坂崎かおるのレビュー一覧

  • 嘘つき姫

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    ニューヨークの魔女
    ファーサイド
    リトル・アーカイブズ
    リモート
    私のつまと、私のはは
    あーちゃんはかあいそうでかあいい
    電信柱より
    嘘つき姫
    日出子の爪

    不思議な感じの物語ばかりで、どう解釈していいのか頭の中が???になってしまった。

    けれども、わからないと投げ出さずに、読みたくなる不思議な本。

    わからないものを、わからないなりに、受け取る感じが癖になりそう。

    「歯」とか「爪」に焦点が当てられると、想像して鳥肌が立ちそうだったけど、妙に心に残った。

    個人的には「ファーサイド」「リモート」「電信柱より」「嘘つき姫」がおすすめ。

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    2025年06月08日
  • 箱庭クロニクル

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    芥川賞候補にもなった2024年の新人作家の短編小説集。
    本のタイトルの小説はない。
    短編が6つ。

    その中で秀逸と感じたのは最初の「ベルを鳴らして」。
    今は博物館ものの「邦文タイプライター」をめぐる戦中を描いたドラマ。
    邦文タイプ、見たことはあるがどう触るのか見当もつかなかった。
    つまり小説の中にある描写は全然イメージできないのだけれど、
    それでもなんだか高尚な、高貴な、知的な感覚を持って読むことができた。
    佳作。

    そのほかの作品は、ファンタジー的なものもあれば、
    人間の毒を吐いてるものもあり、、、

    「ベルを鳴らして」よかった



    「ベルを鳴らして」(日本推理作家協会賞短編部門受賞作)

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    2025年05月21日
  • 嘘つき姫

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    短編集。よかった。この作者の本は2冊目。家に帰れば、次の本があるけれど、もったいなくてまだ読めないかも。

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    2025年05月12日
  • 箱庭クロニクル

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    「ベルを鳴らして」がとてもよく、時代背景も好み。
    戦前戦後、優秀な和製タイピストの中国人「先生」への思慕を一人称で語る。
    抑えた文章、後半に一部でる目眩くイメージの描写。文字一字への想いと使い方。
    日本推理作家協会賞受賞作らしい、推理?枠なんだ。。

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    2025年02月17日
  • 箱庭クロニクル

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    不思議で幻想的で奇跡のような短編が6話。
    少し悲しさがあったり暗いところもあるけれど、それぞれのお話の終わりには、それだけでは終わらない人間の強さが垣間見える。
    暗いのに明るい、明るいのに暗い。
    とても読みやすい短編ばかりなのに読み応えがありました。

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    2025年02月06日
  • 箱庭クロニクル

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    今はもう会えない人との淡い繋がりが、主人公たちの心のどこかにわだかまりとして残っている。そのわだかまりは時に愛おしく、憎らしく、呪いのように掴んで離さない。その想いの持ちようや繋がりを認識する瞬間が散りばめられていた。
    長く生きているとこんなこともあるよね、でもどうしようもないんだという気持ちをどう認めてあげるか、考えさせられる物語だった。
    時折り、胸の奥に低温で溶けた金属がスッと入っていく気持ちになる。

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    2025年02月03日
  • 箱庭クロニクル

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    すごく良かった。
    美しい言葉で紡がれる5篇の短編集。
    日本語のタイプライターとその講師の先生を巡る『ベルを鳴らして』と、ゾンビ・パンデミックと少女たちの連帯と交歓を描いた『あたたかくもやわらかくもないそれ』が特に好きです。
    どの作品も、ちょっとビターで切ない結末なんですが、女性たちの一時の交流がとてもキラキラしていて愛おしくて。
    まさにタイトル通り箱の中に閉じ込めて時々取り出して眺めたいなぁと思う作品でした。

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    2025年01月25日
  • 海岸通り

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    まず、表紙がいいですねー
    淡い水色のバックに青一色の細い線で描かれた絵。余白もたまらない。
    この絵のように静かで孤独な物語だったなぁ。
    老人施設で清掃の仕事をしているクズミ(名字)。
    クズミはどうも小学生の頃から他人と馴染めなかったらしく、それを受け入れ一人で生きることにしたような印象を受けます。いつも頭の中でブツブツと独り言を言っている、そらがそのまま文章になったような文体。
    でもウガンダ人のマリアが同僚になって、カタコトの日本語でたくさん話しかけられるようになってから少しずつ意識が変わってきます。
    このまま仲良くなっていくのかなぁと思っていたのだけれど、マリアの仲間たちのコミュニティにも疎

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    2025年01月11日
  • 箱庭クロニクル

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    稀有なワードセンスに脱帽! 女性の人間関係を幻想的かつ無情に描いた作品集 #箱庭クロニクル

    何ですか、この稀有なワードセンスは。派手ではなく木訥と綴られる言葉の渦に溺れそうです。たしかに新人先生とは思えないですね~、これからの作品にも期待しちゃいます!

    本作は幻想的な世界観の中でも科学的な視点もあり、社会・歴史問題に切り込む純文学寄りのエンタメ。どなたでも気軽に読める短編ですね。

    ●ベルを鳴らして
    日中戦争戦時下の頃、邦文タイピリストの女性の物語。中国人のタイピングの先生、友人とのやりとりを描く。日本推理作家協会賞短編部門受賞作。

    邦文タイプですか、そんなのがあったんですね。かつての最

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    2024年12月30日
  • 海岸通り

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    物語を書く能力はとても高いように感じます。今回の候補作の中でも一番を付けても良い程。しかし、今回受賞した2作品に比べると、キャラクターの造りが弱甘で、そこが勿体ない残念ポイントでした

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    2024年09月26日
  • 海岸通り

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    ネタバレ

    久住は老人ホームの清掃員として週3日働く。
    入所者の「サトウ」さんと
    ニセモノのバス停に座り会話をしながらバスを待つ。

    清掃の仕事には手を抜かない。
    家賃を滞納したり、備品を持って帰ったりと
    小さな悪事を働くのだが、なぜか憎めない。
    同僚のウガンダ人のマリアとのやりとりは読んでいてホッとする。

    久住は要所要所で差別的な思いを抱いてしまい
    いちいち訂正をする。
    彼女の正義を見た気でいたのだが
    P121
    〈この世界に正しい人なんていない。たぶん、絶対〉
    そうきたか。

    おもしろかった。
    次回作もぜひ読んでみたい。

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    2024年09月20日
  • 海岸通り

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    友達に勧められて読んでみた。
    とにかく文章がうまくて綺麗。話に不自然な部分はあるが気にならない。
    主人公がちょっと頭が悪いが、こういう人の心情をうまく書けていて気持ちいい。
    芥川賞にノミネートされたが、酷い病気とか予想外の題材じゃないから難しいとは思った。老人ホームと外国人じゃ弱すぎるんだろうなと。
    でも、賞に関係なく詩みたいに楽しく読めました。

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    2024年09月18日
  • 海岸通り

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    ネタバレ

    ニセモノのバス停の素数だけの時刻表。なんかいいな。
    久住さんは掃除はするけどなんかちょっとダメな感じの人。薄ら見下すような憧れるような気持ちが綯い交ぜになった執着をサトウさんとマリアさんに持っているように見えた。
    めちゃめちゃ好印象な人より、ちょっと心をざわつかせてくる人に執着しちゃうこと、人間ってなぜかあるよね。

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    2024年09月07日
  • 海岸通り

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    磨き上げられたバス停標識。
    素数しか使われていない時刻表。
    でも、永遠にこの海岸通りというバス停にバスは来ない。老人ホーム雲母園の居住者の拠り所となるためにあるだけだから。なんか、悲しいなと思った。わからなくなっても、帰りたいとか、どこかへ行きたいという気持ちはあるはずだから。

    ここで働くクズミさんは、ちょっとずるいことをしたり、家賃を滞納したりしていたけれど、自分よりも弱い立場のマリアさんと接しているうちに少し変わってきたように思えた。弱い立場の人は、必ずしも弱いだけではなく、自分に都合のよいように行動してしまうこともあると思う。これは、仕方のないことのような気がする。それでも、裏切られた

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    2024年08月31日
  • 嘘つき姫

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    ネタバレ

    短編集9篇
    SFっぽい物語が多いが表題作はフランスを舞台にした第二次世界大戦時の物語。どうしても死なない魔女やタマゴッチのようなリアルな子育て、埋めた爪から指が生えてきたりと突拍子もない事態に目を奪われるが、その根底に漂う深い、あるいは説明し難い愛に心が揺さぶられた。ひとつづがそれぞれ違った味わいでとても面白かった。

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    2024年08月29日
  • 海岸通り

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    人は誰かに
    自分のことを知って欲しいのだと思う。
    そして誰かのことを知りたいのだ。
    必要最低限の生活と人間関係を望み
    ただなんとなく生きているように見えても
    本心でぶつかってこられたら
    その人に対して
    同じように心をひらき、思いやり
    もっとよく知りたいときっと思うだろう。
    どうせわかってもらえないと
    はじめから諦めてしまっているけれど
    本当はさびしくて仕方ないのだ。
    凡庸な中に
    ときどききらっと光る言葉や表現があり
    すぐ先の未来は
    けっして明るくないはずなのに
    幸福な感じしかしない最後のシーンがよかった。

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    2024年08月28日
  • 嘘つき姫

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    タイトルと装画から想像するものと全く違った。
    めちゃくちゃ軽いのかと思ってどちらかと言えば期待せずに読み始めたのだけど、装画のイメージと違ってすごく良かった!

    9つの短編で、全て書き方やテーマが異なり、どの作品も面白い。私は外国が舞台の作品が好き。海外児童文学の翻訳という感じが良い。日本が舞台になると翻訳口調がなくなって、ちょっと普通になる。

    「嘘つき姫」以外に共通しているのは今もしくは現実には存在しないものが出てくるということ。魔女とかロボット的なものとか。それからブラックな感じもいい。

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    2024年08月23日
  • 嘘つき姫

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    表紙の女の子の可愛さとは裏腹に中身は結構ドス黒かった。百合っぽくてほわわーんって感じかと思ったら、全ッ然違った。百合ってゆうか、レズビアン。なんか、恋愛上の関係を同じなんだけど、百合はなんか「私たちの世界よ…キラキラキラーン」みたいな感じなんだけど、レズビアンは「私、子供欲しいの。だから、今度、精子を買うね…。ズーン」。いや、本当にこうなのかは知らないよ⁉︎私の勝手な思い込みだけど、百合だと思ってたから、かなりショックだった。で、あとグロいシーンもあったから、かなり、うん、すごくがーんってきた。あ、でも、めっちゃ面白かったけどね。
    (自分で読み直してみると、読みにくいね。私の文)

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    2024年08月20日
  • 海岸通り

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    ネタバレ

    主人公の、飾らないリアリティのある心の声が自然で好印象だった
    とにかく言葉の使い方が巧みで面白い。ちょっと笑えるところもあり。
    短くて何気ない呟きから、主人公の人生の背景が垣間見える。
    (しりとりは人間が2人必要。とか)

    極悪人ではないけど、ちょっとだけ施設内のコーヒーをこっそりくすねちゃうところ。
    めちゃくちゃ崇高な道徳心をこれみよがしに掲げることもなく、でもサトウさんのことを気にかけてるところ。
    ルーティンへのこだわり。

    そういう感じがなんかキャラクターとかじゃなく、実在する人間みたいに人間臭くて、良いなと思った。

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    2024年08月04日
  • 海岸通り

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    かなり好きだった。

    派手な作品では無く、
    ドラマティックな何かが起こるわけでもない。

    小説にしては短い方だけど、
    物語としての厚みがあったように感じた。

    完全に主人公目線で進むのもなかなか面白かった!
    そもそも主人公自身がユニークで頑固で、
    でもだからこそ素直に共感できて、
    たまにちょっと応援したくなる。

    喜劇や悲劇が好まれやすい映画などと比べたら、
    取るに足らない物語に分類されるだろうけど
    息を呑むような体験というのは人生の中でそうそうある物では無いし、ドラマティックな事などもっと少ない。
    今この瞬間を現実的に生きている自分の目線だからこそ、リアリティがあって少し勇気をもらえた気がす

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    2024年07月20日