【感想・ネタバレ】普賢のレビュー

あらすじ

【第4回芥川賞受賞作】頽廃と汚辱にみちた日々を無気力に生きる「わたし」の前に、長い間恋いこがれてきた旧友庵文蔵の妹ユカリが、特高警察に追われ、呪詛にみち、荒んだ姿であらわれる。戯作派といわれる著者が大胆に危機感を現出して、絶望からの再生を描く。第4回芥川賞を受けた表題作のほか、処女作「佳人」ほか「葦手」「秘仏」を収録した初期短編傑作集。

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ネタバレ

難しいけれど妙にスラスラ読める

饒舌で尚且つ韜晦な文章だが、時折急に飛び出す詩的で堅い文章は視覚的にもはっとさせられ、リズムがいいから聴覚的にもはっとさせられる。また、落語を聞いてるような感覚にもさせられる。内容は、どうしようもない色々な男女が登場する風俗小説であるが、これがまた皆どうしようもない。語りは「わたし」という一人称だが、登場人物の動きが中心に語られる。「わたし」は仲間たちのだめっぷりを嘆くが、自分もまただめだめであることを自覚している。書こうとしているピザンの伝記もいっこうに進む気配がない。そして恋情を抱いていたユカリに絶望し、警察から逃げることにもなり、最後には普賢菩薩にすがりつく。そして急に訪れるオチ……
高踏な風俗小説であり、得意な文体ゆえに読むのは疲れるが、一読する価値は大いにある。

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2018年01月04日

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