橋本淳司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
地球に存在する水が風呂桶一杯(200L)なら、
使える真水はスプーン1杯(20mL)と言われて
います。
日本にいると気がつかないですが、真水は非常
に貴重なのです。
20世紀は石油を求めた戦争だったが、21世紀は
水を求めた戦争が起こるとも言われています。
そんな大事な水に関心を払うべく書かれた本
です。
特に人間は「日常的に周りにたくさんあるもの」
には気づかない。
モンゴルには花が咲き誇る時期があって、それは
それは美しい風景が広がるのですが、常に草原に
暮らすモンゴル人にとって花は日常的でもあるし
馬の餌にもならないので、全くスルーされる
存在であるとか。
日本人にとっても水は「当たり前」であり、
最近は洪水ばかり「多すぎるくらい」の存在です。
しかしそれは非常に恵まれた環境であることを
自覚しないといけないと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目17箇所。驚くべきことに、日本には地下水に関する法律がない、数年前から法案が準備されてはいるが、各省庁からの異論、企業の反発などで遅れている。「水どころ」として知られる熊本市周辺地域の地下水位(2010年)は、20年前と比べて約5メートル下がった、使用料が75%に減ったにもかかわらず、である、熊本県の担当者は、「毎日使っている水がゆっくりと減りはじめ、何の手も打たなければ、将来的には枯渇してしまうことがわかった」と、深刻な表情を浮かべる。本書では、水源地をめぐるさまざまな動きをレポートしていく、海外では水源地の争奪戦が起きているが、その背景には水不足がある。森林を取得した場合、保安林等の法的規制がかかっていなければ、所有者は比較的自由に開発ができる、木を伐採してもよいし、温泉を掘っても地下水を汲み上げてもいい、と考えられている、つまり、土地を買う=水を買う。たとえば、コカ・コーラ社がインドのケーララ州で、水をペットボトルに詰める工場を稼働させたが、その取水量は1000~1500トンと大規模で、地元は日常的に水不足に陥るようになった、住民は「工場の進出で地下水が枯渇し、水質も悪化した」と抗議したが、コカ・コーラ社は「工場で使う地下水は、村の井戸と水脈が違う。訴えは事実無根」と主張した。中国や香港では土地の所有が認められていないため、将来の有事に備えて海外不動産に分散投資する、現在、日本の林地価格は、1ヘクタール50万円程度と非常に安く、利用目的によっては「お買い得な物件」なのである。日本の軟水では味の差異化はむずかしい、そうした状況ではブランド力のある水が売れる、今後、新規ブランドの立ち上げは相当に難易度が高いと言える。明治時代には炭酸水が国民的なブームとなった、当時、大流行したコレラの予防にガス入りの水が効くと考えられていたのだ、きっとメーカーがコレラ予防に効くと宣伝したのだろう、いまなら薬事法違反である。外国資本が日本の水をねらうなら、日本のペットボトル水メーカーや宅配水業者を買収すればいいのである、水源地を取得しても良質で豊富な地下水脈に当たるとは限らない、ならばすでに良質で豊富な水の利用権をもっている企業を買いとったほうが手っ取り早い。水は生活の基本インフラなので安いほうがいい、水が不足してくると、水を遠方から取り寄せなくてはならない、汚れた水をきれいにしなくてはならない、そうなるとコストが発生し、水の価格は上がる、水不足のなかで、高い水でも売れるようになる。民法207条の「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」という規定が適用されている、つまり、法的には土地の所有者に、その地下に賦存する地下水の利用権があると解釈されている。外国人が土地を所有できる国はアジアでは珍しい、共産圏である中国、ベトナムなどは外国人の土地所有を認めていないし、韓国、インド、シンガポールなどでは土地の所有は可能だが、いずれも条件つきとなる、でも、日本では自由に所有できる。「ごはん1杯分のコメを育てると1500リットルの水を涵養できる」。コメを食べなくなったしわ寄せは農家を直撃する、農家はコメづくりをやめ、田んぼは減っていく、それが日本の地下水を減らすことにつながる。
-
Posted by ブクログ
データセンターや半導体工場が使う「水」という視点から、世界の状況と日本の環境を改めて考えるきっかけになった一冊でした。
国内でデータセンターが増えているというニュースは見かけていましたが、そこで使われる水の量や、世界での水資源の偏りについては知らないことばかりで、大変勉強になりました。日本で暮らしていると、水を「資源」として意識する場面がほとんどなく、降った水の多くを国内で使えるという環境がどれほど特別なのか、素直に驚きました。
国際河川では上流の国が強い影響力を持つ構造や、例外的な地域の話も興味深く、世界では水が緊張の火種になり得ることを実感。さらに、データセンターの冷却に大量の水が必要で、その使用量を減らす技術は別のエネルギーを求めるという、なんとも複雑な状況にも考えさせられました。
便利さや技術の進歩を享受しながらも、不安が残る読後感。生活の中でできることは小さいけれど、まずは「水の価値」を意識するところから始めたいと思わせてくれる内容でした。 -
Posted by ブクログ
日本で暮らしていると水の地政学的リスクということに意識が向かなかった。
そもそも国際河川についても、言われてみるとそうか国をまたいで流れる河川があれば騒乱が起きるなと気づかされる。
それに加えて、気候変動の影響で降雨の状況が変わってきて、干ばつや洪水が起きやすい中だとさらに争いが起きやすくなる。
更には水の使い方が変わってきて、これまでの生活用水や農業用水産着用水にに加えて、新たな産業用途として半導体製造やデータセンターの利用が爆発的に増えている。
それでもその地域での利用できる水量には限りがあるのだから、企業誘致の振興とのバランスは難しいところだ。
涵養について企業が積極的になっているとは知らなかった。
今は昔に比べると個人の社会についての考え・参加が強くなってきている中で、企業としても知らぬ存ぜぬでは済ませられないだろう。
それにしても水の金融商品化だとか新しい知識・考え方を提示してくれたいい作品でした。
新書らしい新書作品で楽しい読書でした。 -
Posted by ブクログ
日本の土地が他国に買われて、その地下水の権利までが奪われようとしている!やばいぞ!というだけの本ではない。
先細る林業、価値のない土地をどう維持すれば良いかというなか、海外資本によって地域経済が蘇るなら是とする考え方もある。
この国の水を守れ!という割に、日本の企業が掘削した水が海外に輸出されることについては是とする、なぜ?もある。
そもそも地下水は無限じゃないと薄々気づきながらも、毎日飲料水をペットボトルで購入する私たちの行動についても警鐘が鳴らされる。
「思うに、いま私たちは水の消費者でしかない。安全な水を効率よく利用することだけに意識が向いている。」と。
「地域の水を自分たちの手で守る、「私たち」の水を「私たち」で守るという意識の欠如によって水が奪われるのだ。」 -
Posted by ブクログ
近未来の水をとりまく予測。
AIが重要な位置を占める。
AIがインフラ整備の在り方を判断する。
国内でも、国際化戦でも。
コンパクトシティ化に反し自然に暮らそうとする人たちには容赦ない。
・・・まあこれはやむを得ない面はあると思うが、、、
この本を読んで一番の衝撃はAIが冷却に水を大量に使う意味。
大量に使うことまで走っていた。電気と水と。
確かに世界中の知恵を集め確率で次の言葉をつぐむには、
大量の電気が必要だし、その熱くなった回路を冷やす必要はあろう。
しかし、水は冷やしたらまだ再利用すればいいのでは?と思い込んでいた。
水は、、、蒸発するのだ。消えるのだ。
そして蒸発した水は大気に戻り、自然体系を崩す。
もしかすると昨今の異常気象の一因にすでになっているのでは?
さらにそのAIに、人間は自然との共存のための判断をゆだねようというのだ。
背筋が寒くなった。
10年後の水 「はじめに」に代えて
価値 2033年A県瑞穂平市
浮沈 2040年東京
管理 2042年S県龍騎村
分配 2040年ナディス川流域 -
Posted by ブクログ
ネタバレ水資源が豊富な日本に住んでいては想像もつかないような、水問題が世界各地で起こっている。
中国を中心とした外国企業が日本の水源地を狙っており、日本も他人事とは言えない状況。
日本に国際河川は存在しない。しかし日本は大量の食料を輸入しており、空港や港に国際河川が流れ込んでいるようなもの。
『食料など狭い国内で作らなくとも、世界中から買ってくればいい』という日本の考え。経済力がそれを可能にしていた。また、グローバル化を促進するため、燃料が非課税となっている。それが国内で輸送するよりも、隣国から輸入する方が安くなる状況を生み出している。
水が足りない国が水を集めて牛肉を作り、水資源が豊富な日本がそれを輸入し食べている。牛肉を飼料から国産でつくると、今の価格では到底食べられなくなり牛肉を食べる機会は減る。でも、それでいい。高度経済成長期から現在までが贅沢すぎた。足るを知る。
水はかつて高いところから低いところへと流れていた。しかし今では、カネのあるところへ向かって流れている。
水ビジネスの巨人ウォーター・バロン -
Posted by ブクログ
水道法改正以後の水道のあるべき姿について。イギリスやアルゼンチンで進んだ水道民営化が失敗に終わったという認識の下で、2018年12月の改正水道法で導入されたコンセッション方式をどのように運営すべきかということが中心になっている。また、人口減少時代では水道代の上昇は避けられないため、必要に応じて既存設備投資計画の中止も視野に入れるべきとの著者の提言もなされている。
第一章では日本における、近代水道事業の歴史について触れられている。明治時代の1887年10月に横浜で水道が開業してから、1890年の水道条例によって、水道は衛生目的のために公営事業として行われることが2018年改正水道法までの日本の水道行政の指針だったことが強調されている(8-9頁)。戦後、1957年に厚生省(現厚生労働省)が水道法原案を作成し、同年成立したことにより、上水道を厚生省、下水道を建設省(現国土交通省)、工業用水を通商産業省(現経済産業省)が所管する体制が成立したとのこと(9頁)。
第二章では、著者は2018年12月に成立した改正水道法について、「どのような社会を作っていくのか」というヴィジョンが不明瞭であったことと、著者自身は、時の安倍政権が進めようとしていた「公から民へ・小さな政府」という流れに反対していることを述べている(10-12頁)。
著者はさらに、この改正水道法でコンセッション方式が認められたことについて、実質的な水道の運営責任が自治体から企業に移るため、自治体に水道事業に精通した職員がいなくなる可能性を懸念している(20頁)。また、このコンセッション方式が、2013年にアベノミクス第三の矢として、竹中平蔵氏の「水道事業のコンセッションを実現できれば企業の成長戦略と資産市場の活性化の双方に大きく貢献する」(本書21頁より引用)という言葉と共に政府によって推進されていることを強調している(21頁)。
第三章(25-34頁)ではイギリスのサッチャー政権によって1989年に水道民営化が実施されたことを嚆矢に、フランスやアルゼンチンでも民営化された水道が、イギリスでは経営に大きな問題が生じており、フランスとアルゼンチンでは双方ともに21世紀初頭に再公有化されたことを論じている。
イギリスの水道民営化の問題点は、水道事業の利益が役員報酬と株主配当に費やされていることである(26-27頁)。
“……保守党のマイ(←26頁27頁→)ケル・ゴーブ環境相は、「九つの大手水道会社は二〇〇七年から二〇一六年の間に一八一億ポンド(約二兆六二〇〇億円)の配当金を支払ったが、税引後の利益合計は同期間に一八八億ポンド(約二兆七三〇〇億円)であった」といい、水道事業会社は巨額の利益を上げているにもかかわらず、そのほとんどを株主配当と幹部の給与に費やし、税金を支払っていないと指摘しました。
たとえば、ユナイテッド・ユーティリティー社のCEOの報酬は年間二八〇万ポンド(約四億六〇〇万円)、セバン・トレント社のCEOの報酬は年間二四二万ポンド(約三億五〇〇〇万円)などです。
さらに「水道事業会社は収益を保証して独占運営する見返りに、経営を透明にし、責任を負わなければならない」と述べ、水道事業会社のガバナンス強化を「オフワット」のジョンソン・コックス議長に求めました。”(本書26-27頁より引用)。
また、アルゼンチン水道の民営化については、IMF、世界銀行、アメリカ合衆国からの強い要請の中で行われたものが、市民の反対運動を受けて2006年にネストル・キルチネル大統領によって再公有化されたことが述べられている(30-31頁)。
“ 二〇〇六年、アルゼンチン政府は、民間企業に譲った水道事業を運営する権利を取り消すと発表しました。キルチネル大統領は、「水が国民の手に戻った。再び社会の財産になった」と強調しました。その後、水道事業は公営に戻っています。”(本書31頁より引用)
ネストル・キルチネルは自身が学生だった軍事政権時代、軍事政権と戦うゲリラ組織モントネーロスのシンパだったということを述べていたが、そのような経歴を含めて、功罪について賛否は両論ながらも、やはり人民の大統領だったということなのだろう。
第四章、第五章、第六章は改正水道法下の水道の運用方法についての著者の分析と提言となっている。私はこの分野については無知ながらも、以下の提言には真摯に耳を傾けなければならないと感じた。
“ いま必要なのはダウンサイジングです。施設を減らしたり、小さくすることです。人口減少に直面する地方ほどダウンサイジングが急務ですが、都市部でも無縁な話ではありません。節水が(←35頁36頁→)浸透し、東京都水道局の料金収入は一〇年前から一三〇億円減っています。東京でも近い将来の人口減が予測されていますから、無用なダム建設などは今からやめるべきです。
水道は装置産業です。多額の固定費がかかっています。現有施設を有効活用すること、大事に長く使うこと、無駄な設備を廃止していくこと、計画中の施設でも今後有効に使えないなら中止にすることです。”(本書35-36頁より引用) -
Posted by ブクログ
ネタバレ世の中のことにとても疎いので読んでよかった。
印象に残ったワード「全体主義」「差別」「ファシズム」「水道法改正」「種苗法改定」「カジノ」「歴史修正主義」
コロナ禍だからこそ伝えたい「自由」と「権利」と「多様性」
p19「自由や多様性を守る」ということは、(コロナ禍で)マスクをしない人も、バーベキューをする人も、同じ社会で暮らす仲間として尊重するということ…せめて糾弾したり排除したりしないということ…自分たちの安全のためにどうしても行動を変えてもらう必要があるならば、その人の人権や生活が損なわれないよう、民主的な手続きを守りながら、理性的にお願いするということ
p17〜18 社会を民主的に保ちたいのであれば、…個人の自由や権利に制約を課すことには、極めて抑制的でなければならない。同時に、私たちは制約を課したり課されたりすることに、常に抵抗感と違和感を保たなければならないのであって、絶対に慣れてしまってはいけない。…多くの権利者にとって、市民の人権を容易に制限できる状況は、とても都合がよいものだから
p21 民主社会の強みの一つは、多様な背景を持つ多様な人々が存在するがゆえに、大きな社会問題が生じた際にも多方面から無数の解決法が自由に試みられることにある。そうした解決法には、優れたものも、ダメなものもあるだろうが、ダメなものは次第に淘汰され、優れたものが採用されていく。それがイノベーションの基本的な力学だ。
映画作家 想田和弘
集団行動が生み出す独特の高揚感は、集団を統率する権威と結びついたとき、ファシズムへと変貌する
p267 権威に従属することによって人は行動に伴う責任から解放され、社会的な制約から「自由」に行動できるようになる…こうした治外法権的な状況がいったん成立すると、これを維持・強化しようとする動きが服従者の側から自発的に出てくる。それは人びとが自分の行動の責任を指導者にゆだね、その命令を遂行することにのみ責任を感じはじめるという、状況的義務への拘束が生じるためである。
甲南大学教授 田野大輔
-
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目5箇所。本書ではメモで頭を整理して、「話す・書く」に結び付ける技術についてお話ししていきたいと思います、日々の仕事に役立つ具体策を豊富に紹介していきますので、お楽しみに。いきなり書かずに、全体像や構成を考えてから書く、この際にもメモは大いに役立ちます、その結果、文章の精度も上がり、書くスピードも加速してくのです。当たり前のことですが、相手が話す用件はひとつとは限りません、2つ、3つの場合もあるのです、これを確認しておかないと、打ち合わせの時間配分ができません、下手をすると「」時間切れで終わってしまうという最悪の事態を招きます。聞きもらさない秘けつのひとつは、打ち合わせや会議の内容を「誰かに伝えること」を前提に聞くことです、これが意外に効果があるのです。わからないことを尋ねることで、話がふくらむことはままあります、実際、「それはどういうことですか?」「教えてください」と言っても叱られたことはありません。