【感想・ネタバレ】道楽科学者列伝 近代西欧科学の原風景のレビュー

あらすじ

恵まれた才能と富を活かし、「学問という最高の道楽」を楽しんで、卓越した業績を挙げたディレッタントたち。華麗な恋の遍歴のはてにニュートンの『プリンキピア』仏訳を完成したシャトレ侯爵夫人、領地の森をフィールドに『博物誌』を著したビュフォン伯爵、大銀行の長男に生まれながら動物学者の道を歩んだウォルター・ロスチャイルドらの姿に、学問が職業として確立する以前の、好奇心と遊び心が融合した近代科学の“原風景”を見る。

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Posted by ブクログ

科学がまだ職業として確立していなかった頃に活躍した人々の紹介。そこでの科学は金儲けの手段ではなく、純粋に知的好奇心に支えられているものだった。そんな時代が少し羨ましくもある。あとがきにあったように、当時の富の不平等があったからこそ、ラボアジェによる質量保存則の発見などの科学の発展があったのではないか、という指摘は間違っていないと思いました。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

科学の世界で業績を残した有名な科学者達の中には、生活に全く不自由しないくらいの資産を持ち、自由な生活の中で業績をあげた人達がいました。
例えば、火星の運河探しで有名なパーシヴァル・ローエルもその中の一人です。彼は若い頃ハーヴァードで数学を学んでいましたが、たまたま大森貝塚で有名なモースの講演会で聞いた日本に興味を持って、日本に来日。日本国内を旅行して本を著します。(内容はやや偏見に満ちたものであったようです)帰国した彼が興味を持ったのがたまたま接近していた火星で、イタリアのスキャパレリが見たという火星の運河に興味を持ち、火星人の文明探しをライフワークとして天文台を建設します。火星の次は、海王星の先にある未知の惑星探しに情熱を燃やし、彼の死後に冥王星の発見という形で成果を挙げることになります。冥王星(PLUTE)には、彼のイニシャルP.Lが含まれているそうです。(残念ながら、冥王星は惑星の座から下ろされてしまいましたが)
道楽科学者という言葉にはややネガティブなイメージもありますが、生活の事を気にせず、好きなことに没頭できる環境があるのは、サラリーマンの目で見るととても羨ましいです。

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2020年01月02日

Posted by ブクログ

かつて生活のためではなく純粋な好奇心(道楽)から科学をやった人達
がいた.彼らの余裕のある学問へのうちこみかたがとても羨ましい.ビュフォン、ローエルなどが特に面白かった.この本が絶版なんて.

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2011年09月09日

Posted by ブクログ

6人の科学者の生涯と業績を簡単に紹介している本です。取り上げられているのは、シャトレ公爵夫人、ビュフォン、ラヴォアジエ、バンクス、ローエル、ウォルター・ロスチャイルドで、さらに終章で、アルフレッド・ルーミスとド・ブロイにも簡単に触れられています。

自然科学の専門分化が著しい現在とは異なり、本書に取り上げられている科学者たちはディレッタントとして科学研究に取り組んでいました。本書は、そうしたディレッタントの科学者たちが生き生きとした情熱を持って科学研究に邁進していたことが描き出されています。

自然科学に詳しくない読者でも楽しんで読むことのできる本だと思います。

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2015年03月10日

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