最相葉月のレビュー一覧
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この本を読んで、精神医学についてなにかがわかったとか理解したという感じではないけれど、読みものとしておもしろかった。なんだか読後感がすがすがしいような。
絵画療法を実際おこなったときの記録を読んで、なぜだかすごく心やすまるというか、心がひろがるような、静かに感動するような気がした。著者がセラピスト役、絵画療法の第一人者である精神科医中井久夫氏がクライアント役、となって、絵を描いたときの記録が、なんでもないやりとりのように読めるんだけど、中井氏のひとことひとことがなんだかとてもよくて。口絵に載っている、そのときの絵もとてもよくて。
河合隼雄氏もたびたび登場する。
どのセラピストも、治すとかそうい -
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数年前の『龍馬伝』で話題になった坂本龍馬は、その二面性が魅力である。善人でもあり悪人でもあるという二面性だ。
そして、星新一はいくつもの二面性を持っている。まず、理系であり、作家である。だからこそSF作家になれた。
そして、自由奔放でありながら、完璧主義である。〆切の前にきっちり原稿を書き上げる完璧主義である。
さらに、家の顔と外の顔が違う。気さくなように見えて、人を信用しなかった。
もともとは金持ちのおぼっちゃんである。将来は星製薬を継ぐ予定だった。
東大大学院の同級生は日本を引っ張るリーダーたちだったろう。同級生たちに負けたくないというプライドもあったのではないか。
完璧主義でプライドの高 -
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私たちのすぐそばに暮らす
外国の友がいる
はたして 私たちは
どれほど 彼(彼女)のことを知っているだろう
「目の前にいるたった一人の中国人のことすらしらない。いや、これまで知うとすらしなかったではないか。その無関心は、ふだん苦々しく思っている一部の偏見や差別的言動と実は紙一重なのではないか。」
最相さんの言葉に
どきっ と させられてしまう
自分のすぐそばにいる
異国からの友のことを
思わず思ってしまった
きっと
そんなことを
意識するとこから
国際理解
とか
異文化交流
とかの
言葉が初めて言えるのだと思う
先ずは
ひとりから…
始めたい -
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実によく歩き回った作品である。
なにげなく使っている言葉が、実はかなり深い歴史を持っていた。
「絶対音感」;その響きは、何かを想像させる。
五島みどりのおっかけストーリーを織り交ぜながら、
日本の「絶対音感」をもつ人の多いことについての考察
ヤマハそしてそのさきがけたる人物像。
「絶対音感」が、なくても、ある程度の演奏家になれる。
しかし、日本で絶対音感をもつことによって、
国によって、絶対音感が違ってくる。
ラ音 440ヘルツ
音というのは、ヘルツなんだよね。
○ピアノの平均率で出来ている純正律の音程
○440ヘルツ、442ヘルツ
音とは人と人の間の空間をどれだけ揺り動かすことが出来るか -
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音を聴いて、その音名を言えるという「絶対音感」。
音楽に関わるものには非常に便利な能力。
だけど、絶対音感を持つ者には周り中の音が全て音名で聞こえてきてやっかいなものだとも言われる。
私には絶対音感はない。
だが、相対音感はあるし、絶対音感に近いものは持っていると思う。
その中途半端な音感が身についた理由がこの本である程度明らかになった。
私は4歳からバイオリンを習い始めた。
そして和音の音名を言う練習もさせられ、15前後の和音を区別し3つの音名を言えるようにはなっていた。
ただしドイツ語で。
「ドミソ」なら「ツェーエーゲ」と言うように。
もちろん子供の私にはその意味は理解出来ない。つ -
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数々の賞を受賞した、星新一の評伝。星新一は言わずと知れたショートショートの神様だが、実はこの本を読むまで、彼がかつて日本一の製薬会社だった星製薬の御曹司だとは知らなかった。
前半の星製薬と父 星一に関する記述は、戦前、戦中の雰囲気を伝えて興味深いところがあるものの、概ね冗長。
しかし、上巻の後半、矢野徹がSF大会参加のために渡米し、柴野拓美が「宇宙塵」を創刊するあたりから話は急に面白くなる。戦後日本が若く、やがて大御所となる大作家たちもまだ若く、そして何よりも日本 SF 界自体が若い、否、幼かった時代の物語だ。SF に魅せられた男たちが、一躍スターダムへと昇りつめる星新一とともに、世間の誤