ヴァージニア・ウルフのレビュー一覧

  • 灯台へ

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    小説であるが小説ではない。言葉も展開も見事。さまざまなところに意識がいきわたりそれを言葉にすることをどこまでも追求しているのがわかる。本当に面白かった。

    作中言葉の無力さを嘆く場面、ラストの場面などから筆者の葛藤や決意が見て取れる。芸術に対する態度についてしっかりと作中で言及し表明していることは、彼女の人生を写しとった作品だからこそ顕在化した父の影響なのであろうか。

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    2017年02月21日
  • 灯台へ

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    わずか400ページに凝縮された10年の歳月、でもその遠隔が確かな重みをもってこちらに伝わるのは構成の妙ゆえか。時の流れの描写が展示品のように端正だった

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    2015年11月22日
  • 灯台へ

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    非日常を書く作家は数多くいるが、なんでもない日常を書く作家は少ない。
    事実を書いた作品は山ほどあるが、心を書いた作品は少ない。
    これはなんでもない日常、その場にいた心を書いた作品。ウルフさんまじ半端ねぇ。

    いつもと違う物語を読みたいという方へ。

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    2015年08月14日
  • 灯台へ

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    なんて美しい小説なのだろう。波の満ち引きの様に押しては返す内面の機微、それを優れた知性と洞察力によって掬い取り、繊細に言葉を紡ぐ事によって日常に寄り添う幸福や憂鬱を情景豊かに描き出す。家族と友人たちの一日の風景と瞬く間に過ぎる10年という歳月、そして再び描かれる一日の風景。内面描写の主体を次々と移しながら表象には出てこない感情のひだまで丁寧に描き出すその文章は、雪の結晶の微細な美しさに触れた時の感覚に似ている。だからこそそれはどこか儚く、触れてしまえば粉々になってしまいそうな危うさも感じさせてしまうのだ。

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    2013年06月06日
  • 灯台へ

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    読み終わった後、自分がなにを読んだのかよくわからなくなってまた繰り返し読んでしまうような本。
    文章の力のせいかどんどん読めてしまう。書いている内容はある意味ほんとうに生々しいのに、どことなく清潔ですらすらと読める。

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    2011年12月10日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    チャレンジの気持ちで読みました。近代文学。

    感想。めっちゃ味わいのある面白さ。唯一無二。
    1番印象的だったのは、その独特な筆致。"〇〇が恭しく言った"とかわざわざ書かない。こんなに流れるように人物の視点が変わりがわりするんだ!ととっても驚きました。でもそれが非常にクセになるんです。気がつくと同じ文なのに主語が入れ替わってる。なんてことが沢山ある。この"アクションを起こす主体が入れ替わる立ち替わりする妙技"を、この一度目の読書の中で多分に感じて面白かったのは、家族が揃って同じ卓で夕食を取るシーンでした。
    このスタイルなのに全体通した感想が"読み

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    2026年09月10日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    意識の流れ小説は読みにくいイメージだったけれどこれは比較的容易に読めた。女性視点だからだろうか。前後半のあいだに挟まれる章の導入の視点の移り変わり、時の流れの描写が唯一無二。

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    2026年08月14日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    ヴァージニア・ウルフを友人が薦めてくれて、初めて読んだ一冊。
    文体がこれまで読んだことのない書かれ方をしていて、慣れるまでは時間がかかった。また慣れてもやはり難しかった。
    次々変わるスポットライトに照らされて、登場人物の心情が顕になっていき、同時にこれまで主観的立場だったはずの人物に対する他者からの見方も追加されて人物像が厚みを増していく。世界の中でのごく一瞬の出来事が、こんなにも複雑で豊かだったかと思う。

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    2026年08月13日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    家族には絶対的な存在で逆らうことが許されない哲学者ラムジー氏、偉大な家長として頼られ崇められ、時には反発される。海の向こうに見える灯台へいこうという息子のジェイムスに、にべもなく「明日は晴れないだろう」という。美しくしっかりもので周囲からあがめられる8人の子持ちの理想的な母親ラムジー夫人、独身女性には結婚しなければいけないと解き、身近に集う若い男と女を結びつけようとする。

    独身の女性画家リリー・ブリスコウやウィリアム・バンクス、チャールズ・タンズリー、オーガスタス・カーマイケルなどもラムジー家のスカイ島の別荘に一緒に滞在している。

    第一部では、そんなラムジー家の別荘に集う人々の一日が描かれ

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    2026年07月05日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    人物がたくさん出てくるうえに語りの視点が次々と入れ替わって非常に読みづらく、新鮮な体験だった。
    途中は意味も分からずに義務的に文章を読んでいたけれど、度々出て来る美しい描写に出会えてよかった。
    個人的には好き。

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    2026年06月15日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    とても難解だった。
    最初は心情描写がトリッキーな作品なのかなと思ったけど、
    途中からガラッと変化した。
    帯にある通り、小説でこんなことできるんだという感想。
    難しくて読むのに時間がかかったけど、読んで良かったと思えた作品。

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    2026年06月01日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    日常の出来事のなかで登場人物が感じる思考をすべて文章化しているのではないかと思うくらい話の進み方がゆっくりしています。
    全体的に例えの表現が多く、私のイメージの範囲が狭いせいもありページを進めるのに時間がかかりました。
    ラムジー夫人が、自分の子供達の今の瞬間をそのままにしておきたい、という感情にとても共感し読んでいて胸が熱くなりました。
    第一次世界大戦の頃なので100年ほど前の話になりますが現代とは違うゆったりとした空気感にとても穏やかな気持ちになりました。
    こういったじっくりと味わう物語をまた読んでみようと思います。

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    2026年05月23日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    本屋の棚に割と目立つように展示していたので、購入。

    登場人物が考えていることが長々と綴られていく。いつの間にか、その叙述が別の人間の考えになっていたりする。その点については、あれ、と感じるが、読みづらくは感じない。
    ただ、何かが起こるというより、登場人物の頭の中の考えをずっと読まさせていくのは、すごく疲れた。ページが進まない。前半はほんの半日の話なのに、だいぶ時間が掛かってしまった。
    登場人物たちについて説明的な記述がある訳ではないので、哲学者ラムジー、美貌のラムジー夫人、その子供たち、夫妻の別荘に集う独身主義の画家リリー・ブリスコウ、学者、詩人達の人となりが判ってくるまで、ずいぶん時間が掛

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    2026年05月12日
  • 青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集

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    ヴァージニア・ウルフを初めて読む。ヴァージニア・ウルフについては意識の流れ文体とか、精神疾患といわれるとか、最期がどうだったとか、そして映画『めぐりあう時間たち』で描かれていことしか知らずにいた。
    あとがきでは翻訳者西崎憲によるヴァージニア・ウルフの生涯とか、解説が詳しく書かれる。幼少期から成長するまで母の連れ子(父親違いの兄)たちから性的対象にされていたんだとか、もしかしたら有名なのかもしれないけれども初めて知ったので、なんというか…(ー_ー;)
    本文の翻訳では、ちょっと変わった漢字を使ったり(「滑る」ではなくて「辷る」、とか)、カタカナでなくて漢字が使われたり(麝香撫子にカーネーションとル

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    2026年04月12日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    灯台へ、流されるように

    流されるように最後までなんとか読み切りました。久々にこういったタイプの作品を読みました。翻訳じゃなかったら無理ですね。現実と心の声がごっちゃになります

    二部を読み始めるとちょっとドキッとしました(汗

    読んであらすじを追う読書ではなく、読み進むに任せて読んでいくタイプの本、なのでしっかり印象に残りました、というシーンが実はパッと思いつかないですけど、現代の読み方だとリリーにスポットライトが当たりそう。

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    2026年03月17日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    紙の本。
    とりあえず、「私は読みました。」という程度の理解。世にいう、「意識の流れ文学」はちょっと気を許すと、何を読んでいるのかわからなくなり「ほとんどどこにも行かない小説」は読む手を選ぶかもしれない。けれども、ウルフの文体から浮かび上がる登場人物はイキイキと個性豊かに人生を送り、鴻巣友季子訳は横のものを縦にするだけではない、作品に対する思いがつたわる作品だと思います。

    また読書力つけてから読み直したいと思います。

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    2026年03月08日
  • 自分ひとりの部屋

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    才能ある女性が環境により才能を開花できない。埋もれてしまう。100年たった今でもあることだと思う。少しずつ少しずつ環境は変わりつつあるが…女性が経済的に弱者になりやすいことは、個人の責任だけではなく社会構造にある。みんながもっと生きやすい社会になりますように。

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    2026年03月06日
  • ヴァージニア・ウルフ エッセイ集

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     諸外国語のことは知りませんが、日本語で文章を書く場合、「です・ます調」で書く場合と「である調」と書く場合とでは印象がずいぶん異なります。
     さらにいわゆる「女性ことば」(「〇〇ですの」「〇〇ですわ」「〇〇かしら」など)を文末に用いると、筆者の人物像の印象はまた異なってくることでしょう。

     本書の翻訳では、「である調」で訳されているエッセイと、「です・ます調」で訳されているエッセイがありました。
     訳し方の違いは何から生じているのかしらん? と思ったしだいです。

     日本語で書かれたエッセイなら、その筆致から筆者の人となりをまだ想像しやすい(ような気がする)のですが、翻訳の場合はなかなか難し

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    2026年02月26日
  • 自分ひとりの部屋

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    『自分だけの部屋』『自分ひとりの部屋』といくつか翻訳版が分かれているようですが、自分は『私だけの部屋』西川正身訳を。翻訳者ごとに表現がどう異なるのか気になるところ。

    エッセイ風のフィクションで、自身の見解や論旨を繰り出しながら当時のイギリス女性作家達が辿った道を垣間見ることができる。
    女性の劣等性を力説してきた男性たちは実像よりも二倍に大きく見せている小さな自分の姿を直視したくない、自分を優位に置きたいが余りに、物書きの女性たちは歴史の陰に追いやられ虚構の存在となっていた。

    物を書くための静かな一人部屋はしばらく与えられてこなかったという現実。
    「シェイクスピアの妹」もきっと物書きを志した

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    2026年02月20日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    複数の視点で語られる2日間。現実と思考、現在と過去、事実と空想が間断なく折り重なっていく。
    とても美しい自然描写を重ねながら、移ろう心理描写を表現していくところが素晴らしいです。

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    2026年02月14日