石川淳のレビュー一覧
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石川淳という作家について詳しいわけではないが、たぶん呉智英の書評で絶賛されていたのがきっかけでその名を知ったのだと思う。
本作の舞台は大正期、原敬首相が暗殺されたころ。
汚職で成り上がった父親を持つ主人公が、アナーキストの革命、簡単に言えばテロの策謀に巻き込まれていくという話。
といっても政治的な大スペクタクルはゼロ。貧乏でヘタレな自称革命家、実態はチンピラ集団の稚拙な革命ごっこのお粗末な顛末が淡々と語られる。
主人公の大学生晋一は、政界に媚を売る父を軽蔑し、年若い義母と密通しながら、アナーキストの首領の妹とも恋に落ちている。それでいて父の勧める政略結婚の相手にも無関心ではない。
とに -
Posted by ブクログ
誤字が散見されたのが気になった。
リーダーシップは、地位や役割がある人だけが発揮するものでないというもの。
リーダーシップをつけるには、経験やもともとある理論を学習することで持論を形成する。自分なりのリーダーシップの理論を持つこと。
理論もたくさんあって、包括的に感じた。
なんとなく示唆される役職つくのに、ビビっている自分。とはいってもこんなチームにしたいなー、こんな上司よかったなーとか理想はあって。
自分なりの強みを活かしたリーダーになるべき、かつ、その環境、文化に的したってのにしっくりきた。理想に突っ走って事故るとこだったなと。
これからリーダーになるとき、チームづくりをするときに、指 -
Posted by ブクログ
歌詠みの家に生まれた宗頼、才能は豊かだが心に鬱屈したものを抱え、辺境の地に追いやられる。人を憎む狐の化身である美女を手に入れた宗頼は邪魔者を殺し続け、その跡には死者を想う紫苑が植えられた。そしてついに魔の矢により地上を焼き尽くす。
/ 紫苑物語
山の岩戸に住む石別(いしわけ)一族は、里の人々と適度な交流を持って独自の生活を成り立たせていた。しかし里の支配者は彼らの名なしの神を奪い征服しようとする。いつしか名なしの神はその由来を大きく書き換えられ、八幡大菩薩(源氏の氏神)になる。
/ 八幡縁起
人から外れた胡摩姫(コマ=駒=馬)と、山賊、足軽、盗賊たちを通して日本の起源を描いた物語
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アンドレ・ジッドの自伝的要素を持つ物語(レシ)。
謹厳で学問に誠実に打ち込んでいた古典学者が、結婚後に大病を患いそして復活を遂げるとすっかりと道徳的・性的に「背徳者」になっていたという話です。
言ってみれば身もフタもないか・・・。(笑)
新婚旅行中の本人の病気や妻の病気療養で辿るヨーロッパや北アフリカの国々の描写は、いい加減に安静にしてないとだめだろ!という突っ込みの反面、様々な旅愁が醸し出されていてとても良かったです。
また、中盤では実は本人が大農園の領主だったということで、お屋敷や農村や森林の風景が随所に散りばめられていて、これもある意味、牧歌的な雰囲気があって良かったですね。
この物語 -
ネタバレ
難しいけれど妙にスラスラ読める
饒舌で尚且つ韜晦な文章だが、時折急に飛び出す詩的で堅い文章は視覚的にもはっとさせられ、リズムがいいから聴覚的にもはっとさせられる。また、落語を聞いてるような感覚にもさせられる。内容は、どうしようもない色々な男女が登場する風俗小説であるが、これがまた皆どうしようもない。語りは「わたし」という一人称だが、登場人物の動きが中心に語られる。「わたし」は仲間たちのだめっぷりを嘆くが、自分もまただめだめであることを自覚している。書こうとしているピザンの伝記もいっこうに進む気配がない。そして恋情を抱いていたユカリに絶望し、警察から逃げることにもなり、最後には普賢菩薩にすがりつく。そして急に訪れるオチ……