三雲岳斗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“「……出よう、ダリアン」
少女は呆れたようにヒューイを見上げると、手甲に覆われた腕を差し出した。
「何を言っているのですか。私は揚げパンを食べるのです。早くそれを寄越すのです」
「きみの知り合いのハーストン一族は、この街じゃずいぶんな嫌われ者らしい……僕たちの目的地があの家だとバレると騒ぎになりそうだ」
そう言いながらヒューイは荷物をまとめ始めた。それを見て慌てたのはダリアンだった。焦って立ち上がりながら手を伸ばし、
「こら、ヒューイ、なぜパンをしまうのですか。まだお砂糖をかけてないのです。ヒューイ!」
「この近くで辻馬車を拾うのもやめたほうが良さそうだな。仕方ない……少し歩こう」
「こら。何をするのですか。その手を離すのです。どこを触っているのですか、いやらしい!」
ヒューイは、じたばたと暴れる小柄な少女を、まるで荷物のように小脇に抱えて店を出た。
テーブルの上に残してきた砂糖壺を名残惜しそうに眺めて、ダリアンは涙声で呟いた。
「お砂糖……」”[P.69]
短編であっさり読める感じ。
時間軸が定かになってなかったり、同じ世界観でメイン二人と何らかの関係ありつつもメイン二人のでない話とかその辺りの構成はキノっぽい。読みやすい。
“「君が壺中天だったんだな……ダリアン」
ヒューイは静かに問いかけた。
ダリアンは何も答えなかった。乱れた衣服の襟元を直して振り返ったときには、リボン代わりの大きな古い錠前が、彼女の胸元を元通り堅く閉ざしていた。
ヒューイはそれを眺めながら、
「思い出したよ。僕は前にも一度どこかで壺中天に迷いこんだことがある」
少し懐かしげな表情で微笑した。
「その中で、ダンタリアンという名前の少女と会ったよ。あの鍵は、彼女にもらったんだ……」
ダリアンがぴくりと動きを止めた。
ヒューイと目を合わせないように、彼女は頑なに顔を伏せている。
「そのときにその子と約束をしたんだ。彼女の友達になって、いつか彼女を外に連れ出すと」
「……そう……ですか」
艶やかな唇を震わせて、ダリアンが小さく何かを呟いた。覚えていたの、というふうに。
その耳の先が少しだけ赤く染まっていた。
「ダンタリアンは悪魔の名前だ。書物を持った姿で描かれる、知識を司る悪魔」
空っぽの右手を強く握って、ヒューイが言った。
黒衣の少女は静かに顔を上げた。
無表情な彼女の瞳は、すべての質問を拒絶しているように思えた。
それでもヒューイは敢えて問いかけた。
「君の名は、ダンタリアンの愛称なのかい、ダリアン?」
ダリアンは何も答えなかった。
代わりに細い顎を、つい、と上げ、
「これからどうするつもりなのですか、ヒューイ。私は、お腹が空いたのです」
どこか偉そうな表情を浮かべて少女は言った。”[P.226] -
Posted by ブクログ
ネタバレ#novel
最強の吸血鬼、第四真祖に変身した主人公が太平洋上に作られたメガフロートの学究都市・魔族特区での事件を解決。厨二設定山盛りだけど、どこか飄々としているカウンター・ラノベ続編。
今作は王家の血筋と秘儀の術式を悪用した人造擬似天使が相手。またまたうなるほどの厨二設定。を、また逆手にとっているのが面白い。
展開的にはますますハーレム化促進。でも吸血鬼の王なわけで、側室はいっぱいいても問題ないんでしょうそうなんでしょう(笑
しかし日本人は本当に吸血鬼好きですよね。
・三雲岳斗「ストライク・ザ・ブラッド〈3〉天使炎上 (電撃文庫)」 -
Posted by ブクログ
アニメで放映中のダンタリアンの書架。
壺中の天に納められた幻書の管理人ダリアンと、ヒューイの織りなす奇譚。
幻書の内容よりも、それに絡められる人間模様がおもしろい本です。
人の夢や欲望などが幻書と絡み、人の暗い面も読みやすくなっています。
本書に収録されているのは
第1話:「換魂の書」
小説に狂気的な愛情を注ぎ込む女性が、小説家を監禁して自分の気に入る作品が出来上がるまで殺し続ける話
第2話:「忘却の書」
自分の浮気を隠すため、奥さんの記憶を幻書に封じ込める話
第3話:「黄昏の書」
幻書の魔力から発生した物語を食べる虫を退治するために本の世界に入る話
第4話:「魔術師の娘」
魔術師に作られし自動人形が自我に目覚め、男を手玉にとり自らを守るために必要な幻書を探し求めさせる
第5話;「償いの書」
それを読んだものをゾンビにする原書を使ったテロを阻止するために焚書官と共闘する話
の本編5話
姉がいるために女王になれない妹が、姉に混沌の眠りへと誘う幻書を読ませ女王の座を得ようとする「眠りの書」。美しさを求める女性が、求める美を得るのではなく、自分が最高に美しいと評価される異界に放り込まれる「美女の世界」の断章が2話
で構成されています。