最相葉月のレビュー一覧
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ナグネ 中国朝鮮族の友と日本
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ナグネ 中国朝鮮族の友と日本
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Posted by ブクログ
最相さんの年下の中国朝鮮族の友達・具恩恵との十数年のかかわりを書いたもの。
日本に来てまもない恩恵に駅で道を聞かれた最相さんは、そんな行きずりを機に彼女に資料整理のアルバイトをしてもらったりしながら仲を深めていく。とはいえ、自分との接点以外には立ち入らないという一定の線を引きながら。ところが、細々と続く関係性のなかで、何度か危なっかしい恩恵の行状に触れもする。そして、本書を書くにあたり改めて彼女の話を聞くことで、自分がものわかりよく一歩引いているときに、いかに恩恵が大変な道を歩いていたかを知る。
最相さんは身元引受人になったり、まとまった額の金を貸したりと決していいとこどりのつき合いだけをしていたわけじゃないし、日本人の友としての責任を常々考えていたと思うが、それでも恩恵の来た道を知らされると、日本で異邦人として生きることの大変さを改めて知らされるようなことがいろいろあった。
特に、恩恵は中国朝鮮族だ。私も数年前に韓国に興味をもつようになってようやく知ったこの人々のことを日本のどれだけの人が知っているだろう。彼らのような境遇の人々の誕生にかつての日本が一枚かんでいたというのに。
ただ、恩恵も恩恵の家族も過去のことは「過去のことだから」と大して触れようとしない。それは渦中の人の本音でもあるだろうし、また恩恵が言っていたように、過去を振り返っている暇もないからかもしれない。そこに日本人はあぐらをかいているといえないか。
と、何だか硬い話になってきたけど、何があろうとやはり友達は友達。この仲が、国家とか形のないものを通じて生まれた恩讐を癒したり赦しや理解に導いてくれる。
東日本大震災の直後、もともと人間には期待しないと言っていた恩恵に対して、最相さんは「世の中が絆、絆と連呼している最中、私のすぐ目の前で、絆という文字がバラバラにほどけていく。私は、これほどの事態となっても日本に留まろうとした恩恵の日本人に対する信頼が失われる日が訪れるとしたら、その最終的な責任は私にあるのだと覚悟した。」(p.160)という。
このように、真剣に誠実につき合いたいもの。そういう意味で最相さんがこういうごく私的なつき合いをもとに一冊書いたのは素敵なことだと思う。個人的なつき合いとして書かれるなかに、普遍的な関係性のあり方が含められているような気がするから。 -
ナグネ 中国朝鮮族の友と日本
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Posted by ブクログ
ウイグル人、ユダヤ人、クルド人、チベット民族、、、歴史に翻弄され、流浪と家族離散、差別に苦しめられてきた民族は少なくありません。
中国朝鮮族もまた、そのような民族の一つであり、本書は日本に渡り生活基盤を築いてきた一人の中国朝鮮族のの女性と著者(最相葉月氏)との交流をもとにしたノンフィクションです。
中国・朝鮮・日本、それぞれの国に深く関係しながらも、どこからも不当な扱いを受けつづける民族。日本の歴史に深く関係し、地理的にも近いにも関わらず、これまで私は、ほとんどその実態を知ろうとしたことがありませんでした。本書はそのきっかけを、強烈な形で与えてくれました。
安定した国家に生まれ、その国民として生きることができる幸せにしっかり向き合わなければならないことを、教えてくれる一冊です。
【本書抜粋 具恩恵(仮名)】
なぜクリスチャンになったかとか、文化大革命のこととか、少数民族がどうだとか、そんなことはこれまでまったく考えたことがなかったです。今日を生きるのに必死だったから。そんなことを考えられる人は余裕があるからですよ。
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Posted by ブクログ
「セキストラ」でのデビュー後、ドライでウィットに富んだショートショートは多くの読者を獲得する。膨れ上がる人気の一方で、新しすぎる個性は文壇との間に確執を生んでいた。そして前人未到の作品数を生み出す中、星新一自身にも、マンネリ化への恐怖が襲いかかることに。本人と親交のあった関係者134人への取材と、膨大な遺品からたどる、明かされることのなかった小説家の生涯。
下巻ではデビュー後の星新一のことを書いている。
小中学校の頃までは夢中で星新一の作品を読んでいたのだけれど、いつからか読まなくなった自分に気が付いた。そして結構な作品を読んだにもかかわらず、そのほとんどの内容を覚えていないのにも気が付いた。「星新一」の前に読んだ「スローハイツの神様」にでてくるシノダコーキの作品も大人になるといつの間にか読まれなくなると書いてあり、こういうものかと実感した。
家の本棚をあさって久しぶりに星新一の作品でも読もうかなと思えた。 -
Posted by ブクログ
「ボッコちゃん」「マイ国家」など数多のショートショートを生み出し、今なお愛される星新一。森鴎外の血縁にあたり、大企業の御曹司として生まれた少年はいかなる人生を歩んだのか。星製薬社長となった空白の六年間と封印された負の遺産、昭和の借金王と呼ばれた父との関係、作家の片鱗をみせた青年時代、後の盟友たちとの出会い―知られざる小説家以前の姿を浮かび上がらせる。
星新一が森鴎外の血縁であることも大企業の御曹司だったことは知らなかった。
最相さんが遺族協力のもとで膨大な数の資料整理および関係者への取材を行ったことに対しては称賛に値すると思う。徹頭徹尾客観的に述べようとする姿勢にも好感が持てた。
上巻では星新一のデビューまでの話。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ絶対音感は、ものの振動数が絶対的な値であることを考えれば不思議ではない。
音叉という音合わせに使う道具は、コンピュータでも実現できる。
人間の感覚が弁別閾という相対的な処理が得意なことを考えると、
絶対処理と相対処理がどちらが得意かという問題になる。
それでは、絶対音感がある人が音楽で有利かという幻想を持つ人がいるので、
具体的な情報を提供しようとしていると理解している。
体内に音叉を持っていることが、どれだけ人間に取って幸福なことであろうか。
体内に音叉を持っていることが便利というだけであれば、
では物理的に音叉を持ち歩くのは嫌なことかどうかを考えてはいかがでしょうか。
事例から直接、自分や子供の教育について方針を決めるのではなく、
その子にとって、何を得意であることを自覚すると幸せかで考えて欲しい。 -
Posted by ブクログ
ハードカバーで出たのは知っていてずっと読みたいな~と思っておりました。でも文庫になるまで待とう!と思っていたので発売されてすぐに購入しました。
自分と星新一氏のショートショートの出会いは中学生の頃でした。著者は高校時代に星新一氏の作品をむさぼるように読み、殆ど忘れてしまった、と後書きにありました。私も全てを覚えているわけではありませんが何作かはあまりに衝撃を受けたのでいまだにきちんと覚えております。
人間が宇宙に進出して今の人類と同じように発展した惑星にたどり着く。文化レベルも人類のそれと比較してもほぼ同じか上ぐらいなのになぜ宇宙に進出しなかったのか?疑問に思った人類が尋ねるとその惑星の人達は砂漠化を止めたり、災害や飢餓対策をしていたらとても宇宙に進出する余裕はなかった、と答える。
このお話は読んだときから忘れられません。
星新一氏のお父さんが星製薬と言う会社を運営していた、と言う話は以前星氏の著作を読んだ時知りました。それにしても星一と言う方は壮絶な人生を歩まれた方だなと思いました。時代もあるのでしょうがなんというのか明治・大正・昭和初期の頃に生きていた人達は一人一人が一冊ぐらい本になりそうなドラマを持っている気がします。
星新一氏に経営能力があったら今のショートショートは、SFはどうなっていたのでしょう?星氏の作品を熱中して読んだことのある読者はこれだけの作品を残してくれたことを感謝するでしょうが著者ご本人はどう思っていたのか。
それにしても今は直木賞も芥川賞もぽんぽん色々な人にあげているよなあ~、だったら星氏にあげてもよかったじゃない?なんて読み終わった後悔しく思いました。 -
Posted by ブクログ
絶対音感とは音楽性と違い、手段。相対音感(調性感)が重要。音とは結局、人と人との間の空間をどれだけ大きく揺るがすことができるかという超能力の様なもの。発せられた音だけを表現だと思うのは、鑑賞者である。創り手にあっては、物理的な音現象が始まる前に、その音が欲しいという欲求がすでに自分の中で立ち上がり、発せられた第1音が自分に変化をもたらす。その変化が次の音を生む欲動へと螺旋状につながっていくことが、演奏という行為である。創り手が意識せずとも持っているイリュージョンが、鑑賞者の心といかに接近し、触れ合い、交差するかによって、そのメッセージが意味を持つ。