村上陽一郎のレビュー一覧
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この本を読んでいると、理解できてなるほどと思う箇所と、なんのこっちゃって箇所があった。
サブタイトルの「事実は理論をたおせるか 」に関することも自分の読解力・理解力不足から述べられない。
そして要点をまとめて感想を書け、と言われても自分の頭では無理なので、
とりあえず、自分がなるほどと理解できた箇所・そういう考え方もあるのかと意表をつかれた箇所を記録するに
留めたい。
●人間が五感を使って感じている(感じ取れている)ものは自然の中のごく限られた範囲である。
→つまり人間がいまの人間の姿・特徴であるからこそ感じる世界であって、犬やコウモリや細菌には
また違った世界がある。人間が知覚(色を -
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隠岐さやかさん、瀬川至朗さんの論稿が面白かった。
隠岐さんの論稿は、近代フランスにおけるprofession(法律家・聖職者・医師等の、特定領域での公的判断を行う者)とexpert(個別領域における技術的な助言を行う者)の関係性を取り上げ、expertがどのように地位を確立していったかについて文献に基づいて解説している。
瀬川さんの論稿は、自らの記者としての失敗経験をもとに、記者としてどのように専門家への取材に臨むべきか、専門家としてどのように記者からの取材に臨むべきかの提案を記載している。
その他たくさんの著者による論稿があるが、誰がどのような視点で稿を寄せているのかを、冒頭でまとめておい -
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2部構成です。
第Ⅰ部は、科学とキリスト教の関係について。
例えば、近代合理主義と自然科学はキリスト教を否定して始まったと考えられがちだけれど、カトリックに投獄までされたガリレオ=ガリレイの信仰は確固としたものだった。むしろ彼の科学は神のことばを自然の中に求めるというモチベーションに支えられていた、というような話です。
第Ⅱ部は、哲学について。
素粒子は目で見ることができません。素粒子の存在は、あくまで科学的知識・理論のネットワークによって認められたものです。
他方、目の前にある物(例えばペン)は、人間が直接経験できます。しかし、ペンの存在は、人間の持っている概念や認識枠組みによって認めら -
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ネタバレコロナが見せた、私たちの社会の未来。
私たちは今、未曾有の事態の真っ只中にいる。ここから私たちは、何を考え、何を変えようとするのだろうか。様々な分野の人からの提言をまとめている。日本だけではなく、イタリアやドイツなど、海外の様子も描かれている。これは記録である。
緊急事態だからと、本来なら認められない政策に飛び付きたくない。緊急事態であろうとなかろうと、収入を減らした人や、感染症に弱い人に対して、サポートを手厚くしてほしい。緊急事態だからではなく、そろそろ本気で移動や流通のコストだったり、場所の共有だったり、エネルギーの使い方だったりを考えなければ。そして、緊急事態であっても、芸術やスポー -
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クーンの「パラダイム論」に代表される「新しい科学論」の内容を、中高生向けに解説ている本です。
著者は、わが国に新科学哲学を紹介することに長く力を注いできた研究者です。本書は二つの章に分かれており、第一章では常識的な科学観にひそむ前提がとりだしされています。第ニ章は、前半で示された科学観をひっくり返す新科学哲学の見かたがわかりやすく解説されています。著者は、現代の啓蒙主義的科学観の来歴を訪ね、キリスト教的世界観に根ざしつつ、そこから脱却する努力のなかで形成されてきたという文化史的な考察がおこなわれています。つづいて、ハンソンが主張した「観察の理論負荷性」にかかわる認識論的考察が展開されます。
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読書会の魅力を知ることができる
書かれた時期が少し前なので、現在は異なっているものもあるかもしれません。
それでも、読書会というものに関する知識を得ることができ、長所を学ぶことができました。
印象に残ったものは、江戸時代の「会読」について書かれている項です。 -
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東海村での核燃料製造会社JCOの臨界事故や、クローン羊ドリーの誕生、日本初の脳死者からの臓器移植など、出版当時に話題になったニュースを取り上げながら、社会の中での科学・技術のあり方について論じた本です。幅広い題材を扱っているために、個々の問題点についての掘り下げは足りないようにも思えますが、それぞれの問題について考えるための入口の役割は果たしているのではないでしょうか。
科学は元来、自然を探求したいという研究者の純粋な知的関心を追及する活動として生まれたと著者は言います。それはいわば、クライアントを前提としない活動であり、そのような科学の性格は、内部倫理だけを考慮すればよいような科学の世界を -
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つい先日、小飼弾氏が「科学的とはどういう意味か」という本の書評をしていた。
小飼弾氏による科学の定義とはたったの一行。
「科学とは、知をもって信をおきかえること」
つまりは、純粋な真理の探究としての科学研究について語っている。
しかし本書は、"人間にとって"科学とは何かというタイトルであり
社会の中における科学のあり方をテーマとしている。
今日の体系だった科学というものの歴史は、意外にもそれほど古いものではなく
始まってからまだ200年程度しか経っていない。
だが、科学から生まれた力は
良くも悪くも社会を大幅に変革するようになってしまった。
地球