坂口孝則のレビュー一覧
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調達・購買コンサルタントの肩書きを持つ筆者が、自らの体験も含めて日本の買い負けの数々の事例とその対策を語る。
非常にわかりやすく、また自分の現在の業務に照らし合わせても、身につまされることばかりだ。全てにおいて共通している買い負けの原因は「意志決定の遅さ」「責任と権限の不明確さ」「過剰品質要求」だ。
これまで日本のモノ作りの強みだったものが、世界中の品質が底上げされて差別化が難しくなり、市場の変化(調達における緊急事態への対応含む)に追い付かなくなっている。
みんな頭で分かっていても、所属している場所のルールに縛られて自由に動けない。個々の企業内での権限委譲が必要だが、筆者は国による制度 -
Posted by ブクログ
大変面白かった。
「買い負ける日本」ってすごいタイトルだね。余談だけど、幻冬舎はこういうタイトルづけが巧い気がする。
さて、内容はというとタイトルの通り。半導体・LNG・牛肉・外国人材など、さまざまなリソースの獲得に関して、日本がかつてほど上手く行っていない、という話。
さらに、なぜ上手く行っていないのか。構造的・性質的な原因についても解説される。日本は注文が多いが買値が高いというわけではない、とか。
終盤は、日本の問題点に関するよくある話。現状維持バイアスが強いとか、根回しの文化とか。
物資の調達の研究に関して、筆者はその道のプロ。大変わかりやすく、それでいてしっかりと解説していく1冊。1読 -
Posted by ブクログ
「買い負け」を通じて日本企業の体質を明らかにしつつ、問題を指摘し、未来への提言がされている。
まず、昨今品薄となり話題となった半導体や、木材等の買い負けの現状の実態が書かれていた。
買い負けの要因として、もちろん日本経済の低迷があるが、日本企業の判断の遅さや、要求の高さが、日本企業を相手にする際の手間と時間がかかり、海外企業から嫌がられていると指摘があった。
かつて高度経済成長に繋がった日本型システムが限界を迎えており、具体的には多層構造、品質追求、全員参加主義・全員納得主義の3つがある。
以前読んだ「ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式」(山口周)にもあったが、日本 -
Posted by ブクログ
サプライヤ・チェーン関連のコンサルタントである著者による「なぜ今の日本があらゆる物資で買い負けているのか?」を解説する本。
著者は日本メーカのバイヤー間ではよく知られた存在で、個人的にも何度か講演会や研修に参加したことがある。その際、著者の知見の広さと現場をよく知るコンサルタントとしての経験の深さに感心した。
本著もその感想に漏れず、様々な業界で同様に起こっている「日本企業の買い負け」という事象が幅広く紹介され、さらにそれらの業界の実務者へのヒアリングを通した実際的な理解がよくされていると思う。
著者は近年の日本の「買い負け」に関する短期的な要因として、Covid-19でタイトになった供給 -
Posted by ブクログ
タイトルから給与問題について論じた本かと思いきやそれは全体の1/4程度で、他は年金や消費税対策(お得なお買い物)そして持ち家問題と老後に向けての生活指南といった内容ですが、それはそれで生活に役立ちそうです。
もともと興味があったのはタイトルにもなっている「日本人の給料はなぜこんなに安いのか」ですが、平均給与は1997年にピークとなり年収は467万円を付けるもリーマンショック直後の2009年には406万と落ち込み2012年からはアベノミクスの効果か上昇しているとのことです。ただし、他の先進諸国と比べると低いと言わざるを得ないのが実情です。
その理由としては、流動性が低い(転職しない、辞めない、ク