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Posted by ブクログ
「セキストラ」でのデビュー後、ドライでウィットに富んだショートショートは多くの読者を獲得する。膨れ上がる人気の一方で、新しすぎる個性は文壇との間に確執を生んでいた。そして前人未到の作品数を生み出す中、星新一自身にも、マンネリ化への恐怖が襲いかかることに。本人と親交のあった関係者134人への取材と、膨大な遺品からたどる、明かされることのなかった小説家の生涯。
下巻ではデビュー後の星新一のことを書いている。
小中学校の頃までは夢中で星新一の作品を読んでいたのだけれど、いつからか読まなくなった自分に気が付いた。そして結構な作品を読んだにもかかわらず、そのほとんどの内容を覚えていないのにも気が付いた。「星新一」の前に読んだ「スローハイツの神様」にでてくるシノダコーキの作品も大人になるといつの間にか読まれなくなると書いてあり、こういうものかと実感した。
家の本棚をあさって久しぶりに星新一の作品でも読もうかなと思えた。
Posted by ブクログ
「作家星新一の出来るまで」という前半部は
父星一が単体で非常に興味深い人物であることもあって
星新一の評伝どうこうより
星製薬にまつわる記録物語として面白い
後半「SF作家星新一を通してみるその作品」
とでもいうべき内容は
評伝として作者の背景に強く力が入っているだけに
クラーク・アシモフ・ハインラインに対する
星新一・小松左京・筒井康隆というあたりの
「時代」に対するSF評論
(以前に感想書いた福島正実『未踏の時代』と重なるところ大)
であって
評伝評論事跡と作者の思いが
入り混じったものになってしまっているが
しかし多くの遺品資料から広く研究され書かれていて
また関係者の証言資料としても
作家星新一に対する決定版評論とまではいえないまでも
優れて書かれるべきだった作品として
高く評価されるものだと思う
単に感想としては
評伝部分については
「家で家族に仕事の愚痴をこぼす父親などいない」と書く
星新一とその父親はいわゆる常識的でなく面白いし
評論としては
ショートショートという作品形式のその量ではなく
数の多さが
星新一作品の評価を難しくしているのはまったく同感であり
けれど生前没後関係なく
「正しい評価」がなされたかどうかというのは
作者が言うように
評価されたがっていない作者がいるはずがなく
星新一が言ったように
売れたがっていない作者がいるはずがなく
けれど死後もいつまでも読み継がれるかどうかと
「正しい評価」はまた別物であろうと
とりあえず江坂遊作品を買ってみた
Posted by ブクログ
下巻はSFの旗手としての星新一から、ショートショートの名手星新一となり、やがてショートショートを1001作品書くという呪縛にとりつかれたある一人の男性の姿が現れてくる。
読んでみて、私が産まれた頃にはもうSFは普通に娯楽の一環としてアリだったのだが、SFが市民権を得るまでにはここまでの苦労があったのかと驚いた。
推理小説、かつては探偵小説と呼ばれたジャンルもSFより前にその課程を経ている。
SFの旗手としてもてはやされ、ショートショートと言えば星新一と言われ、子供から大人まで誰にでも読まれる作家となる。場の中心におり、いつも面白いことを言う。けれども彼の心は誰にも開かれておらず、そして表向きの顔を辞めることは出来ない。
同時代に生きていた手塚治虫が一生マンガの第一線に立とうとしたように、星新一は普遍的に楽しまれるショートショートの名手であろうとした。
1アイディアで長編が書けるようなネタをショートショートとして出し続けてきた作家というのは、ものすごい。なんだかこう魂を削って、命を削っているような気がする。
すごかった。
けれども、私が今後星新一のショートショートを読むときに、こんなことは関係なく作品を楽しむような気がする。それはそれですごい。
Posted by ブクログ
数年前の『龍馬伝』で話題になった坂本龍馬は、その二面性が魅力である。善人でもあり悪人でもあるという二面性だ。
そして、星新一はいくつもの二面性を持っている。まず、理系であり、作家である。だからこそSF作家になれた。
そして、自由奔放でありながら、完璧主義である。〆切の前にきっちり原稿を書き上げる完璧主義である。
さらに、家の顔と外の顔が違う。気さくなように見えて、人を信用しなかった。
もともとは金持ちのおぼっちゃんである。将来は星製薬を継ぐ予定だった。
東大大学院の同級生は日本を引っ張るリーダーたちだったろう。同級生たちに負けたくないというプライドもあったのではないか。
完璧主義でプライドの高い星新一は、売れることも賞を取ることも求めた。
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