あらすじ
世界は信仰心で動いている――。
日本人は宗教とどう向き合えばよいのか。
教養としての宗教を、さまざまな視点から解き明かしていく。
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Posted by ブクログ
科学哲学者、科学史家として著名な村上陽一郎先生が、自身の信仰も披瀝しながら、宗教について書いた本である。
大変勉強になった。
宗教というと科学よりも以前からあったもので、原始的なものという、なんとなくのイメージで見ていると思うが、村上先生の語る宗教の姿は、人間という動物に欠損している欲望の抑制機能を補完する装置、だそうである。
宗教とは裸のままの人間が素朴に持っている信仰ではなく、合理的な目的のために存在している、という理解は意外だった。
惟神の道とカトリシズムを似ていなくもないもの、と称するまで自分には宗教に対する寛容な理解はないのだけれど、人類愛や博愛といった理想を描くのは、90歳近い著者の辿り着いた境地と言えるだろう。
90年生きても、人間は何を信じて生きるべきか、答えはないのである。軽やかな文体が却って熟練さを感じさせる本。
Posted by ブクログ
この本、目次を読まずに読み進めて行きましたが、終章で解ったことですが、著者はカトリックの信者だったのです。
改めて目次ですが、
まえがき
序章 教養としての宗教
第1章 宗教と科学
第2章 宗教の起源
第3章 スピリチュアルとオカルティズム
第3章 欲望と禁忌をめぐって
第5章 聖書とは何か
第6章 アジア大陸の聖典
第7章 国家と宗教
第8章 無神論・反神論
第9章 科学的合理性と宗教
終 章 信仰と私
碩学な著者による「宗教」なるものの説明、大変よく理解出来ました。
そして、所謂「科学的」アプローチで人間界の現象を分析される著者が、所謂「カトリック」であったということ。
でも、日本人で、日本文化から多大な影響を受けておられる著者の「カトリック」。
私は、著者の生き方、宗教との距離感はとってもすばらしいことだと思いました。
著者の説明ですが、ヨーロッパ・ギリシア・ローマキリスト教文明を分析するとき、ラテン語に遡り解説されていました。
終章まで読み終わりましたが、もう一度最初から読み直すつもりです(笑)。