岩田健太郎のレビュー一覧
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内容は中高生(高校生?)向けの性教育。
医者だし性感染症の知識と防衛策についてがメインかなと思ったら,そのかなり上を行っていて,「絶対恋愛」という恋愛論を展開していく。一人を一生涯愛し続け,自分より相手を優先するべし,と。
感染症のリスクを極小化するには,感染源との接触を断てばよいのは自明の理。性感染症も同じで,リスクをなくすには,誰とも一切の性的接触をしなければいい。しかしそれでは人生つまらない。
性愛は悪いものではなく良いものだ。抑えられない衝動もあるだろう。
そこでその相手をただ一人の人に限って,誠実におつきあいをするなら,その愛の価値はいっそう高まるし,おまけに性感染症のリスクも低く抑えることができる。まさに一石二鳥!
そしてその生涯の愛を見極めるためには,ある程度大人になっていなくてはいけない。なので君たちくらいの年齢でのセックスはあまりおすすめしない。でも禁止はしないから,予防策はしっかり教えておくよ。
…まあ正論だけど,中高生相手に「絶対恋愛」とか言えるのってなかなかすごいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ岩田先生の本は結構読んでいます。専門的な感染症の本から、「リスク」の食べ方まで。先生自身この本は「リスク」の食べ方の続編と書いていらっしゃいます。糖質制限食の話から、トンでも本の話まで興味深く、一気に読み終わります。糖質にしろ、肉にしろ、不食にしろ極端はよろしくないという主張がなされています。至極もっともな話です。トンでも本が好きで傾倒するような人にとっては魅力のない本に映ってしまうかも知れませんね。しかし本質はこんな所にある気がします。パンを食べるな、小麦を食べるなの本の後に読み、私の中ではうまくバランスが取れている気がします。
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者の言う「誤用」とは、リスクを勘案した上で、そのリスクを上回る効果が得られないことである。
そのリスクは、「副作用のリスク」「耐性菌発生のリスク」「お金のリスク」「ロジスティクスのリスク」の4つだという。
これらをクリアしてはじめて、正しい処方だと言えるのだろう。
リスクというと一般的には「副作用のリスク」のみに着目しがちだが、病気だけでなく周辺のリスクも勘案すべきである。
このような大局的な視野は、合理的で素晴らしいと思う。
また、先発品の投与方法が変わっても、それが後発品に反映されないといった薬事行政のお役所的な面や、日本の医者は足し算体質な傾向が強いといった問題などは抗生物質に限った問題ではない。
専門的な内容も多々あるが、医療界の一端を垣間見れた気がする。 -
Posted by ブクログ
感染症専門医を目指す若手のアイコンであり,ロールモデルである大先生の新作.相変わらず,タイトルセンスが素晴らしい(苦笑).
新書ですし,ターゲットは一般の方なのかなと思いましたが,本文の呼びかけから考えると,一般の方にもわかるように専門家に向けて書いたもののようです.
特に強調したいからなのか,多作の先生だからか,どこかで聞いたことがある話もいくつか出てきます.
また,批判にも耐えうるように(?),意識してバランス良く書かれているようですが,ツッコミどころ満載の部分も無きにしも非ずです.
私と岩田先生とは日々の対象が異なるためか,ちょっと違和感がある部分もあります.例えば,自分の知的好奇心を満たすために,CT検査をしたことはありませんね.散々ネガティブなことを前面に出して説明して,それでも検査してくださいという親のこどもに仕方なく検査をすることは稀ながらありますが・・・.(本当はいけないのですが・・・)
多くの医師の仕事ぶりを批判した後に,大学病院の医師と開業医は単に役割が違うだけと言っても,日本人的感覚では「私は名医の岩田先生に診て欲しい」ということになると思うのですが,この感覚は変なのですかね?
薬の副反応に関しても,おっしゃるようにそれを意識していない医師が多いのは間違いないと思いますし,総論に口を挟むべき部分はありません.ただ,先生が書いているように,可能性の話をしだしたら止まらないのが普通ですので,たとえに難があるように思います.
何でもそうですが,言い切るのは読んでいても気持ちがいいもので,文体に内田樹先生の影響が見え隠れしても岩田先生のように書けたら,痛快でしょうね. -
Posted by ブクログ
今日の、「医師は患者の希望を出来る限り優先し、物腰は柔らかくすべき」という考え方に疑問を呈し、「お医者さんごっこ」をキーワードに、医療のあり方を論じている本。
ここでいう「お医者さんごっこ」とは、「患者は医師を信頼し、医師は目の前にいる患者にとって適切な医者像を振る舞い、良好な関係を築いで治療にあたろう」というものである。
言葉の正しさについて「安易な言葉狩りが危険なのは、言葉の萌芽=語源の部分ばかりに注目して、時代を経てどのような文脈で使われるのかという流れが読めなくなっているため(言葉は出自ではなく、「今」の捉えられ方が大切)」、呼称について「友人の黒人女性曰く、黒い肌を黒いといってダメという言い方こそ差別的だ(悪意を込めていう人こそ問題)」、「レトリックを駆使して相手を説き伏せるのではなく、対話をしなければいけない」、アメリカは実績を挙げるために「医学生は褒めて伸ばせという一方で、劣等生は退学処分にすべき」という教育方針を持っている、(医療に携わる)官僚は国民やメディアに不審がられない為にも自ら情報を発信し、かつ現場を知らないのに薬の使用の可・不可を決めるのではなく、「ワクチンのメリット・デメリットの情報」を開示すべき、国民も官僚に頼り切っている実情に疑問を持つべきなど、筆者の持論が易しい文章でふんだんに込められている。
筆者は「医師と患者は厳密には対等でない、ネットで情報を収集するのは大いに結構だが、医師の言いつけを最優先すべき」とも述べている。これはネットで有名(?)な林公一精神科医も以前自分のサイトで強く主張しており、いくら私達が情報をかき集めた所で所詮素人なのだから、「どのような考えのもとで医師はこの処置を施したのか」など分かるわけでもなく、自分・身内の健康のためには、指示を素直に聞いておくのが一番だということなのだろう。そして、医師と患者の関係が良好になることは、結果的に治療が進んですぐに治るようになっていくのだ、と述べている。
もっとも、だからといって医師は横柄・傲慢に振舞って良い訳がなく、一生をかけて患者との対話とやり取りを学び続けて実行していかなければいけない、とも主張している。
「医師と患者の良好な関係を作るのは一朝一夕には行えるものではなく、「何が正しいやり方なのか」という解答も簡単には見つからない。双方が必死に暗中模索することで、病の治癒というゴールを目指していくのが、望ましいあり方なのだ」、というような主張で本書は締めくくられている。至極当たり前の話なのだろうが、一部の迷惑なモンスターペイシェントのために、こんな本が生まれたのだろうか。
自分用キーワード
ニューヨークのジョーク:「僕はアラブの王様だ。3000万人の国民の為に働かなければいけない」「私はニューヨークの市長なのですが、2000万人の王様のために働かなければいけない」(世界一要求度が高いということを示唆している) Nevre say never(「絶対に、絶対と言うな」。アメリカで研修医はこう教わるという) ダイアレクティク(dialectic:対話のこと) ピグマリオン効果 内田樹(筆者はこの著者のファンであり、本書の内容の多くを著書から引用していると、後書きで述べている) 張良と黄石公の沓のエピソード 『House』(アメリカの医療ものドラマ。このドラマが好評を受けたことから、アメリカ人も「医師と患者は正確なやり取りが求められる」という風潮に嫌気がさしているのではと推測している) ドクターショッピング(筆者の指導医曰く「一人、二人と医者を変える患者は医者の方に非があったのかもしれないが、三、四人となると、大抵患者側に非がある」) 「病気を診ずに、患者を診る」「全人的に患者を診る」(筆者の大嫌いな言葉。病気と患者は対立概念ではないのに、病気しか診ない医師」を敵視してしまうこと、医師にも時間の制約があり患者の「本当の気持ち」など分かるわけが無いのに、解ったふりをしようとするのが軽薄に感じられるため、とのこと) 量的研究・質的研究 前向き(後ろ向き)介入試験 EBM(Evidence Based Medicine。個人の(医療などの)経験よりも第三者の視点を重視し、一意的な行為よりも「他者との比較」を重視し、バイアスの影響を重視、検査値の改善より患者にとって密接な問題(死ぬか否か)が大切であり、インターネットのもたらす大量の情報に依存しているのが特徴) エビデンス至上主義 ドラッグ・ラグ(薬の審査に時間がかかりすぎて、必要な人に提供できない状況に陥ること) ダブルバインド(局面が良い方・悪い方に転んでもバッシングをすること。ベイトソンが提唱)