小山慶太のレビュー一覧
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人文系の歴史と理系の自然科学の融合の試み。科学の進歩と世界史をリンクさせた一粒で二度美味しい一冊。
科学の発展に居たら背景を歴史を基にして記述していくという独自のスタイルの作品。
イギリス王政復古の頃のニュートン、フランス革命期の化学革命、本書で取り上げる中で最も有名なのは第二次世界大戦とアインシュタインらによる核物理学の進展など。
中でも一番具体的で興味深かったのは普仏戦争に勝利したプロシア。あの「最後の授業」のアルザス・ロレーヌ地方を得る。鉄鋼や石炭の豊富な地域。産業革命に遅れたドイツは重工業特に製鉄業を振興させる。製鉄の工程で必要な高温の測定。これが十九世紀物理学とは大きく異なる量 -
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ネタバレ[ 内容 ]
犬は、人類ともっともつきあいの長い動物である。
番犬や狩猟犬としてだけでなく、パートナーとしていまや人の生活に欠かせない存在である。
人は犬とめぐりあい、一緒に走り、共に暮らす。
しかし犬は人よりもはやく老い、先に死んでいく…。
人はなぜこれほどにも犬に愛着を抱くのだろうか。
本書は人と犬のさまざまな関わり合いを、夏目漱石や向田邦子、江國香織などの文学作品を通して味わうものである。
[ 目次 ]
1章 漱石の飼い犬
2章 犬の親権
3章 老犬の涙
4章 狼の英知
5章 犬を介した男と女の出会い
6章 ファンタジーの中の犬
7章 日本犬のいる風景
あとがきに代えて-我が犬の記
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科学史上の出来事を時系列に並べ、新書サイズに収めた”意欲作”。どのような項目を取り上げるかは著者の科学観によるが、物理学と天文学を中心に採択さている。このあたりのことは前書きに述べられている。著者の考えに賛したい。
この本を事典のように使っている。ある発見が起こったとき、その頃の科学的な状況を知るのに手っ取り早くて助かるのだ。項目には発見だけでなく、王立協会の創立(1662)、リービッヒによる化学実験教育の導入(1820)、サイエンティストという語の登場(1840)のような、社会的な動きも取り上げられている。事典では成し難い試みではなかろうか。項目の説明の末尾につくことがある豆知識は、新書らし -
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小山慶太氏の本は『異貌の科学者』、『若き物理学徒たちのケンブリッジ』と読んできて本書が3冊目である。
本書の出版は2020年1月。氏の膨大な著作の中で最も新しいのが本書である。毎年のように新刊を出し続けてきた氏の筆がぴたりと止まってしまったのは、奥様を亡くされたせいかもしれない。本書の「あとがき」に2019年11月に45年間連れ添った奥様を亡くされた旨の記述がある。
本書のタイトルは『高校世界史でわかる科学史の核心』。世界史に暗い私に読みこなせるかどうか若干の心配があったが、難なく読み通すことができた。それは、『若き物理学徒たちのケンブリッジ』を先に読んでいたからかもしれない。世界史のうねりの -
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科学の世界で業績を残した有名な科学者達の中には、生活に全く不自由しないくらいの資産を持ち、自由な生活の中で業績をあげた人達がいました。
例えば、火星の運河探しで有名なパーシヴァル・ローエルもその中の一人です。彼は若い頃ハーヴァードで数学を学んでいましたが、たまたま大森貝塚で有名なモースの講演会で聞いた日本に興味を持って、日本に来日。日本国内を旅行して本を著します。(内容はやや偏見に満ちたものであったようです)帰国した彼が興味を持ったのがたまたま接近していた火星で、イタリアのスキャパレリが見たという火星の運河に興味を持ち、火星人の文明探しをライフワークとして天文台を建設します。火星の次は、海王星 -
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相変わらず著者の書く文は非常に読みやすく、どんどん先に進んでしまうのだけど、先に同著者の「光と電磁気 ファラデーとマクスウェルが考えたこと」を読んでしまった身としてはイマイチ物足りなかった。
それはファラデーやマクスウェルに比べて、アインシュタインやニュートンはあまりに有名すぎて、エピソードなども聞いたことのあるものばかりになってしまうのでそれはしょうがないのかもしれない(それは著者のせいではない)。
とは言え、類書では書かれていない話もチラホラ見られる。
ニュートンの著作として有名な「プリンキピア」は、天文学者のハレーがニュートンにはたらきかけて出版された(しかも出版費用もハレーが捻出 -
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電磁気学を創設したファラデーとマクスウェルのいわば伝記。
高等教育を受け、微積分や微分方程式を巧みに操ったといういかにも優等生なマクスウェル。
一方で子供の頃から貧乏で製本所で働き、高等教育を受けられなかったファラデーは数学が全く使えず、論文に数式が全く出てこなかったというのには驚かされました。実験の腕と真理を見分ける目を武器に素晴らしい発見を次々としたのは本当に驚きです。
ファラデーは高校物理で出てきますが、こういったバックグラウンドの話が何一つ教科書には描かれないのは、もったいないですね。科学というのは歴史ありきだと思うんですが。。。
ファラデーとマクスウェルには関係ないですが、進