坂崎かおるのレビュー一覧

  • 箱庭クロニクル

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    ネタバレ

    芥川賞候補作家の短編集。この本の冒頭作は日本推理作家協会賞短編部門受賞作というのだから、才能あふれる人なんだろうとは思ったが、それ以上に面白い小説を書く作家さんでとても気に入った。

    6編の短編が収録されているが、全てテイストが違って、しかも捨て作なし。短編小説の醍醐味が存分に詰まっていて、1作読むごとに満足感が半端ない、それこそ下手な長編小説読むよりよほど密度が濃い。それなのに読みやすいのは文章が上手いんだろうな。

    表紙のイラストも雰囲気が出てて良かった。いや、またしても気になる作家さんを見つけてしまった。
    前2作も読んでみようと思う。

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    2025年11月02日
  • 箱庭クロニクル

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    ネタバレ

    先生に恋するも。実は友達が、先生の娘だったっ言うタイプライターの話が印象的だった。
    あと、ゾンビに効く薬がマツキヨにあるって言うやつが、シュールだったを

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    2025年09月04日
  • 箱庭クロニクル

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    ネタバレ

    短編が6作品載っている。
    どの作品もとても面白かった。主人公の性格や年齢がバラバラなのが読んでいて全く飽きなかった。
    表紙には、それぞれの物語に関係した物が描いてあって、読んだ後や途中にふと目に入ると微笑ましく思った。

    【あらすじ】
    6作品の中の最初のお話を紹介。
    「ベルを鳴らして」
    タイプライターを極める少女(シュウコ)のお話。女性がバリバリ働くのが良しとされない時代。シュウコはタイプライターの学校で「先生」と出会う。先生にライバル意識を持ち勝負を挑むも完敗。シュウコは先生に淡い思いを抱くが、先生が気にかけていたのはシュウコではなく、、、

    【感想】
    「ベルを鳴らして」
    悲しみの優しさの物

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    2025年08月29日
  • 箱庭クロニクル

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    短編集
    とんかつ屋さんでのお話がぶっ刺さりました
    静かに壊れていく日常 を淡々と
    いやあ怖かった 旦那さんについてその後一切触れないのも怖い
    これは当たりでした

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    2025年03月07日
  • 箱庭クロニクル

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    ネタバレ

    まず、不思議で、ちょっと不気味な表紙絵に惹かれた。
    クラゲのような頭を持つおんなのこ。急須の頭に鳥の羽根と足を持つ生きもの。空を飛ぶ飛行機のような魚…。
    ファンタジックな世界観に、ファンタジーだと思う方もいらっしゃると思うが、作者は芥川賞候補作家で、この短編集の中の冒頭の作品『ベルを鳴らして』は、日本推理作家協会賞短編部門受賞作品である。
    6編の短編、いづれも年齢も出自も生きる環境も違う女性が語り手で、女性同士の関係性が重要なテーマとしてある。
    友だちのようなもの、だったり、母と娘だったり、姉と妹だったり、店員と客だったり。
    よく、こんなにカラフルでグラデーションのある関係を微細に書けるなと感

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    2025年01月31日
  • 箱庭クロニクル

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    現実をベースにしながら、ファンタジー要素や異国情緒を感じられる作品。読み終わった時の気持ちも寂しさと切なさと暖かさが入り混じったような不思議な感覚。

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    2024年12月29日
  • 海岸通り

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    読みづらさ、わかりにくさと、自分好みの言葉使い・表現、声を出して笑ってしまうようなユーモア(ギャグ)が同居してる
    自分好みの小説

    主人公はちょっとひねくれたものの見方をする、それが一人称で語られるから、ひねくれ方が存分に楽しめる

    とても気に入りました

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    2024年12月17日
  • 箱庭クロニクル

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    ネタバレ

    静かで目には見えないけど、確かにある感情が力強い。すごい。

    「ベルを鳴らして」
    タイプライターの先生と、彼が守りたかった秘密が静かに浮き上がってきて心が震えた。自分の存在を消そうとする先生と、彼の存在を追い続けるシュウコの勝負は、初めてタイプ勝負をしたときから決まっていたのかもしれないと感じた。次の行へ移るときに鳴るベルが象徴的に響く。

    「イン・ザ・ヘブン」
    テンポよくストーリーが展開していく。エリサたちが語る本からの引用セリフはどこか浮いていて、地獄の中で手を取り合うカミラとの絆だけが現実と結びついているような不思議な感覚。

    「名前をつけてやる」
    とても好き。朝世とすみれの関係性には名

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    2024年11月30日
  • 箱庭クロニクル

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    「嘘つき姫」を読んだ時にも感じた、ちょっと心が穏やかではなくなる不穏な感じがするのに読後感わまったく悪くないのがたまらなく好きです。今年の自分の心のベストテン入りは間違いないな。

    そしてなぜか昔テレビ東京でやっていたドラマ「下北沢ダイハード」を思い出した。

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    2024年11月26日
  • 海岸通り

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    日本は修羅。もういっぱい問題ありすぎてどう語ったらいいかわからない。この物語はその修羅を静かに激しく語っている。

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    2024年10月25日
  • 嘘つき姫

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    衝撃的に面白かった。
    完全にファンタジーなのに、どこかで実際にあった出来事なのかと錯覚してしまう。事実とフィクションの絡め方の塩梅がとてもうまい。
    海外が舞台のお話は翻訳小説を読んでいるような構成と文章。
    日本のお話は感情表現がとてもリアル。書き分け天才的!!
    読み始めはどこにもないセピア色の不思議世界を描く感じかな(小川洋子さんのような)と思ったが、様々な色の世界を描いていてすべての物語がとてもよかった。
    全体に漂うもの悲しさも大変好み。
    久しぶりにお気に入りの作家さんに出会えた。

    短編集
    ニューヨークの魔女
    ファーサイド
    リトル・アーカイブス
    リモート
    私のつまと私のはは
    あーちゃんはか

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    2024年08月13日
  • 海岸通り

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    主人公・久住は派遣労働者で高齢者施設で清掃の仕事をしている。なかなか優秀。ここにはダミーのバス停「海岸通り」がありそこの常連のサトウさんとお話をする。認知症を患っているサトウさんと新人清掃員のウガンダ人マリアさんが主要人物である。久住さんの個人的情報はほとんど出てこない。努力家の後輩マリアさんを認めているが、少し差別意識もある。一人称語りで久住の暗い内面がうまく表現されていて、彼女の中には一本筋が通っている。非正規労働・高齢者福祉・マイノリティーのリアル。ゆったり静かな小説か?私はそうは思えない。良書!!

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    2024年08月11日
  • 海岸通り

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    「噓つき姫」で一躍有名となった坂崎かおるの最新刊。文學界2月号掲載の作品がもう出版されることから期待が大きいことが伺える。本には赤い帯が付いていて、芥川賞候補作と書かれている。御本人のnoteを見たけど、この様な地味な作品が候補作にノミネートされたのを意外だと感じているようだ、謙遜かもしれないけど。地味、確かに奇抜な文体でもなく、社会に切り込むといった意欲作という訳でもない、もう至って落ち着いた作品。登場人物が激昂する場面もなく、最後まで単調に穏やかに常に距離感を保つ人の結びつきが心地良い。最近の映画界ではこの様なテイストの作品がいろいろな所で話題となっている。例えば役所広司で言えば、「per

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    2024年07月11日
  • 嘘つき姫

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    書店でSFコーナーにて展開していたが、実際に購入して読んでみるとエンタメと言うよりは文学・文芸小説といった印象だった。
    かといって堅苦しい難解な純文学ではなく、とても読みやすい文体で、SF的な設定が現実社会のメタファーとなっており、すんなりと頭に入ってくる。
    まるで玉露を飲んでいるような、スッキリとした味わい。
    しかし、カフェインの含有量はえげつない。
    そんな一冊。

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    2024年06月19日
  • 嘘つき姫

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    いろいろな書評で話題をさらっている本書はSFにカテゴライズされているが、それよりもGL系の方がピッタリしている。現在のSFはサイエンスではなくLoveが主流を占めているような気がする。サイエンスの時代は人類愛、生命愛がテーマのものが多かったのだが、現在は世相を反映してかBL, GLものが多い。同性同士の愛の本質は私には判りかねるので、性の概念を排除して人間同士の愛と読み替えて作品を読み進めると幾分理解力が深まったようにも思える。

    今回の作品の中には愛の対象が電柱というもの「電信柱より」もあるが、電柱と言う物体を擬人化するという発想には興味を持った。以前、何かの本で読んだ記憶があり、初めて読ん

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    2024年06月05日
  • 水都眩光 幻想短篇アンソロジー

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    ネタバレ

    •『ラサンドーハ手稿』高原英里
    この作品が最初で良かった。退廃的な世界観、暗い路地裏から話しかけてくる仮面たち、ひょっとして私たちの世界でも起きているかもしれないよと錯覚させるような精神が入れ替わるストーリー。百点満点です。

    •『串』マーサ•ナカムラ
    奇妙なお役目がグロい!
    連綿と続いていくんだなと主人公の微笑みで感じます。なんだか鬱りたくなるのに爽やかで奇妙な読後感。

    •『うなぎ』大木芙沙子
    あーっ、純文学!うなぎが臍から出てくる超自然的現象はさておき、不良と仲良くしているところをいい子ちゃんの家族(になりかけの人と母親)に見られたくないっと顔を背けてしまった…小さなしこりが今も残り続け

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    2024年02月18日
  • 箱庭クロニクル

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    面白かった。
    他者への思いが友情や愛情の枠にはめられない、でも大切な人とのお話が詰まっていて、少し切ない。

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    2025年12月06日
  • 海岸通り

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    第171回芥川賞候補作
    海辺の老人ホームに派遣の清掃員として働くワタシ(クズミ)
    ウガンダから来た同僚のマリアさん
    手抜きばかりしていた元同僚の神崎さん
    ホームの敷地にあるニセモノのバス停で来ないバスを毎日待っている入居者のおばあさんのサトウさん

    いきなりニセモ丿のバス停を磨きあげるワタシ(クズミ)の描写から始まる
    このバス停は認知症が進み、家に帰りたがる入居者を一度そこに連れて行き「なかなか来ないですね…また明日〜」とクールダウンのような場として機能しているらしい…
    そのバス停に「ニセモノのくせに」と笑いかけるワタシ(クズミ)
    そして必要以上にニセモノを磨き、ピカピカにしてサトウさんとおし

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    2025年09月04日
  • 海岸通り

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    「ニセモノ」と「ホンモノ」、久住とマリアの対比とウガンダのコミュニティが印象的。ラストのバスでのシーン。男の子が「なんか変なにおいがする」と言う。胡散臭さではなく、私は「海のにおい」であって欲しいと思う。

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    2025年08月03日
  • 箱庭クロニクル

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    悲しみではなく
    寂しさともちょっと違う
    静かで平らだった心の水面に
    さっと風が吹き抜け
    ざわざわと波が立ち
    落ち着かなくなるような感じと
    そして、昔の友だちや
    好きだった人のことを思い出し
    きゅっと胸が締めつけられるような
    せつなさと懐かしさにあふれた
    物語が詰まっていた。
    目には見えない心の状態を
    言葉で細やかに表現しているから
    本の中の人々に寄り添って一緒に
    泣いたり笑ったりすることができた。

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    2025年06月27日