石川淳のレビュー一覧

  • 狂風記 下

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    とある葬儀屋近くにのゴミ墓場に打ち捨てられた死体。そこからミステリの体で始まるかと思えば、企業、政治小説、ロマンポルシェ、はたまた華麗なるギャッツビーの様な部分も含み、冒険小説的に話は進み、最期には神話的伝記へと収束する。文末の高橋源一郎の言を借りれば細分化されてつまらなくなった現代小説への逆襲のような物語の大木である。
    これぞ、物語を小説の原点とするならば、本作品はその枝分かれした大木の根に立ち返った恐るべき試みです。とてつもない読後感が得られる一品です。

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    2025年01月19日
  • 白頭吟

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    石川淳という作家について詳しいわけではないが、たぶん呉智英の書評で絶賛されていたのがきっかけでその名を知ったのだと思う。

    本作の舞台は大正期、原敬首相が暗殺されたころ。
    汚職で成り上がった父親を持つ主人公が、アナーキストの革命、簡単に言えばテロの策謀に巻き込まれていくという話。

    といっても政治的な大スペクタクルはゼロ。貧乏でヘタレな自称革命家、実態はチンピラ集団の稚拙な革命ごっこのお粗末な顛末が淡々と語られる。

    主人公の大学生晋一は、政界に媚を売る父を軽蔑し、年若い義母と密通しながら、アナーキストの首領の妹とも恋に落ちている。それでいて父の勧める政略結婚の相手にも無関心ではない。

    とに

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    2023年05月05日
  • シェアド・リーダーシップ

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    誤字が散見されたのが気になった。

    リーダーシップは、地位や役割がある人だけが発揮するものでないというもの。
    リーダーシップをつけるには、経験やもともとある理論を学習することで持論を形成する。自分なりのリーダーシップの理論を持つこと。
    理論もたくさんあって、包括的に感じた。

    なんとなく示唆される役職つくのに、ビビっている自分。とはいってもこんなチームにしたいなー、こんな上司よかったなーとか理想はあって。
    自分なりの強みを活かしたリーダーになるべき、かつ、その環境、文化に的したってのにしっくりきた。理想に突っ走って事故るとこだったなと。
    これからリーダーになるとき、チームづくりをするときに、指

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    2022年01月23日
  • シェアド・リーダーシップ

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    リーダーシップを学術的にも実務的にも分かりやすく書いた名著だと思う。受け入れやすいリーダーシップだ。しかし、それを効果的且つ実際に活用して現場の難題を解決する事ができるかどうかは、現場でないと分からないだろう。自身のリーダーシップの取り方に自信を持てない方、それなりに信念を持って臨んでいるが、いまいちうまくいかない方の背中を押してくれる本だと思う。

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    2020年06月27日
  • 石川淳/辻邦生/丸谷才一

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    面白い小説でした。
    石川淳氏 焼跡のイエス。紫苑物語。小林如泥。鈴木牧之。江戸人の発想法について
    辻邦生氏 安土往還記。
    丸谷才一氏 横しぐれ。樹影譚
    特に、安土往還記。丸谷才一氏の2つの小説。紫苑物語が
    とても面白い傑作だと思います。モダニズムという感覚が
    湧き出してくる感じがします。
    丸谷氏は、旧かな使いを積極的に使われる作品が多く
    あまり好きではありませんでしたが、特に随筆系の作品は
    読みづらく、わかりづらい内容が多くて好みではありませんでした。ただ、この2つの小説はとても面白くよめました。

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    2017年04月01日
  • 石川淳/辻邦生/丸谷才一

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    さすがにこのメンバーになるとはずれが少ないのか、収録作品が選りすぐりなのか、どれもひきこまれた。ベストをえらぶとすれば、「横しぐれ」だろうか。小説としてのプロットの巧みと文学論の両方がバランスしていて素晴らしい。

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    2016年06月19日
  • 石川淳/辻邦生/丸谷才一

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    記載されている諸作品はほぼ初読み。
    全集になっていなかったら読むことがなかったろう。
    誰も誰も熟達した文章力!
    解説や挟んであるパンフが読みの助けになった。

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    2016年05月07日
  • 背徳者

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    ジッドに石川淳の翻訳という取り合わせに惹かれて読み始めました。20歳前後にジッドにはまった時期があったのですが、狭き門と本書がきっかけでしたね。

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    2013年01月06日
  • 紫苑物語

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    歌詠みの家に生まれた宗頼、才能は豊かだが心に鬱屈したものを抱え、辺境の地に追いやられる。人を憎む狐の化身である美女を手に入れた宗頼は邪魔者を殺し続け、その跡には死者を想う紫苑が植えられた。そしてついに魔の矢により地上を焼き尽くす。
     / 紫苑物語

    山の岩戸に住む石別(いしわけ)一族は、里の人々と適度な交流を持って独自の生活を成り立たせていた。しかし里の支配者は彼らの名なしの神を奪い征服しようとする。いつしか名なしの神はその由来を大きく書き換えられ、八幡大菩薩(源氏の氏神)になる。
     / 八幡縁起

    人から外れた胡摩姫(コマ=駒=馬)と、山賊、足軽、盗賊たちを通して日本の起源を描いた物語
     /

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    2016年08月15日
  • 紫苑物語

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    あ…ありのままに今起こったことを話すぜ…

    『学校の課題で糞つまらん文学作品を読まされていたと思っていたが
    いつの間にかカッコよすぎて言葉を失っていたッ!』
    美文とか漢籍の素養とか
    そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
    もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

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    2009年10月04日
  • 紫苑物語

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    若い国守は歌を捨て、狩へすすみ、やがて人を殺すことを覚える。雪崩れるような勢いの、妖艶な美文にくらくら。

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    2009年10月04日
  • 新釈雨月物語

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    子供の間で妖怪がブームらしいが,こういう物語が国語の教科書で扱われてもよいのではないか。「浅茅が宿」や「吉備津の釜」など題材的にも適しているし,なにより薄気味悪くて子供心にも面白いのではないかと思うが…。

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    2009年10月04日
  • 安吾のいる風景 敗荷落日 現代日本のエッセイ

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    死者に向かって時に罵倒に聞こえるほど最高にかっこいいたんかを切ること。それが唯一のはなむけであり、死者を悼む方法であることをきっと石川さんは熟知しているのでしょう。う〜ん。かっこいい。

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    2009年10月04日
  • 紫苑物語

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    言葉が光り輝きキラキラしています。テクストがまさに織り上げられ敷き詰められている。そんな感じがします。小説って織物なんですね。

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    2009年10月04日
  • 普賢 佳人

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    語る行為それ自体がいかににスリリングなことか。言葉が起動し意味の磁場を作り出すことがどれだけ絶望的で甘美な経験か。僕も含めほとんどの人は知りません。ただ、これを読めばそれが垣間見れます。こういう小説があるから、後世の人は困るのです。
    ちなみに卒論は「普賢」を選び玉砕しました。。

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    2009年10月04日
  • 紫苑物語

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    所収の「八幡縁起」がベスト。太古からの日本人精神史でもあります。石川淳の文は読むと力が湧く貴重な文です。こんな文章を書く人、また現れないかなと願ってます。

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    2009年10月04日
  • 紫苑物語

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    再読。

    最初に読んだ時からかなりの時間(30年くらい昔)が経つ故に、ほぼ初めて読んだように向きあった。

    若かりし日に読んだ時の印象は、著者の他の純文学作品と比較して読みやすいな、ぐらいのものだった。改めて読むと、熟練の技とでも言いますか、洒脱な文章に舌を巻く気持ち。この味は、外国語に翻訳するとリズムとコクが再現できないだろうな、などと考える。

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    2023年10月16日
  • 紫苑物語

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    著者の作品を初めて読む。文体のリズム良く、音楽を聴くように読める。私の、少ない読書体験から近いものを選べば半村良氏。フィクションだからこそ、歴史を引き寄せて想像出来る。

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    2021年07月12日
  • 背徳者

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    アンドレ・ジッドの自伝的要素を持つ物語(レシ)。
    謹厳で学問に誠実に打ち込んでいた古典学者が、結婚後に大病を患いそして復活を遂げるとすっかりと道徳的・性的に「背徳者」になっていたという話です。
    言ってみれば身もフタもないか・・・。(笑)

    新婚旅行中の本人の病気や妻の病気療養で辿るヨーロッパや北アフリカの国々の描写は、いい加減に安静にしてないとだめだろ!という突っ込みの反面、様々な旅愁が醸し出されていてとても良かったです。
    また、中盤では実は本人が大農園の領主だったということで、お屋敷や農村や森林の風景が随所に散りばめられていて、これもある意味、牧歌的な雰囲気があって良かったですね。
    この物語

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    2020年06月21日
  • 普賢

    ネタバレ

    難しいけれど妙にスラスラ読める

    饒舌で尚且つ韜晦な文章だが、時折急に飛び出す詩的で堅い文章は視覚的にもはっとさせられ、リズムがいいから聴覚的にもはっとさせられる。また、落語を聞いてるような感覚にもさせられる。内容は、どうしようもない色々な男女が登場する風俗小説であるが、これがまた皆どうしようもない。語りは「わたし」という一人称だが、登場人物の動きが中心に語られる。「わたし」は仲間たちのだめっぷりを嘆くが、自分もまただめだめであることを自覚している。書こうとしているピザンの伝記もいっこうに進む気配がない。そして恋情を抱いていたユカリに絶望し、警察から逃げることにもなり、最後には普賢菩薩にすがりつく。そして急に訪れるオチ……

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    2018年01月04日