安倍吉俊のレビュー一覧
-
購入済み
知らなかった
日本の原作が米国で映画化されていたとは。
スターシップトルーパーズを思い出すような設定だが、
うまく謎を残して先を見たくなる進め方がよい。 -
Posted by ブクログ
☆4.5 実在する生なましさ
『鬱の本』を読んだら、『NHKにようこそ!』に共感した、救はれたといふ人がをり、また作者の滝本氏もすごい文章を書いてゐたので、読んでみた。
饒舌なモノローグ文体がつづくが、テンポとリズムがよくて読みやすい。展開もご都合主義だけど、気にならない。主人公はお先真っ暗と思うてるんやけど、文体が陽気。
隣の部屋のアニソンがおジャ魔女どれみだったり、主人公がナディア世代だったり、滝本の実体験だらう。だからこそ、ひきこもりを自虐的におもしろ可笑しく書けるのだらう。
主人公も山崎もみんな表現に生なましさがある。私も大学時代の人間関係を思ひ出した。
なにより凄みがある。トリップ描写も、岬ちゃんの真実も、おおと思った。最後の契約書もおれは好きである。
おなじモノローグ系の『イリヤの空、UFOの夏』は饒舌が長すぎて挫折した。森見登美彦の『四畳半神話大系』も原作は淡泊で、アニメの方がおもしろい。
しかし『NHKにようこそ!』は短くて読みやすく(原作はアニメより短い)、見てみたらアニメも演出がうまくかなりおもしろかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ確か新聞で紹介されてて知った本。2002年発行と意外と古い本だった。なので、表紙が違ってて残念。確かにこの頃引きこもりは流行っていた。私が勤めたとこでも引きこもり対策をやっていたのに、3年後にはもう下火だったもんな。移り変わりの早さよ。しかし、今や私も立派な引きこもり。夢がかなったわ。すごいポップな口語で書かれてて、奇しくもちょうど前に読んでた「嫌いなら呼ぶなよ」と一緒の感じ。なら、これも純文学なのか。全然聞いたことない初読みの作家さんだったのと、あとがきで自分のことのようで恥ずかしいと書いてあったので、生きてるか心配になって珍しく調べちゃった。生きてて良かった。しかし、今も苦しんで引きこもってる人もいるんだろうなぁ。人生に意味なんか考えちゃならんよ。薬物をやってる間のことがすごい書かれてて、本当にやってたんじゃあるまいな、と思う。合法ならいいのか。
-
Posted by ブクログ
侵略者側は、AIで戦闘ロボット=ギタイを進化させるのに加え、タイムループ(時間を逆戻りしてやり直す)で戦術戦略を最適化させ(光学迷彩しても輸送機は的確に撃墜され)人類は追い込まれつつあった…/しかしジャンヌ・ダルクをも超える人類を救う英雄=女傑登場!集団で取り囲んでしか殺せなかったギタイを、リタ・ヴ…は単身で1戦闘で100以上、撃破総数の半数以上の貢献。彼女の秘密は…/主人公の新兵が初投入された戦場は、完全な負け戦で彼も手もなくアッサリ殺される運命にあったが、奇跡的偶然…
タイトルはビートルズのAll You Need Is Loveのもじり。ビートルズ自体が「怒れる若者」のハシリとして帝国主義の軍事万能への反抗であったわけだが。
映画では機動歩兵部隊の訓練の掛け声として使われている -
購入済み
立ち上がるリアリズム
主人公は割と普通にいる感じの青年。統失的なネガティブ思考が少々目立つものの、こういう人間はいる。多くの人が自分の中にも大なり小なり見いだせる存在だと思う。
ヒロイン(?)の岬ちゃんは、どこか捉えどころのない少女。とはいえその実、最後まで読んでしまえば、分かりやすい設定の「(境遇は特殊で哀れではあるが)普通の少女」でしかない。しかし、主人公の岬ちゃん(と他者)に対する興味の無さが、岬ちゃんを不思議少女に仕立て上げている。
主人公のありようはどこまでも臆病かつ現実的で、岬ちゃんというヒロイン候補がラノベ的なイベントアプローチをしかけてきても全くなびかず、ただただひきこもるばかり。自分から興味を抱かないから岬ちゃんは捉えどころのない不思議女子のままで、そのよく分からなさがボーイミーツガールなラノベヒロイン的でありながらも「リアルな異性」性を絶妙に立ち上がらせているように思える。
主人公は他者を恐れ、岬ちゃんは他者に依存したがっているのであるから、二人は全く噛み合わない。クライマックスではなんやかやとあって、最終的にはお互いに譲歩して、間をとって、ゆるい共存関係に収まる。大きくて夢想的な目的は達成できず、当座を生きていくために折り合いをつけるのである。
このすっきりとしない、ぼんやりとしたノーマルエンドの感じこそ、まさしく日常であり現実である。
現実世界には明確な悪も倒すべき敵もいないし、分かりやすいハッピーエンドもないし、形の見える未来もないのである。 -
Posted by ブクログ
リタ・ヴラタスキの物語から始まる2巻。彼女がキリヤ・ケイジと出会うところから、キリヤ・ケイジ、リタ・ヴラタスキの2人のストーリーが合流する。
てっきり前巻までは、ギタイという未知の生命体に人類が如何にして立ち向かい勝利(あるいは敗北)していくのか?そこが物語のメインだとばかり思っていたけど、ケイジとリタの激しくも切ないラブロマンスがメインであったのか。1杯食わされたという気持ちで胸がいっぱいになって青い空にむかってこんちくしょ~!と叫びたくなった。なんなんだこのプラトニックラブ、モーニングコーヒーの香りとか、好きすぎる。血なまぐさい戦場を舞台にこんなに美しい愛を描き出せるとは…原作の桜坂洋さんも漫画の小畑健さんもあっぱれすぎる。
ラストのケイジのセリフがたまらない…
(あーそれで1巻の表紙が青で2巻が赤なのか。)
実は昨年の大晦日にたまたまトム・クルーズの同作品の映画をテレビでちら見したのだけど、今年はじっくり見てみたいものだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「死のう、もう死のう。しかし俺は死なない。なぜならば、今日は天気がいいからだ。」(p46)
この軽々しく死のうと思って、すぐに撤回する感覚は、私にはすっと馴染んできました。「あー死にたい」とか思った直後に、「でも死ななきゃならんほど何か具体的な苦しみがあるのか?いや無いよなあ」となるんですね。
「自分を苦しめている仮想敵。それがNHKの本質だ。」(p303)
自分の中で発生増殖する、漠然とした苦悩。それを仮想敵として名付けるというのは、つまりそれを何らかの実体として見たいということ。実体としての敵がいれば、まだ戦ったり、逃げたり、恨んだりができるから。でも、そんなものは実体としては存在しないことを佐藤(主人公)は分かっているんですね。じゃあ、どうやって敵を倒すの?というのは物語のハイライトなので読んで確かめて欲しい所です。
なお、本書を読む前に数話でいいのでアニメ版を視聴しておくことをおすすめします。岬(ヒロイン)を演じる牧野由依さんの声がすばらしく可愛いので、その声をイメージしながら読まないと損です。