とり・みきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ローマ時代紀元一世紀。皇帝ネロの時代。「博物誌」で知られたプリニウスの世界を描く。「テルマエ・ロマエ」がコメディタッチだったことに不満があったヤマザキマリは、今度はシリアスに描きたいと思っていたらしい。しかし、彼女はアシスタントを使わない主義。しかし今度は1人では描けない。そこで相棒に選んだのがとり・みき。凝り性の2人が描けば相乗効果で、とんでもない「博物誌的な漫画」が出来上がった。
彼らが描くローマ時代を見ると、つくづく現代の古いヨーロッパとほとんど変わらない世界が現出する。日本では弥生時代なのである。しかし、プリニウスの頭の中は、ところどころ非科学的な性急さはあるものの、科学的に世界を見つめているのが、私的にはツボである。その好奇心の強さ。
そして時々現れる現代にも通じる真実。特に三巻目の40Pから46pにかけて、おそらく「博物誌」の記述を元にしたプリニウスの呟きは、優れた人間洞察である。曰く。
「人間というのは、これだけ弱虫に生まれておきながら、やがてはすべての生き物に対して主人面をするようになる‥。素っ裸でこんな無防備な姿で生まれてくるのに、誇りだけは高生き物に育っていく‥」
「猛々しいライオンですら、彼ら同士で無意味に闘ったりはしない。しかし人間は、たいていの禍いは仲間同士で引き起こされる‥」
現代最先端の霊長類学であり、平和学だろう。 -
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個人的には好きだけど
歴史オタクの自分にとっては悪くないテーマ。
こんな作品、誰も書こうと思わないだろうしね。
一方、多くの人にとっては「皇帝ネロ」「ポンペイ」あたりがかろうじて聞き覚えのある単語程度で、全く未知の世界だと思う。
むしろ、「フィクション?異世界もの?」と思うかもしれない。
主人公も小難しい事ばかりを言うオッサンだし。
という事で、一般ウケはしない作品だろうなと思う。
新潮45→新潮で連載されていたという事で、この味わいがわかる文化好きの大人向けという事だろうか?
嫌らしい言い方をすれば、「テルマエ・ロマエ」等で大ヒットしたヤマザキマリだから描けた(描くことが許された)作品と言えるかもしれない。
ただ、売れ行きはともかく本作の評価はかなり高いようで、この手の日本での知名度が高くない人物・時代を扱った作品が増えてくる嚆矢となってくれればいいなと思う。