【感想・ネタバレ】寺田寅彦 漱石、レイリー卿と和魂洋才の物理学のレビュー

あらすじ

文理に異才を発揮した寺田寅彦には、二人の“師”がいた。夏目漱石とイギリスのノーベル賞科学者レイリー卿である。「空はなぜ青いか」の謎を解いたレイリー卿は、私邸の実験室で研究に耽る「道楽科学者」であった。寅彦もまた、随筆や俳句を発表し、音楽や絵画を愉しむ一方で、「尺八の音響学」「椿の落下運動」など、意表をつくテーマの研究にあけくれた。寺田物理学の真髄に迫り、その和魂洋才の精神をさぐる。

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Posted by ブクログ

寺田寅彦が古典物理を使いこなして日常の事象を理解・説明してしまう様子は、建物構造を構造設計者が端的なモデルで理解しようとする姿勢をより広い意味で実現していて、実現できる言葉をもっていることがうらやましいし、そのように古典物理を使いこなしたいとも思った。

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2023年04月14日

Posted by ブクログ

面白かった。漱石作品を読み返したくなる。
個人的にやや著者の「昔の研究は良かった、門外漢にも寄り添う感じで…」という書き方が鼻につくようにも思えましたが、なんでも不思議に思う心っていいですよね。

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2012年07月03日

Posted by ブクログ

寺田寅彦がどういう科学者であったかは、「ねえ君、不思議だと思いませんか?」という口癖が全てを物語っているかと思う。粋という言葉も似合うかもしれない。知るほどに魅力的な人物である。
本書では、漱石とレイリー卿という二人の人物との関係を軸に、当時の物理学界の情勢を踏まえつつ、寺田という人物を辿っている。彼の研究内容にそれほど深く言及しているわけではないが、彼の物理に対する姿勢や興味の持ち方がよくわかり、寺田という人物像を得るのに大変よい。
そして、寺田と漱石の関係が、私には大変心を打つものである。

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2012年04月17日

Posted by ブクログ

「寺田寅彦」と書名にあったので、彼に関する評伝あるいは、物理学者としての側面、もしくは、文筆家としての側面について書かれた本かと思ったが、違った。

著者の「寺田寅彦には、二人の師となる人がいる。それは、レイリー卿と夏目漱石だ」という主旨はわかるが、やや強引かとも。

内容も物理学(変遷や歴史)についての記述が多く、「寺田寅彦」そのものに関する記述が少ないようにも思う。

物理学者であり、優れた文筆家であったことは、本書を通して、改めてわかる。

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2017年03月31日

Posted by ブクログ

寺田寅彦の文学の師が夏目漱石であるというのはよく知られているが,物理学における師が古典物理学を極めたレイリーであるという説が著者の思い入れたっぷりに語られる.本文を読んでみても,それほど根拠がある説ではなく,古き良き時代の物理学と,雑事に煩わされずにその研究に取り組むことができた裕福な研究者へのノスタルジックな思い入れがその説を支えている.レイリーとそれを取り巻く物理学の状況の説明に紙幅をとられた分,寺田寅彦自身の記述が少なくなっているのは私には残念.20世紀初頭の物理学の発展を背景にしながら,寺田自身の物理学の研究を語る後半が面白いだけに,そこをもう少し深めてもらいたかった.

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2012年04月24日

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