村上陽一郎のレビュー一覧
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日本の死生観の歴史、「遠い親戚症候群」、安楽死の法制化、医療リソース、新生児医療、やまゆり園事件、著者自身の体験などさまざまなことを取り上げ、死や生について書かれている。
国内外のさまざまな安楽死に関連する事件や事柄が取り上げられている。幅広い話題が拾われており、死をめぐる社会全体の今までの流れをわかりやすく捉えられそうだと思った。
技術が進歩し、分かることや出来ることが増えるたびに本人の決断が求められることとなる。一度決めたら変わらないということではないし、常に予想外はつきまとうと思うが、自分はどう生きてどう死にたいのか、家族はどう思っているのかをタブー視せず、向き合うことが大切だと思った -
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ネタバレ村上陽一郎さん編ということで思わず手に取った本。
各界で活躍する人々がそれぞれの立場で、コロナ禍とコロナ後の世界をどうとらえていらっしゃるのか、が書かれている。
やはり、村上陽一郎さんの部分が印象的に残った。
「covid19から学べること」と題して、いろんな角度から巨視的に社会で起こっていることを論じている。うまく表現できないが、スケールが大きいなぁと感じる。
以下、私なりに理解したこと。
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非常時という先が不透明で、確たる対策、選択肢もない現状で、唯一、人との接触を断つことがcovid19にとり得る我々の対策である。
しかしがながら、人との接触を断つことを徹底的に実行するに -
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各界の第一人者が、コロナウィルスについて書いた論考をまとめたもの。
書名は「コロナ後の世界を生きる」であるが、パンデミックの比較的初期に書かれたものが多いため、むしろ、その時点での事実の整理や状況の分析を書いたものも多い。だからといってつまらないというわけではなく、考えさせられる、あるいは、面白い論考も多い。
個人的には、多和田葉子さんのものが好きだった。
多和田葉子
■新型コロナウィルス感染が広がり始めてから毎日入ってくる新しいニュースを追うだけで必死で、いつの間にか遠い未来を考えることができなくなっている。これは危険な精神状態だと思う。ニュースは現代を毎日薄切りにして投げつけてくるだけで -
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コロナ後の世界が不安でたまらない。世界的な知識人の本も刊行されているが、私の住んでいる日本の未来について考えたくて本書を紐解いた。
まとまりのない、日本らしい雑多な文書集である。24名もの人たちが、5月末ぐらいの情勢を鑑みて感想を述べている。
意外だったのは、あまり悲観的な意見がなかったことである。私は、権力に国民を制限する力を与えたのだから、これをきっかけにそれを大きくすることはあっても元に戻すことはないのではないか?と思っていた。しかし、私はひとつのことを忘れていた。私たちは、「感染症を収束させるために一時的に自ら主体的に制限を受けた」のである。その過程は公開されていた。この目的と期間 -
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科学者の自由主義。研究を進めることだけが彼らに課された課題。
大学出身のインテリ技術者が社会の中に送り出され科学と技術の接近が加速。次第に一体化してそこに社会的価値が生じるとともに反社会的価値も生じた。一般の倫理的価値と行動規範を持ち込むべきでない?没価値的、価値中立的。
医師集団。ヒポクラテス。
致死量は誰に頼まれても投与しない。医師の立場を利用して異性と関係を結ばない。患者や家族について治療の機会を通じて知ったことは決して人に漏らさない。
苦しんでいる人のためにその才能をつかう。救いの手、助けの手を差し伸べる。そこには神の召命という意味がある。ここが医師、法曹、聖職者に異なるところ。
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冒頭で1999年「世界科学会議」で宣言された「科学と科学的知識の使用」について、以下の主旨が紹介されている。
1知識の進歩のための科学
2平和実現のための科学
3持続的発展のための科学
4社会のための、そして社会の中の科学
本書の後半では、特に4つ目の科学が中心の話題となっている。梅棹・湯川の『人間にとって科学とはなにか』では、1つ目の科学を中心に対する考察といえる。4この二人が対談してから約30年間を経て、これら4つの類型が整理されたことになる。
社会の中の科学を取り巻く課題は、多くそれとても深い。万人のコンセンサスを得ることは極めて難しいと予想される。それでもES細胞、脳死臓器移植問題 -
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ネタバレ人間にとっての「科学とは何か」という命題を問い直した本。
戦後、科学者をお茶の水博士のような「白衣の聖職者」という具合に人間社会の発展という崇高な理念だけを掲げている人々と見なす風潮があった。しかし著者は、科学は人間的な営みだと主張する。
スピノザが「神すなわち自然」、ガリレオが「自然は神が書かれた書物」と表現したように、神が作った自然=世界を説明するツールとして科学が発展した。コペルニクスの地動説も、ニュートンの万有引力の法則も元々はキリスト教の信仰から出発したものだった。厳密に言うと、近代科学はキリスト教の他、古代ギリシアやアラビアの自然学(代数、幾何学、錬金術)の影響を受けてい -
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序章 科学的なもの、人間的なもの
1 科学についての常識的な考え方
1.帰納
2.常識的科学観の特性
2 新しい科学観のあらまし
1.文化史的観点から
2.認識論的観点から
科学理論の本というよりも、哲学の本のような気がした。
第一章で相対性理論やマルクシズムと小難しい展開でしたが、
第二章でのひっくり返し方は見事にやられてしまいました。
このひっくり返し方は、「食い逃げされてもバイトは雇うな」と『食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』のような感じで面白かったです。第一章で後でひっくり返すと何度もおっしゃっておられましたが。
科学も所詮は人のなせる業なのですね。 -
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[ 内容 ]
人間にとって科学とは何なのかを考える。
[ 目次 ]
序章 科学的なもの、人間的なもの
1 科学についての常識的な考え方
1.帰納
2.常識的科学観の特性
2 新しい科学観のあらまし
1.文化史的観点から
2.認識論的観点から
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