森沢晴行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まずは8年間にわたり、クオリティを落とさずコンスタントに物語を紡ぎ、広げた大風呂敷をキレイにたたんで、シリーズ完結を成し遂げたことに敬意を表して、★5つ。
個人的にはもう少し切なさの残るラストを期待していたのだけど、これはこれでいい締めでした。
カルとクレアとアルバス一家のその後については、ちょっとスピンオフで読んでみたいような。
「あの人」と彼のその後については、あえて描かなかったんでしょうね。ちょっと寂しいけど。
前巻から強烈にねじまがったスーパー横恋慕男が出てきたせいか、
カーナシオン→イリア、ゼノン→アメリアあたりの妄執は決着しないまま放置(笑)
4人のエースの戦いっぷりの描写が圧巻。
リアル描写で空戦技術の凄さを強調するより、
比喩と叙情的な表現を駆使して、読み手の想像力を働かせたのは正解だと思う。
そして、ジェットエンジンを登場させたのは、
作者自身が、この世界と決別する意志の表明だったのではないかと。
めでたくシリーズ完結ですが、
空の果てとか、大瀑布とか、世界観に絡む話はもっと読んでみたかったなあ。
平和な時代に生きる次世代たちが空飛ぶ探検家になって、とかスピンオフにならないかな。無理か。
「追憶」の劇場版といい、「恋歌」のテレビ版といい、
このシリーズはアニメ化のクオリティに恵まれていないので、今作をアニメ化する場合は、できるだけ原作の良さを生かしていただきたいものです。テレビや映画より、Netflix等の配信サービス向きかも。 -
Posted by ブクログ
「とある飛空士への」シリーズ最終巻。おもいっきり堪能させてもらいました。
この作者の素晴らしいところの1つに、主要キャラであっても容赦なく作中で死亡させてしまう容赦の無さと、ストーリーにおけるハッピーエンドを両立させることがあると思う。特に前者によって、いわゆるお約束展開に凝り固まること無く、いつも読者の予想の上を行く展開が可能になるのだと思う。(このシリーズの読者なら、8巻でそれを感じたのではないだろうか。)
ただ、この巻に限って言えばやや展開が読めてしまった感は否めないが、シリーズ集大成の最終巻だから仕方のない面もあるだろう。
ストーリーとしては、今までのシリーズの主人公たちが勢揃いする、シリーズのファンにとってはたまらない空戦描写と、「誓約」としてのラストを飾る終章が何よりのみどころだろう。
どちらも、初めて「とある飛空士への追憶」を読んだ時の衝撃と、「とある飛空士への誓約」を読んだ時に感じた物語世界の壮大さや、誓約の言葉に秘められた感情の大きさを思い起こさせるに足る文章であったと思う。
このシリーズの感想ではもう幾度も書いてきたが、風景描写や心象描写における言葉の美しさは、最終巻になってますますその洗練さを増している。
小説の中でこのシリーズが最も好きであるという私の個人的感情も多分に含まれるだろうが、それでも敢えて書き残しておきたい。
登場人物ひとりひとりの心のありようを美しい文章で追体験しながら読み進める後半部分、そしてラストシーンは、もうこのシリーズの続きを待てないのだという倒錯した感傷とともに、私の心の中の風景として永く残り続けることだろう。
この本に出会えてよかった。 -
Posted by ブクログ
個人的に、現在のライトノベル界で最も面白いシリーズの座を争っているこの作品も、ついに次で最終巻になってしまうようだ。
その前巻となるこの本だが、メインとなる紫とバルタのやりとりは、感想を述べるのもおこがましいほどの素晴らしさ。このシリーズの感想でもう何度も書いてきたが、言葉の一つ一つの選び方、情景の描き方全てが、読者の心を捉えて離さない魅力を放っている。
また、エリアドールの七人の目に見えない信頼関係を物語に描き出す、登場人物達の心理描写にも触れておかなかればいけないだろう。ミオの、かぐらの、バルタの仲間たちを思う心の叫びのなんと美しいことか。
最後に、シリーズ集大成ならではの、これまでのシリーズの主要人物たちが揃い踏むシーンも、ここまで追いかけてきたファンならば感動なしには読めないはずだ。いままで明かされてこなかった作品間のつながりが、いよいよ、読者の前に姿を現そうとしている。
期待に胸を躍らせながら、最後の一冊を待つことにしよう。