最相葉月のレビュー一覧

  • 星新一―一〇〇一話をつくった人―(下)(新潮文庫)

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    う?
    む~、大変な生涯だったんだなぁ。
    柔軟なようで、拘りがすごい人だったのですね。
    改めて星氏の作品が読みたくなりました。

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    2017年10月30日
  • ナグネ 中国朝鮮族の友と日本

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    さすが、最相氏の著作である。表層から真相へと導く。中国朝鮮族の軌跡。ノンフィクションとしても、交友録としても珠玉である。自省に基づく観察眼は、読む者の心を揺さぶる。著者は懐疑的だが、宗教への姿勢の深まり方も唸らされる。そして、極め付けのあとがきだ。ナショナリズムと人間の抜き差しならない緊張関係への配慮に涙する思いだ。

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    2017年05月21日
  • セラピスト

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    絵画療法やロジャーズのカウンセリングを本書でメインに取り上げられており、著者自身が一昔前に風靡した療法で認知療法などを取り上げられていないことをここに言っているけども、心理史について著者なりにまとめたことがしっかり書かれているし、カウンセリングにおいては「沈黙」が大切なことなど著者がエッセンスと感じたことがしっかり書かれている。なにより、著者自身が中野久雄さんなどに直接インタビューをして、この本を書くために大学院に進学して心理学の勉強をはじめたことなどその姿勢にとても驚かされた。

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    2017年04月02日
  • セラピスト

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    心の病って何だろう、どうやったら治るんだろう、どうやって治すんだろう。このあたりの疑問に対して、カウンセリングの歴史を紐解きながら迫っています。
    心の病が「ほどけて」いく過程がなんとなくイメージできましたが、思っていたのと全然違ってびっくりです。
    医者って病気を治してくれるイメージだったんですけど、患者が自分自身の心の闇を理解し、改善する方法を見つけていくのを、カウンセラーは支援し見守っていくんですね。
    まさに「ほどけて」いく過程が臨場感たっぷりに再現されていて、自分のことみたいです。

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    2016年12月13日
  • セラピスト

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    最相葉月にしか書けない。このくどさというかしつこさというか、理論や分析で事象を切るのではなく、自身の違和感や興味を丁寧に丁寧に掘り下げていって、そこにあったのに誰も見向きもしなかった豊かな世界を見つけてしまう、というスタイル。読みながら静かな感動に包まれる。
    社会の変化と症状の変化と制度の変化と診断治療法の変化とを、鳥の目と虫の目で立体的に浮かび上がらせているのも素晴らしい。自分でカウンセリングを受けた時の様子を誌上再録しているところの臨場感ったらない。
    次回作も楽しみ。

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    2016年11月18日
  • セラピスト

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    ネタバレ

    DSMを黒船到来とは、うまく名付けたなあと思う。
    精神医学、心理学の、時代ごとの推移を本当に深く、でも分かりやすく概説してくれています。
    現代の精神医学の抱える問題も、セラピストとクライエントの両面から描き出しており、その理解が深いがためだろうが、安易に批判的なスタンスはとっていない。とはいえ、ここに見ることのできる世界は、薄ら寒いと言わざるを得ない。
    中井久夫氏の著作を読みたくなりました。

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    2017年11月17日
  • 星新一―一〇〇一話をつくった人―(上)(新潮文庫)

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    星新一の偉大さは言うまでもないけど、同時代的には文壇的価値観に受け入れられなかったことに苦しんだりもしてて、後世から見ると無駄なことをと思うんだけど、とにかくそれに苦しめられておったのだなあ…

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    2016年03月13日
  • ナグネ 中国朝鮮族の友と日本

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    最相さんの年下の中国朝鮮族の友達・具恩恵との十数年のかかわりを書いたもの。
    日本に来てまもない恩恵に駅で道を聞かれた最相さんは、そんな行きずりを機に彼女に資料整理のアルバイトをしてもらったりしながら仲を深めていく。とはいえ、自分との接点以外には立ち入らないという一定の線を引きながら。ところが、細々と続く関係性のなかで、何度か危なっかしい恩恵の行状に触れもする。そして、本書を書くにあたり改めて彼女の話を聞くことで、自分がものわかりよく一歩引いているときに、いかに恩恵が大変な道を歩いていたかを知る。
    最相さんは身元引受人になったり、まとまった額の金を貸したりと決していいとこどりのつき合いだけをして

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    2015年08月02日
  • ナグネ 中国朝鮮族の友と日本

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    ウイグル人、ユダヤ人、クルド人、チベット民族、、、歴史に翻弄され、流浪と家族離散、差別に苦しめられてきた民族は少なくありません。
    中国朝鮮族もまた、そのような民族の一つであり、本書は日本に渡り生活基盤を築いてきた一人の中国朝鮮族のの女性と著者(最相葉月氏)との交流をもとにしたノンフィクションです。
    中国・朝鮮・日本、それぞれの国に深く関係しながらも、どこからも不当な扱いを受けつづける民族。日本の歴史に深く関係し、地理的にも近いにも関わらず、これまで私は、ほとんどその実態を知ろうとしたことがありませんでした。本書はそのきっかけを、強烈な形で与えてくれました。

    安定した国家に生まれ、その国民とし

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    2015年10月08日
  • 調べてみよう、書いてみよう

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    北九州市のノンフィクション受賞作品を引用しながら、「テーマを見つけて、調べて書く」ことを、分かり易く教えてくれる。ついつい、おとなは子どもにテーマを押し付けがちだが、そんなことしてはいけないんだと改めて痛感。私は、学校司書という職業柄この手の本を多く読んでいるが、この本は秀逸。シンプルで核心がきちんと押さえられているので、児童や生徒、学生が読むのはもちろん、指導書としても役立つ。

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    2015年06月18日
  • 調べてみよう、書いてみよう

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    やっぱ最相さんの本はおもしろいな。そもそものやさしい人柄が文章から伝わってくるって、そんな作家さんはなかなかいない。
    この本についていえば、ものごとについて調べる、書くということについてとことんやさしい言葉で書かれていて、そのあたりの仕事を目指すひとにとってはもちろん、そのつもりがなかったひとでも、ライターっておもしろそう、と思ってくれそうな、そんな気がする。

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    2015年04月29日
  • 星新一―一〇〇一話をつくった人―(下)(新潮文庫)

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    「セキストラ」でのデビュー後、ドライでウィットに富んだショートショートは多くの読者を獲得する。膨れ上がる人気の一方で、新しすぎる個性は文壇との間に確執を生んでいた。そして前人未到の作品数を生み出す中、星新一自身にも、マンネリ化への恐怖が襲いかかることに。本人と親交のあった関係者134人への取材と、膨大な遺品からたどる、明かされることのなかった小説家の生涯。

    下巻ではデビュー後の星新一のことを書いている。
    小中学校の頃までは夢中で星新一の作品を読んでいたのだけれど、いつからか読まなくなった自分に気が付いた。そして結構な作品を読んだにもかかわらず、そのほとんどの内容を覚えていないのにも気が付いた

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    2012年09月30日
  • 星新一―一〇〇一話をつくった人―(上)(新潮文庫)

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    「ボッコちゃん」「マイ国家」など数多のショートショートを生み出し、今なお愛される星新一。森鴎外の血縁にあたり、大企業の御曹司として生まれた少年はいかなる人生を歩んだのか。星製薬社長となった空白の六年間と封印された負の遺産、昭和の借金王と呼ばれた父との関係、作家の片鱗をみせた青年時代、後の盟友たちとの出会い―知られざる小説家以前の姿を浮かび上がらせる。

    星新一が森鴎外の血縁であることも大企業の御曹司だったことは知らなかった。
    最相さんが遺族協力のもとで膨大な数の資料整理および関係者への取材を行ったことに対しては称賛に値すると思う。徹頭徹尾客観的に述べようとする姿勢にも好感が持てた。
    上巻では

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    2012年09月30日
  • 星新一―一〇〇一話をつくった人―(上)(新潮文庫)

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    絶賛され文学賞を獲りまくった話題作。文庫化を待って読んだがこれが上下巻なのに止まらない。作家デビュー前の祖父・父の生い立ちから全盛期、作家生活晩年の苦闘、休筆後、そして死。

    作家の死後も作品は残るし、再評価される人もいる。我々は星さんを過小評価し過ぎではなかったか。筒井康隆さんも星雲賞を星さんが一度も貰ってないことを嘆いていたよなあ。昨年は小松左京先生も亡くなってしまった…。

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    2012年01月22日
  • 絶対音感

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    ネタバレ

    絶対音感は、ものの振動数が絶対的な値であることを考えれば不思議ではない。
    音叉という音合わせに使う道具は、コンピュータでも実現できる。

    人間の感覚が弁別閾という相対的な処理が得意なことを考えると、
    絶対処理と相対処理がどちらが得意かという問題になる。

    それでは、絶対音感がある人が音楽で有利かという幻想を持つ人がいるので、
    具体的な情報を提供しようとしていると理解している。

    体内に音叉を持っていることが、どれだけ人間に取って幸福なことであろうか。
    体内に音叉を持っていることが便利というだけであれば、
    では物理的に音叉を持ち歩くのは嫌なことかどうかを考えてはいかがでしょうか。

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    2011年06月18日
  • 星新一―一〇〇一話をつくった人―(上)(新潮文庫)

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    ハードカバーで出たのは知っていてずっと読みたいな~と思っておりました。でも文庫になるまで待とう!と思っていたので発売されてすぐに購入しました。

    自分と星新一氏のショートショートの出会いは中学生の頃でした。著者は高校時代に星新一氏の作品をむさぼるように読み、殆ど忘れてしまった、と後書きにありました。私も全てを覚えているわけではありませんが何作かはあまりに衝撃を受けたのでいまだにきちんと覚えております。
    人間が宇宙に進出して今の人類と同じように発展した惑星にたどり着く。文化レベルも人類のそれと比較してもほぼ同じか上ぐらいなのになぜ宇宙に進出しなかったのか?疑問に思った人類が尋ねるとその惑星の

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    2010年05月20日
  • 絶対音感

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    絶対音感とは音楽性と違い、手段。相対音感(調性感)が重要。音とは結局、人と人との間の空間をどれだけ大きく揺るがすことができるかという超能力の様なもの。発せられた音だけを表現だと思うのは、鑑賞者である。創り手にあっては、物理的な音現象が始まる前に、その音が欲しいという欲求がすでに自分の中で立ち上がり、発せられた第1音が自分に変化をもたらす。その変化が次の音を生む欲動へと螺旋状につながっていくことが、演奏という行為である。創り手が意識せずとも持っているイリュージョンが、鑑賞者の心といかに接近し、触れ合い、交差するかによって、そのメッセージが意味を持つ。

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    2011年05月28日
  • 星新一―一〇〇一話をつくった人―(上)(新潮文庫)

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    2010/3/29 ジュンク堂住吉シーア店にて購入。
    2012/5/7~5/16

    中高時代、夢中になって読んだ星新一さんの評伝。子供の頃だったので、星さんの出自などはぼんやりとしか知らなかったが(ショートショートではなかったので、「人民は弱し、官吏は強し」は読んでいなかった)、名家に産まれたお坊ちゃんだったこと、デビュー前に波乱万丈であったことが、最相さんの緻密な取材で浮かび上がってくる。日本のSF界の歴史としても興味深い。下巻も楽しみ。

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    2012年05月16日
  • 絶対音感

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    面白かった!
    最後の五嶋みどりのエピソードはそうでもなかったけど、それ以外がとても面白かった!
    「絶対音感」てのを探っていくと、日本の音楽教育にぶち当たるわけですね。ヤマハも出て来たし、
    自由学園の音楽教育も出て来たぞ!
    でも、突き詰めていくと「絶対音感」て何だかわからなくなるものなんだね。「固定…」と「移動…」のことも知らなかったなあ。

    わたしみたいに、自分の弾ける楽器だと音がわかるという人は結構いるんだなぁ。

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    2009年10月04日
  • 絶対音感

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    絶対音感についてのルポです。
    音感の付け方の本、というよりは、音感がある人はどんな世界で生きているの?とかそのような謎に向かった本です。
    実際に音感がある人への取材や脳の働き、はては戦前の音楽教育の話まで様々な角度からの考察が面白いです。

    音がわかるって、どんな音でも音符に直せてしまうのだろうか。これは音感が無いとある人の意見。
    音がわかる、というのは普通のことだと思っていたし、もてはやされるほどのことではない。これは音感のあるとある人の意見。

    私は実際楽器の音くらいしか聴いて音名を当てられないのですが、でもやはり後者の意見と同じく音名で聴こえてくるのは普通だと思っていました。
    そういう違

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    2009年10月04日