いとどまらされるという感じで……。
それでようやく本当の自分の気持ちに気がついた俊は、けれど、自分の気持ちが絶望的なものであることを、これまでの経験で勝手に決め付けていて。
また、ほどよいところで、研一の前から姿を消してしまう……。
まぁ、最後は当然ハッピーエンドですけど。
なんというか、意外と重たいものを二人ともが背負っていて。
また、子どもを間に挟んだやり取りがかわいくて、かわいくて。
素敵な話だと思いました。
前もこの作者さんの話素敵だと思った記憶があるので、この作者さんはきっと素敵な話を書く人なんでしょうね。 -
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ネタバレ好き嫌いが分かれそうな攻め。
できる大人なようでいて彼の方が子供っぽいなと読後思った。
昔いじめられた相手との再会もの。
受けはスーパーネガティブ。何をしても平凡でうまくさばけない
自分を知っている。仕事も結果が出てはいても「やっていたら
これくらいは誰でも」の自己評価。
全ては、太っていてぐずで苛められていた過去のトラウマ。
友だちになれるかも・・・と思って裏切られた相手と
偶然再会。そして男とキスする場面を目撃。
唯一仲良くしている幼なじみに「誘って復讐しろ」。
ミイラ取りがミイラになる過程をご覧ください。
これからはうんと受け甘やかしてやれよ?
と攻めに説教したいです(笑)。
受けがとにかく頑張って、どんどん人として前を向こうとしていく
成長が好き。そして陵さんの挿絵は最高です! -
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ネタバレ何にもわからないうちに恋を教えられて、パリに行ってくるから~と言われた静流さん。不安にもなるし、家庭環境のせいもあって甘えることが難しい静流さん。
パリで修業中のパティシエ攻が静流が見合いをしたという情報だけで、師匠との約束等ぶっちして帰国する。
高校から付き合っているんだから、恥ずかしいとか言ってないで一言「待っててくれ」と言っておけばすべて丸く収まった気もするけど、
すれちがい・誤解(やっぱり女性のほうが・・・!みたいな)・言葉足らず・勘違い・・・でも最終的に胸焼けするほど甘いお話が大好きなのでとても心地よく読めました。
やはり、料理上手な男(今回はパティシエですが)はいい。 -
Posted by ブクログ
読みやすい文章で、切なく甘いストーリーが上手い作家さん。
この作品は小説ガッシュ創刊号掲載で、その時には冒頭の高校時代の描写がなかったんですよね。このシーン素敵で胸キュンです。
リーマンの静流は自分を過小評価しすぎていて、何事にも臆病。彼は腐れ縁とも言うべき男、佐久間のことが学生時代から好きだったのですが、彼に振り回される一方的な関係にケジメをつけようと、一度別れを告げていました。ところが、2年間音信不通だった佐久間がいきなり現れたところから、また静流は悶々とした想いにとらわれてしまうのです。しかも、おいしい食事で懐柔され、モテ男にまた昔のようにセフレ扱いされそうだと思って悩みます。
でもこの話は静流視点。自分に自信の無い彼の思い込みで、話が展開しているわけです。遊ばれてる、と勝手に思い込み、その結果佐久間にものすごいツンデレな態度をとっているのがかわいい。
そんな冷たい静流にめげずに忍耐強く側にいる佐久間って、ほんとに好きなんだなぁと、こっちには伝わってくるんですが…
静流のツンデレは、とにかく自分への自信なさと、佐久間の愛に臆病なところからくるものなんですよね。
書き下ろしもラブラブで犬も食わない感じで楽しめました。
お互いに心変わりを心配したり、ぐるぐる考えすぎちゃったりという恋の悩みに楽しく?付き合わされます。Hシーンも甘くてドキドキさせられました。何といっても、積極的に頑張ろうとした静流がかわいすぎでした。ツンデレの極致です。これにメロメロにならないほうがおかしいくらいの天然ぶりに萌え。
佐久間もなんだかんだ気持ちを疑われていますが、それは静流からの視点なんですよね。冷静に読むと相当惚れ込んでるのが丸わかりです。
後輩の新見や、浮田ですら、全部気がついているのに、肝心の静流がほんとに天然でわかってなくて、もうキュンキュンさせられました。
冒頭+書き下ろしがとてもよくて、雑誌で読んだ時よりずっと面白くなっています。イラストもピッタリだったと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高校の同級生、再会もの。
自分だけが相手を好きで、その背中を追いかけ続けることに疲れて一度は手放した恋。
でも本当はいつの間にか自分が追いかけられていたなんて、私得過ぎる設定にモダモダ!
可南さんの、流れるようにキレイな文章も手伝ってあっという間に読めました♪
一途俺様のさりげない優しさと独占欲、グルグルしちゃう受けの可愛さ、すれ違いの焦れったさ…。
キャラも設定もストーリーも、好みのど真ん中で、萌えツボをグイグイと押されてしまいました!
実は最初の15ページでノックアウト!
高校時代の回想シーンなんですが、カーテンに隠れてキス!なんて、そりゃ悶絶するよね♪
何不自由無い男が、恋に振り回されるお話大好きです!!
先生、続編とか高校時代の話とか書いてくれないかな?