坂崎かおるのレビュー一覧

  • 海岸通り

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    物語を書く能力はとても高いように感じます。今回の候補作の中でも一番を付けても良い程。しかし、今回受賞した2作品に比べると、キャラクターの造りが弱甘で、そこが勿体ない残念ポイントでした

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    2024年09月26日
  • 海岸通り

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    ネタバレ

    久住は老人ホームの清掃員として週3日働く。
    入所者の「サトウ」さんと
    ニセモノのバス停に座り会話をしながらバスを待つ。

    清掃の仕事には手を抜かない。
    家賃を滞納したり、備品を持って帰ったりと
    小さな悪事を働くのだが、なぜか憎めない。
    同僚のウガンダ人のマリアとのやりとりは読んでいてホッとする。

    久住は要所要所で差別的な思いを抱いてしまい
    いちいち訂正をする。
    彼女の正義を見た気でいたのだが
    P121
    〈この世界に正しい人なんていない。たぶん、絶対〉
    そうきたか。

    おもしろかった。
    次回作もぜひ読んでみたい。

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    2024年09月20日
  • 海岸通り

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    友達に勧められて読んでみた。
    とにかく文章がうまくて綺麗。話に不自然な部分はあるが気にならない。
    主人公がちょっと頭が悪いが、こういう人の心情をうまく書けていて気持ちいい。
    芥川賞にノミネートされたが、酷い病気とか予想外の題材じゃないから難しいとは思った。老人ホームと外国人じゃ弱すぎるんだろうなと。
    でも、賞に関係なく詩みたいに楽しく読めました。

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    2024年09月18日
  • 嘘つき姫

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    ネタバレ

    短編集9篇
    SFっぽい物語が多いが表題作はフランスを舞台にした第二次世界大戦時の物語。どうしても死なない魔女やタマゴッチのようなリアルな子育て、埋めた爪から指が生えてきたりと突拍子もない事態に目を奪われるが、その根底に漂う深い、あるいは説明し難い愛に心が揺さぶられた。ひとつづがそれぞれ違った味わいでとても面白かった。

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    2024年08月29日
  • 嘘つき姫

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    タイトルと装画から想像するものと全く違った。
    めちゃくちゃ軽いのかと思ってどちらかと言えば期待せずに読み始めたのだけど、装画のイメージと違ってすごく良かった!

    9つの短編で、全て書き方やテーマが異なり、どの作品も面白い。私は外国が舞台の作品が好き。海外児童文学の翻訳という感じが良い。日本が舞台になると翻訳口調がなくなって、ちょっと普通になる。

    「嘘つき姫」以外に共通しているのは今もしくは現実には存在しないものが出てくるということ。魔女とかロボット的なものとか。それからブラックな感じもいい。

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    2024年08月23日
  • 嘘つき姫

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    表紙の女の子の可愛さとは裏腹に中身は結構ドス黒かった。百合っぽくてほわわーんって感じかと思ったら、全ッ然違った。百合ってゆうか、レズビアン。なんか、恋愛上の関係を同じなんだけど、百合はなんか「私たちの世界よ…キラキラキラーン」みたいな感じなんだけど、レズビアンは「私、子供欲しいの。だから、今度、精子を買うね…。ズーン」。いや、本当にこうなのかは知らないよ⁉︎私の勝手な思い込みだけど、百合だと思ってたから、かなりショックだった。で、あとグロいシーンもあったから、かなり、うん、すごくがーんってきた。あ、でも、めっちゃ面白かったけどね。
    (自分で読み直してみると、読みにくいね。私の文)

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    2024年08月20日
  • 嘘つき姫

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    ネタバレ

    表題作がお気に入り。
    どこまでが嘘か。嘘を重ねて真と信じるようになってしまったこともあるのではないか。歴史の影でそんなことを想像した。
    他の8編も良かった。

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    2024年05月04日
  • 海岸通り

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    主人公は、人生に躓いたという感覚と、おそらく世間に対する絶望を抱きつつ、派遣の清掃員として老人ホームで働いている。清掃の仕事は得意だが誇りややりがいを感じているわけではない。生きるために働くだけで、必要以上には働かず、そこにはルーティンとしての帰属感はあっても意味や価値はない。
    老人ホームで主人公が個人的に気持ちを寄せているのは、ホーム内の偽のバス停でいつもバスを待っているサトウさんだけである。誰も面会に来ないサトウさんに、主人公は嫁として認識されている。非番の日には娘のふりをしてサトウさんを訪ね、娘のふりをする嫁だと思われながら、娘のふりを続ける。
    同僚として新たにウガンダ人のマリアが入ってきたことで、無関心の輪の中で一人の世界を守ってきた(あるいは耐えてきた)主人公の世界に、外界の波が寄せてくるようになる。マリアの素直な感情、素直な言葉、素直な行動に、反発しながらも主人公がゆるやかに孤独の殻を溶かしていく様が、けして綺麗な“物語”ではない生々しさで描かれていて、抗いたい思いも絆される気持ちも共感できる絶妙なトーン。
    バスが来ないと言いながらうつらうつらと午後を過ごすサトウさん、誰かを待ち、どこかに帰りたいというぼんやりとした願いと生きる彼女に、娘と思われたい、待っていた人だと思われたい主人公。マリアに「自分を大事に」と欲しかった言葉をもらい、寛容に見える無関心な社会の中で同胞のために働くウガンダ人のアケロを横目で見ながら、それでも今さら前向きにも生きられず自己評価を高めることもできない。
    一方で、主人公がサトウさんに寄せる期待も、マリアたちに対する無関心も、主人公が自分自身の行き詰まりと絶望にのみフォーカスしていることの証左であり、そうした狭い視野に主人公が世間からドロップアウトしていった経緯も思わされて、エゴイズムや本人にはどうにもならない特性など、美しくまとまらない生きづらさの問題も考えさせられる。

    海を見たいというサトウさんの願いをかなえることで自分が望むカタルシスを得ようとした主人公の企図は実現しない。主人公はこれからも、世間の無関心の輪の中で生きていくしかないのだろう。それでも、組織の身勝手さをマリアの立場で怒ることができた主人公は、望んだカタルシスは得られずとも、他者と繋がり、真の意味で他者に気持ちを向けることへと一歩を踏み出せている。そこには、自分一人の破滅的な願いに突き進む視野の狭さとは異なる、見える世界の輪郭が変わったことで知る諦めと可能性の広がりが確かにある。
    生きづらさは何一つ変わらないまま、自分が連れ出したのではないサトウさんと共に、海に向かわない海岸通りのバスに乗る主人公。状況は変わらずとも、あちらに海がある、水平線が見える場所があるのだと心に思えば海に向かわないバスでも行き先に夢を見ることができるように、思うようにならない人生であっても淡く遠い夢、憧れのようなものを持つことだけはできるようになったのだろうか。自分だけの絶望の中で立ち止まり続けるのではなく、遠くとも、道が違っていようとも、憧れを持ってバスに乗り込むことから何かが変われば、と、フルネームすら明かされない、顔の見えない主人公の未来の幸を願いたくなった。

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    2026年09月06日
  • サンクトペテルブルクの鍋

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    内容さっぱりわかんないけど、めちゃめちゃ読みやすくて、途中途中で急に惹き込まれて、そしてまたわからなくなって、いやいや何の話だこれは!ってなるんだけど、最終的な感想が「面白かった」になるのすごいな。
    好き嫌いは分かれそうだけどわたしは好き。

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    2026年08月15日
  • 箱庭クロニクル

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    「名前をつけてやる」「あしながおばさん」「あたたかくもやわらかくもないそれ」の日常のなかにある違和感や人間関係、思い出と新たな未来の描かれ方がよかった。
    「ベルを鳴らして」などの他の話も悪くはないが、自分には少し美しくまとまり過ぎていて、前3作くらいの日常感のほうがしっくりときた。

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    2026年08月05日
  • サンクトペテルブルクの鍋

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    今GOAT 特集悪を読んでいる。
    そうしたら中にしっかりした量の小説が収載されていたのがこちら。
    普通に本として売り出されていてビックリ。
    考えたら当たり前だけど文芸誌を読みなれていないもので、雑誌から抜け出してハートカバーの本になってる!!という驚き、、、はさておき。

    読者をディスったりして煽りタイプのオラオラから始まるし、ロシアのピョートル大帝とかサンクトペテルブルグとか出てくるのにムサイ日本の大学生の闇鍋??何が起こっている??
    みたいなつかみから始まるので最初は結構戸惑うし、何の話なのかわからなくて3行位で寝るが数日続く。でも人って恐いね、そのお作法に慣れてくる。

    お話は21世紀の日本と20世紀の高崎と19世紀のロシアの話が言ったり来たりのタイムリープ(と言っていいのか)。なんならひとつの文の中でも時空間が滑らかに変わったりする。がそこらへんまで読めてきてる私にはすぅっと入ってくるから不思議。何の違和感もなく読み進められる。

    ロシアの話は、そんなダンサーいたのね、トゥシューズの産みの親みたいな?サンクトペテルブルクってそんな感じでできた都市なのね、へぇふうん、、、てな感じなんだけど21世紀舞台の話にうまく絡まって必然だったのだなと。まあ、変な闇鍋から始まるし、やっぱ必然。

    高崎と大学生の話は小説の素敵要素が後半多くていい。それにハッとするエピソードが結構盛り込まれてる(丑の話とか、石を磨くとか、アラセゴンとか)急にそのシーンに自分が引きずり込まれる感覚があって何度かハッとした。ほの薄暗い舞台で光の指すところに舞う塵が見えるような感じか。私たった今そこに居る!!みたいな。

    、、、って一通り読んでみて、この方芥川賞ノミネートされてる作家さんやったわ。そいや小説の中に自分も混じってたわ。本当に本って自由でいい。


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    2026年08月02日
  • 海岸通り

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    海辺の老人ホーム「雲母園」にはニセモノのバス停がある。家に帰りたいと言う認知症の人のためのものだ。
    そのバス停で一緒にバスを待ち、来ないからまた明日にしましょうと部屋へ戻る。
    いいアイデアだなぁ、と思う反面、切ないなぁとも。

    全体的に静かで淡々としている。
    いろんなことが起こるんだけど、話し手が冷静なのでこちらも落ち着いて読める。
    独特の空気感、結構好き。

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    2026年07月11日
  • 箱庭クロニクル

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    日本推理作家協会賞短編部門受賞作を含む短編集だが、芥川賞候補作家と云うことで、やはり私向けではなかった。残念・・・

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    2026年07月08日
  • 箱庭クロニクル

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    短編集。面白かった。
    決して外には出さない、内に秘めた思いが熱い話が多かった。「ベルを鳴らして」「あたたかくもやわらかくもないそれ」が個人的にはよかった。今と過去が交錯していて頭がぐるぐるするところがいい。
    同じ著者の別作品を読んで面白かったのでこの作品を読んでみたが印象が全然ちがう。さらに別作品も読んでみたくなった。

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    2026年05月16日
  • 箱庭クロニクル

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    ネタバレ

    【収録作品】
    「ベルを鳴らして」大正時代。邦文タイピストの物語。
    「イン・ザ・ヘブン」アメリカ。禁書運動に夢中の母親と娘。
    「名前をつけてやる」現代日本。新製品のネーミングで営業部と競うことになったデザイン部。女性二人の闘い。
    「あしながおばさん」店員に亡き娘を投影する女性。
    「あたたかくもやわらかくもないそれ」「ゾンビ」病。
    「渦とコリオリ」バレエを巡る姉妹の確執。

    いずれも胸がざわざわする物語。
    不穏を孕んだ静謐な語り口。

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    2026年05月03日
  • 海岸通り

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    老人ホームを舞台に、清掃員として関わる女性の話。結局主人公がなぜそういうことをしたのか、本当は悪い人なのかいい人なのか掴みづらかった。

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    2026年04月01日
  • 海岸通り

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    淡々と進む話

    だけど、人間らしかったり、生きにくい姿が見えたり、はたまた、人間関係の深さや希薄さが見えたり、主人公の人生、その1ページをみている、そう感じる作品だった

    華やかさはないけれど、主人公の口に出てしまうちょっとした発言は解る気がする

    じわっと心に何か染みる作品でした

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    2026年03月15日
  • サンクトペテルブルクの鍋

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    面白かった。
    鍋をかこむ3人の男たち。煮込まれるバレーのトゥシューズ。場面がどんどん変わっていくので頭がぐるぐるする。サンクトペテルブルクか高崎か。何が何だかわからない。そのわからなさがいいのかもしれない。

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    2026年03月15日
  • サンクトペテルブルクの鍋

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    好きと嫌いが真っ二つに分かれるだろうなと思った。なんともシュールな展開が嫌いではないし
    新しい分野みたいな気がして、もし機会あればまた読んでみようかなと思わせる作家さんだった。

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    2026年02月27日
  • サンクトペテルブルクの鍋

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    確かにこの作品そのものが闇鍋みたいな読後感だった。そもそも今読んでる舞台は日本なのか?ロシアなのか?とても不思議な気持ちになる。
    序盤は作者にかなり煽られるが、不思議と嫌な気分にはならずむしろ心地良いまであった。

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    2026年02月21日