ヴァージニア・ウルフのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ヴァージニア・ウルフの本は2冊目。
ウルフは「意識の流れ」という文学的手法を使ったことで有名。
調べてみたら、意識の流れとは、人物の思考や感情が、川の流れのように途切れなく変化していく様子を表現する方法。出来事を客観的に書くのではなく、人物の主観的な視点から、思考や感情の動きを直接的に書くことが特徴。
という説明があったけど、個人的には客観的に感じちゃったな。
思考や感情が途切れなく変わっていくところがのめり込めなかったのか、フィルターを通して世界を見ているような、夢の中にいるような、そんな感覚がずっと続く。
話は入ってきにくかったから読み切れるか心配だったけど、読み心地は嫌いじゃない。
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Posted by ブクログ
新潮文庫の名作新訳コレクションStar Classics シリーズで読んだ。
第1次世界大戦を挟んだ10年間の年月の推移を、2日間の出来事を描写することであらわしている。戦前の屋敷内は人があふれ、主人公ラムジー家の隆盛が書かれる。一家だけでなく、関係する老若男女が屋敷に集い、主にラムジー夫人の目線で各々の関係を描いている。
戦後の1日は、空き家状態にあった屋敷を清掃管理する描写から始まり、ラムジー夫人が亡くなり、社交の場としての機能を失った屋敷が書かれる。10年前に屋敷に集っていた画家の女性が主な語り手となり、10年前の記憶と現在の描写を対比し変化を実感させている。
幼かったラムジ -
Posted by ブクログ
難しい。
同じ場に居合わせても、人それぞれ思っている事は違う。
何を思ってるのかも、想像と違うかもしれない。わからない。
人に気をつかって、迷惑がられるかもしれないなら、自分の好きなように、自分の気持ちが良いように生きよう。
正解は無いと思う。
訳者あとがきを丁寧に読んだら理解が深まりそうだが、読後、疲れて、その余力は無かった。
またいつかあとがきをゆっくり読もうと思う。
キラキラ輝くリゾート地セントアイブスを暗いスカイ島に置き換え。
モリスの壁紙から心明るくなる壁紙に変える。
家族の愛の形。本人はそれが愛と思って接している。相手にとっては愛とは思えなくても。
ウルフは、人は何のために -
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Posted by ブクログ
文学史上の傑作として名高い、ヴァージニア・ウルフの代表作。今回新潮文庫より鴻巣友季子による新訳版が刊行されたことを機に読んでみたが、個人的にはこの小説を読みこなす能力を持ち合わせておらず、ハッキリいってよくわからなかった。なにが難しいかといえばなによりもまず、ストーリイらしいストーリイがないことである。表題にもなっている「燈台」をめざすところが物語のクライマックスであるとは思うが、そこに至るまでにわかりやすい起承転結もない。普段読み慣れているような小説の構造とかけ離れていることとも相俟って、余計に読みづらかったのだと思う。登場人物も多く、ラムジーには8人も子供がいるが、「意識の流れ」という手法
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Posted by ブクログ
SNSでおしゃれに紹介されていて、憧れを持って手に入れて、読み出してびっくり!難しいというか、流れが、意味が頭に入って来ない…最初の20ページほどで中断し、数ヶ月。それでも何とか再開し読み進めるうちに、(ああ、タイトルの波とは、この波のように寄せては返すような文章の構成のことを言うんだな…)と理解してから何とか最後まで辿り着きました。訳者あとがきに著者ウルフのご主人が「一般の読者には最初の100ページは難解すぎるだろう」とおっしゃったとあり、私は心の内で「それな!」と叫びました(笑)私が特別読解力がないわけではなかったのだ…と安堵しました。というわけで、内容についての感想はあと2回くらい読まな
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Posted by ブクログ
絶版のちくま文庫版と収録作品はほぼ同じ。以前読んだとき同様、やはり「キュー植物園」の完成度がとびぬけてすばらしい。園を行き交う人びとが、ありえたかもしれない過去に思いをよせたり、でもいま手にしているこの現実でよかったんだと思いなおしたりする意識の流れが、花々や蝸牛の描写をおりまぜつつ見事に点描されている。絵で喩えるならジョルジュ・スーラの「グランド・ジャット島の日曜日の午後」のよう。
他には「堅固な対象」「池の魅力」も好み。一方、焦点のない構図で撮影された写真みたいに、とりとめがなくてよくわからない話も。
【ノーツ】
▶20世紀は「メタ」の時代
・訳者解説によると、ブルームズベリー・グ -
Posted by ブクログ
ネタバレ同窓の男女6人の人生が彼らの独白オンリーで綴られているんだけど、あまりに詩的で繊細、内面的に描かれていてはっきりした筋を追うような作りにはなっていない。ところどころで海辺の夜明けから日没までの美しい風景描写が挿入されて、人生のうつろいと重なり合う。読み始めは素敵だなあと思ったものの、ずーっと同じ調子にあいまいで装飾が多い文章なので疲れてしまった。飴玉をなめるみたいにゆっくりゆっくり読む本だと思う(そうしなかった私に非がある)。一番好感度高かったのはロウダ。最後に自殺したことが明かされるけど、そうなっちゃうよねえ、と思わされる。
全体を通して精神しか書かれないので、中盤で皆の精神が溶け合い、一つ -
Posted by ブクログ
1938年出版のウルフの長編エッセイ。
ヒットラーやムッソリーニなど全体主義の台頭、そして戦争の足音が近くなかでの戦争と女性の関係について論じている。
が、視点は、国際政治というより、イギリス国内、中産階級的な世界のなかにおける男女差別、家父長制の偽善というところにフォーカスされている。
そして、全体主義、戦争と家父長制、女性の抑圧といった問題がフラクタルであることを多くの具体事例をまじえながら、論じられていく。
1930年代のイギリスにおける女性という「階級」の扱いが、今から考えると、「まだこんな感じだったのか〜」と驚くと同時に、現在の日本はまだこれに近いのかもなどと思った。
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