最相葉月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最相さんの年下の中国朝鮮族の友達・具恩恵との十数年のかかわりを書いたもの。
日本に来てまもない恩恵に駅で道を聞かれた最相さんは、そんな行きずりを機に彼女に資料整理のアルバイトをしてもらったりしながら仲を深めていく。とはいえ、自分との接点以外には立ち入らないという一定の線を引きながら。ところが、細々と続く関係性のなかで、何度か危なっかしい恩恵の行状に触れもする。そして、本書を書くにあたり改めて彼女の話を聞くことで、自分がものわかりよく一歩引いているときに、いかに恩恵が大変な道を歩いていたかを知る。
最相さんは身元引受人になったり、まとまった額の金を貸したりと決していいとこどりのつき合いだけをして -
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Posted by ブクログ
ウイグル人、ユダヤ人、クルド人、チベット民族、、、歴史に翻弄され、流浪と家族離散、差別に苦しめられてきた民族は少なくありません。
中国朝鮮族もまた、そのような民族の一つであり、本書は日本に渡り生活基盤を築いてきた一人の中国朝鮮族のの女性と著者(最相葉月氏)との交流をもとにしたノンフィクションです。
中国・朝鮮・日本、それぞれの国に深く関係しながらも、どこからも不当な扱いを受けつづける民族。日本の歴史に深く関係し、地理的にも近いにも関わらず、これまで私は、ほとんどその実態を知ろうとしたことがありませんでした。本書はそのきっかけを、強烈な形で与えてくれました。
安定した国家に生まれ、その国民とし -
Posted by ブクログ
「セキストラ」でのデビュー後、ドライでウィットに富んだショートショートは多くの読者を獲得する。膨れ上がる人気の一方で、新しすぎる個性は文壇との間に確執を生んでいた。そして前人未到の作品数を生み出す中、星新一自身にも、マンネリ化への恐怖が襲いかかることに。本人と親交のあった関係者134人への取材と、膨大な遺品からたどる、明かされることのなかった小説家の生涯。
下巻ではデビュー後の星新一のことを書いている。
小中学校の頃までは夢中で星新一の作品を読んでいたのだけれど、いつからか読まなくなった自分に気が付いた。そして結構な作品を読んだにもかかわらず、そのほとんどの内容を覚えていないのにも気が付いた -
Posted by ブクログ
「ボッコちゃん」「マイ国家」など数多のショートショートを生み出し、今なお愛される星新一。森鴎外の血縁にあたり、大企業の御曹司として生まれた少年はいかなる人生を歩んだのか。星製薬社長となった空白の六年間と封印された負の遺産、昭和の借金王と呼ばれた父との関係、作家の片鱗をみせた青年時代、後の盟友たちとの出会い―知られざる小説家以前の姿を浮かび上がらせる。
星新一が森鴎外の血縁であることも大企業の御曹司だったことは知らなかった。
最相さんが遺族協力のもとで膨大な数の資料整理および関係者への取材を行ったことに対しては称賛に値すると思う。徹頭徹尾客観的に述べようとする姿勢にも好感が持てた。
上巻では -
Posted by ブクログ
ネタバレ絶対音感は、ものの振動数が絶対的な値であることを考えれば不思議ではない。
音叉という音合わせに使う道具は、コンピュータでも実現できる。
人間の感覚が弁別閾という相対的な処理が得意なことを考えると、
絶対処理と相対処理がどちらが得意かという問題になる。
それでは、絶対音感がある人が音楽で有利かという幻想を持つ人がいるので、
具体的な情報を提供しようとしていると理解している。
体内に音叉を持っていることが、どれだけ人間に取って幸福なことであろうか。
体内に音叉を持っていることが便利というだけであれば、
では物理的に音叉を持ち歩くのは嫌なことかどうかを考えてはいかがでしょうか。 -
Posted by ブクログ
ハードカバーで出たのは知っていてずっと読みたいな~と思っておりました。でも文庫になるまで待とう!と思っていたので発売されてすぐに購入しました。
自分と星新一氏のショートショートの出会いは中学生の頃でした。著者は高校時代に星新一氏の作品をむさぼるように読み、殆ど忘れてしまった、と後書きにありました。私も全てを覚えているわけではありませんが何作かはあまりに衝撃を受けたのでいまだにきちんと覚えております。
人間が宇宙に進出して今の人類と同じように発展した惑星にたどり着く。文化レベルも人類のそれと比較してもほぼ同じか上ぐらいなのになぜ宇宙に進出しなかったのか?疑問に思った人類が尋ねるとその惑星の -
Posted by ブクログ
絶対音感とは音楽性と違い、手段。相対音感(調性感)が重要。音とは結局、人と人との間の空間をどれだけ大きく揺るがすことができるかという超能力の様なもの。発せられた音だけを表現だと思うのは、鑑賞者である。創り手にあっては、物理的な音現象が始まる前に、その音が欲しいという欲求がすでに自分の中で立ち上がり、発せられた第1音が自分に変化をもたらす。その変化が次の音を生む欲動へと螺旋状につながっていくことが、演奏という行為である。創り手が意識せずとも持っているイリュージョンが、鑑賞者の心といかに接近し、触れ合い、交差するかによって、そのメッセージが意味を持つ。
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Posted by ブクログ
絶対音感についてのルポです。
音感の付け方の本、というよりは、音感がある人はどんな世界で生きているの?とかそのような謎に向かった本です。
実際に音感がある人への取材や脳の働き、はては戦前の音楽教育の話まで様々な角度からの考察が面白いです。
音がわかるって、どんな音でも音符に直せてしまうのだろうか。これは音感が無いとある人の意見。
音がわかる、というのは普通のことだと思っていたし、もてはやされるほどのことではない。これは音感のあるとある人の意見。
私は実際楽器の音くらいしか聴いて音名を当てられないのですが、でもやはり後者の意見と同じく音名で聴こえてくるのは普通だと思っていました。
そういう違